2020年10月15日木曜日

2020.10.15 わが友に贈る

「皆我が一念に納めたる
功徳善根なり」御聖訓。
広布のための労苦は
全てが福徳と輝く。
勇気の一歩を共々に!

撰時抄 P256
『夫れ仏法を学せん法は必ず先づ時をならうべし』

【通解】
仏法を修学しようとしたならば、必ずまず「時」を習わなければならない。

名字の言 使えるものは生かす——女優・樹木希林さんの人生論 2020年10月15日
生前の樹木希林さんは、ほとんど服を買わなかったという。他の女優さんから"お古"をもらい、仕立て直した▼服のアイデアは、実に型破り。ブラウスに着物地を縫い合わせたり、黒いドレスに羽織を重ねたり……。「布と格闘するようにしてやりくりを重ねた」という和洋折衷のファッションは、海外で絶賛された。「使えるものは生かしていく。だって、もったいないもの。だから、考えて、工夫する」(『樹木希林のきもの』平凡社)▼70歳でスマホデビューした鳥取の地区部長がいる。婦人部員に教わりながら、先月はビデオ通話による座談会を開催。10代から80代までの友が画面越しに感激を分かち合った。だが半面、「スマホがない人は寂しいだろうな」と感じるように▼壮年は感染防止に配慮しつつ、訪問激励を開始。会ってつながる喜びをかみ締め、"誰もが参加できる座談会を"と決意した。久しぶりに皆で集い、信心の歓喜を語り合う会合に向け、「励まし週間」を全力で歩む▼「つなぐ」を表す「継(繼)」という漢字には「衣服のほころびに他の布を当てて縫い繕う」との意味もある。コロナ禍で分断された心と心を智慧と工夫でつなぎ合わせる。その価値創造の実践から新たな伝統が築かれ、受け継がれていく。(誌)

寸鉄 2020年10月15日
「うれしきかな末法流布に生れあへる我等」御書。混迷の社会照らす使命大
兵庫の日。関西の電源地に聳える模範の大人材城不屈の闘魂でいざや前進
"会って語る"訪問激励で喜びは倍加。全幹部が最前線へ!励まし広げる秋
複数のサービスで、同じ暗証番号使う人85%。悪用の恐れ。個別設定等を
水回り修理で不当な高額請求トラブルが多発と。消費者電話188も活用

〈社説〉 2020・10・15 きょうから秋の新聞週間
◇聖教から"人間主義の光"を
日本新聞協会が定める「秋の新聞週間」がきょうからスタートする(21日まで)。
今年の代表標語は「危機のとき 確かな情報 頼れる新聞」。本紙でも、危機の時代を乗り越えるための糧となる紙面を読者に提供できるよう、努めてきた。その"確かな情報"も、読む人の手元に新聞が届かなければ伝わらない。本紙を支えてくださる尊き無冠の友や関係者の皆さまに、改めて深く感謝をささげたい。
総務省の情報通信政策研究所が発表した最新のアンケートによれば、「メディアとしての信頼度」は新聞が約68%で、依然として最も高くなっている。「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ために一番利用するメディアは、インターネットとテレビで約96%を占めた。速報性はインターネットやテレビ、正確性は新聞に求めるという風潮が読み取れる。
一方、「情報源としての重要度」はテレビが約88%で、次いでインターネットが約75%となった。ここ数年、テレビと新聞の比率が下がり、インターネットは上昇傾向にある。
このような世情を背景に近年、「フィルターバブル」と呼ばれる問題が懸念されている。インターネットの検索履歴が「フィルター」となり、同じような情報ばかりが表示され、その結果、まるで「泡」の中にいるように、自分が見たい情報しか見えなくなってしまうことを指す。
ジャーナリストの国谷裕子さんは、本紙のインタビューで次のように語った。「何らかの確かな情報がほしくなると、一生懸命、いろんな情報にアクセスします。その際、知らず知らずのうちに、信じたい情報、共感できる情報ばかりを入手してしまう傾向があります。(中略)自分の考えをさらに補強し、強固にして、偏った情報に取り囲まれてしまう。そうなれば真に多様な考えを知る機会を失ってしまいます」
仏法では、「桜梅桃李」の言葉に象徴されるように、人間の多様性を説いている。「人間の機関紙」を旗印とする聖教新聞だからこそ、時代が分断の方向に向かう時こそ、言論の力で人々を結ぶ使命を、いっそう果たしていかねばならない。
池田先生は、世界聖教会館を訪問した時のことを述懐し、次のようにつづった。「いよいよ、この新しき師弟の言論城から、世界広宣流布の新しき波を起こすのだ! 人間主義と生命尊厳の旗を掲げて、『希望の光』『常楽の光』『平和の光』を広げゆくのだ! そして、日本と世界の読者をはじめ、聖教につながる一切の方々が、健康で幸福であるように!」
師匠の心をわが心とし、聖教新聞の拡大から、ともどもに"人間主義の光"で社会を照らしていこう。

