◇今週のことば
「説き聞かせ候えば、
未来までの仏種になる」
立宗の大誓願を継ぎ
「立正安国」の対話を。
全民衆の幸と平和へ!
(新2010・全1486)
2022年4月25日
一生成仏抄 P384
『此の旨を深く信じて妙法蓮華経と唱へば一生成仏更に疑あるべからず、故に経文には「我が滅度の後に於て応に斯の経を受持すべし是の人仏道に於て決定して疑有る事無けん」とのべたり、努努不審をなすべからず』
【通解】
この旨を深く信じて、「妙法蓮華経」と唱えれば、一生成仏は、更に疑いがありません。故に、経文(神力品)には、「我が滅度の後に於いて、まさに、この 経を受持するべきである。この人は、仏道に於いて、決定して成仏することは疑いない。」 と、お述べになられています。努々(ゆめゆめ)、不審を抱いてはなりません。
名字の言 「誰でもが太陽であり得る」——作家・島崎藤村 2022年4月25日
作家の島崎藤村は由緒ある旧家に生まれたが、その後、家は没落。子ども時分から親元を離れて暮らし、太陽を仰ぐこともない陰鬱な青年時代を送ったという▼だがある時、彼は"自分の胸中にも太陽は昇るのだ"と、心の向きが逆転する。そして確信した。「誰でもが太陽であり得る。わたしたちの急務はただただ眼の前の太陽を追いかけることではなくて、自分等の内部に高く太陽を掲げることだ」(『藤村全集』筑摩書房、現代表記に改めた)▼ある男子高等部員が未来部担当者に悩みを打ち明けた。「面白おかしく遊べる友達はいるけど、いつも彼らの方がまぶしく見えてしまうんです」。担当者は自分に自信が持てない彼を思いやりつつ、言った。「そうか。ならばまず、『本当の自分』を築こう」▼これまで彼は"周囲に自分がどう映っているか"を気にしてばかりいた。自身を真正面から見つめることを避けてきた。担当者の一言は、その弱い気持ちを打ち破るきっかけになった。彼は後年、働きながら大学二部で学び、現在は大学教員として活躍する▼"誰かに光を当ててもらわないと輝けない"という弱気では未来は開けない。自身が太陽に!——これが「本当の自分」をつくることに結実する。
寸鉄 2022年4月25日
「仏法は観念の遊戯ではない」牧口先生。日々、広布に走る学会員こそ偉大
江戸川「師弟勝利の日」。誉れ高き"信心の横綱"。拡大の一大旋風ここから
喜びは苦悩の大木に実る果実—文豪ユゴー。艱難辛苦に挑め。そこに境涯革命が
きょう国連記念日。「人類の議会」の強化を今こそ。平和願う市民の声を結集
「子どもの権利条約」認知度が課題—教員調査。社会の宝を守る努力を皆で
☆紙上セミナー 仏法思想の輝き 声優 一城みゆ希 信心で磨いた「声」を響かせ
【プロフィル】いちじょう・みゆき 本名・岡本浩子。テレビアニメ「名探偵コナン」、ディズニー映画「101匹わんちゃん」など、声優として出演多数。1961年(昭和36年)入会。東京都大田区在住。女性部副本部長。芸術部中央委員。
◇陰の労苦は必ず福徳に
「シャンプー 洗車 300円」——口を大きく開けて早口で3回、声に出してみてください。声優にとって、まず大切なのが滑舌です。日々の練習は欠かせません。
次に演技力です。例えば、台本に書かれた「……」。役の感情を想像し、間を取り、息遣いに心を込めて演じます。
先日、絶命する役を演じ終えたら、疲労が2週間も取れませんでした。視聴者に声となって届かないところでも、役になりきって芝居をしています。
芝居には、ごまかしが利きません。それまで積み上げてきた自身のすべてが表れるからです。
実際に私が接し、尊敬する声優の方々は、心の美しい、素晴らしい方ばかりです。
御書には、「ただ心こそ大切なれ」(新1623・全1192)と仰せです。
聴く人の胸に響く声を出すためには、心が大切です。だから、毎日の勤行・唱題は欠かせません。口をしっかり開き、題目を朗々と唱えることで、生命力がみなぎり、全力で仕事に向き合うことができます。
信心で心を磨いてきたからこそ、今の自分があります。
◇誰かが見ている
岩手から上京し、母と2人で暮らしていた14歳の時、リウマチで動けない母のオムツを替えるなど、看病に明け暮れていました。つらい青春時代でした。
その日暮らしの貧しい生活の中、母と共に入会。題目を唱えるうちに、母の病状が好転し、功徳を実感しました。
声優を志したのは40歳。子ども向けの歌手活動を、どうしていこうか考えていました。そんな時、人形劇で、幅広い声を使い分ける先輩の演技を目の当たりにし、その技術の高さに驚きました。"歌のお姉さんは、次々と若くて新しい人が誕生する。ならば、声の技術を磨いて、この先は声優の仕事もしていこう"と考えるようになったのです。
しかし、当時、声優は"裏の仕事"。軽んじられていました。今のような声優学校や養成所はありませんから、収録現場での先輩の演技を食い入るように見つめました。
ある時、大ベテランの先輩と並んで仕事を任せられるも、惨たんたる結果に……。私を選んでくれた演出家からも酷評され、自分の未熟さに気づかされました。
日蓮大聖人は、「信心強盛に歯をくいしばって難に耐え、たゆむ心があってはならない」(新1475・全1084、通解)と仰せです。
この失敗をバネに、"声優の道で必ず実証を示そう"と、心を美しく磨く学会活動に一段と励みました。
自宅に帰ってからも発声練習や台本の読み込みなど、睡眠時間を削り、努力を重ねました。
今も、自らの技術を磨く日々です。そのおかげで、これまで仕事が切れることなく、さまざまな役を頂くことができています。御本尊への感謝は尽きません。
30年以上たち、かつて私を酷評した、あの演出家が、「あんたはすごいな」と認めてくれました。
誠実に仕事に徹すれば、その姿を必ず誰かが見てくれています。陰の労苦は、必ず福徳となって自身を輝かせることを学びました。
◇夫婦で歩む日々
こうして生き生きと働けるのは、夫の存在があります。
結婚当初、夫は信心に反対でした。37年前、私の「のど」にポリープが三つも見つかり、芸能生命の危機に揺れていた時に、見かねた夫が言いました。「御本尊に祈ってもいいよ」と。私は一念発起し、真剣な唱題に励みました。1週間後、不思議とポリープが消えていたのです。その翌年、晴れて夫は入会しました。
夫は、2011年(平成23年)、がんや心臓病を患い、その後も、がんの転移を繰り返しました。
16年に、今度は私に乳がんと胃がんが同時に見つかりました。
"夫を支えるためにも