☆ストーリーズ 師弟が紡ぐ広布史 第1回 差別を許さぬ世界目指して
物語を意味する「ストーリー」と、歴史を表す「ヒストリー」。語源は同じである。日蓮大聖人は苦闘の友を「未来までの・ものがたりなに事か・これにすぎ候べき」(御書1086ページ)と励まされた。新連載「ストーリーズ」では、池田大作先生を中心にして紡がれてきた"師弟の物語"、そして折々の広布史をひもといていく(月1回の掲載予定)。

◇君が本当に愛し、誇れる社会をつくる
「世界の歴史において、偉大な政治家と思う方は?」
希代の実業家である松下幸之助氏からこう問われると、池田先生は即座に、「リンカーン」の名を挙げた。
アメリカの第16代大統領リンカーン。1863年の奴隷解放宣言、同年11月19日の「人民の、人民による、人民のための政治」との演説などで知られる。
シカゴ市には、彼の名を冠する同市最大の公園「リンカーン・パーク」がある。
今から10年前の2010年10月、この公園に、池田先生の平和貢献をたたえ、一体の像が設置された。黒人の少年と白人の少年がボールを使って仲良く遊ぶ姿を表現した「平和と正義」像である。その台座には、小説『新・人間革命』の冒頭の一節「平和ほど、尊きものはない」が刻まれている。
1960年10月9日、初の海外訪問の折、先生はリンカーン・パークに足を運んだ。そして「平和と正義」像とは正反対の光景を目にした。
その日は日曜日だった。
公園では、子どもたちがボールを蹴って遊んでいた。1人、2人と、ほかの子どもも加わり、遊びの輪が広がっていく。
そこへ、1人の黒人の少年が近寄ってきた。ところが、彼には誰も声を掛けない。
しばらくして、子どもの1人が、ボールを蹴り損ね、尻もちをついた。傍らで見ていた黒人少年は、大声で笑い、はやし立てた。すると、近くのベンチに座っていた老人が、黒人少年を怒鳴りつけた。少年は背を向け、その場を走り去った。
一部始終を見ていた先生は、胸が強く痛んだ。リンカーンの奴隷解放宣言から、100年近くが過ぎていた。奴隷という「制度」はなくなった。しかし、人間を分断する「心の壁」は根強く残ったままだった。
先生は、少年を追い掛けようとした。だが、すでに姿は見えなかった。
"君が本当に愛し、誇りに思える社会を、きっとつくるからね"——先生は心の中で、黒人の少年へ呼び掛けた。万人の尊厳が輝く社会の建設を、心に固く期した。
リンカーン・パークの散策を終えた先生は、その日の午後、座談会に出席。参加者からの質問に、一つ一つ明快に答えるなかで、人種問題にも触れた。
——「地涌の菩薩」の使命を自覚し、行動すれば、人種や民族や国籍を超えて、世界平和と人間の共和が築かれていく、と。
肌の色など関係なく、全ての人が誇りに思える世界を築くために、目の前の一人の「地涌の使命」を呼び覚ます。この一点から、先生は動き始めた。
2000年9月7日、アメリカ・モアハウス大学のキング国際チャペルから、池田先生に「最高学識者」称号が贈られた。
授与式の席上、同チャペルのカーター所長は「池田博士は非暴力の無条件の愛をたたえておられます。その愛情とは、イエス・キリスト、マハトマ・ガンジー、キング博士が体現していたものです」と、先生へのあふれる思いを語った。
モアハウス大学は、アメリカ公民権運動の指導者キング博士の母校である。黒人への差別撤廃の先頭に立った博士が、「破壊の跡は、私の見たものの中では最も悲惨な光景」と述べた暴動——それは、1965年8月11日、ロサンゼルスのワッツ地区で起こった。
発端は、パトロール中の白人警察官が、黒人の青年に飲酒運転の容疑で職務質問したことだった。警察官の侮蔑的な態度が、青年をいら立たせた。
警察官は青年と言い争いになり、逮捕しようとした。そこへ黒人の群衆が集まってきた。
ロサンゼルスのあちこちで火の手が上がった。略奪も相次いだ。治安の悪化は著しく、2日後の13日には、カリフォルニア州の州兵も動きだした。
翌14日は、池田先生のアメリカ・メキシコ歴訪の出発日だった。しかも、最初の訪問地がロサンゼルスである。
周囲の幹部は、"出発はせめて、ロスの暴動が治まってから"と訴えた。しかし、先生は予定通り、羽田の東京国際空港を飛び立った。
ロサンゼルスに着いた先生は、15日の朝、代表メンバーと勤行し、アメリカ社会の安穏と人々の無事を祈念。夜、野外文化祭に出席した。
アメリカの同志は、文化祭の成功を祈り、練習に励んできた。暴動が起こってからは、黒人の友を心配し、練習会場まで車で送迎する白人の友もいた。
文化祭は、婦人部のコーラス、女子部のダンスに続き、男子部の体操へと移った。出演者には、黒人も白人もいた。互いにスクラムを組み、"団結の美"を披露した。「同じ人間」としての信頼の絆が光っていた。
キング博士は63年8月、奴隷解放宣言から100年を記念したワシントン大行進の折、リンカーン記念堂で演説した。
「私には夢がある」
「いつの日かジョージア州の赤土の丘の上で、かつての奴隷の子孫とかつての奴隷主の子孫が、ともに兄弟愛のテーブルに着くことができることである」
文化祭は、博士の「夢」が「現実」の形となって表現されていた。麗しい「兄弟愛」が織り成す演技の一つ一つに、先生は何度も何度も拍手を送り続けた。

◇国境もなく人種・性別もない"根源のルーツ(地涌の菩薩)"に目覚めよ!
1992年5月10日、池田先生はアメリカ・リンカーン大学の芸術学部長であるスモック教授と会談。そこで話題となったのが、同年4月末から5月初頭にかけて、ロサンゼルスで起こった暴動だった。
黒人の青年が複数の白人警官から暴行を受けた。だが、警官らは裁判で無罪に。その評決に、黒人を中心とした怒りの抗議活動が起こったのである。
繰り返される差別と絶望——スモック教授は「『外面』の努力だけでは、本当の『解決』にはならない。『小我』——小さな自分——を乗り越え、より大きな内面の力を発揮してこそ、糸口は見いだされる」と強調。
教授の見解に、先生は賛同し、「広大な『一念』の力、内面の力を確信し、引き出すとき、いかなる外界の悪、反価値をも、善の方向へ、価値の方向へ転じていくエネルギーとなる。これが『創価』であり、一念三千の実践です」と述べた。
公民権法の制定をはじめ、アメリカ社会は、差別撤廃への努力を積み重ねてきた。そうした人間の「外側の変革」とともに、人間の「内側の変革」にこそ、解決の鍵がある。これが、両者の結論だった。
93年1月24日、先生は北・南米の平和旅へ出発した。27日に開催された第2回「アメリカSGI総会」。先生はロサンゼルスの友に「新生の天地に地涌の太陽」と題する長編詩を贈った。

自らのルーツを索めて
社会は千々に分裂し
隣人と隣人が
袂を分かちゆかんとするならば
さらに深く 我が生命の奥深く
自身のルーツを徹して索めよ
人間の"根源のルーツ"を索めよ
そのとき
君は見いだすにちがいない
我らが己心の奥底に
厳として広がりゆくは
「地涌」の大地——と!

その大地こそ
人間の根源的実在の故郷
国境もなく 人種・性別もない
ただ「人間」としてのみの
真実の証の世界だ
"根源のルーツ"をたどれば
すべては同胞!
それに気づくを「地涌」という!

この詩を巡って、先生は語っている。
「人種や民族に、自分たちの"ルーツ"を求めても、それは虚構です。砂漠に浮かぶ蜃気楼のようなものだ。人類共通の"生命の故郷"にはなれない」
「本来、人間は、宇宙と一体の大いなる存在なのだ! 個人の力は、かくも偉大なのだ! これが法華経のメッセージです」
2005年5月、ロサンゼルス市議会から池田先生に「顕彰決議書」が贈られた。
同市議会は、先生とSGIの「寛容と人権を宣揚し、地域社会で平和・文化・教育に尽くす青少年の育成への貢献」に言及。そして、先生が長編詩を通して、希望の指標を示したことを高く評価したのである。
授与式で、アメリカSGI青年部の代表が登壇した。長編詩を朗唱する青年の声が、ロサンゼルス市庁舎に響いた。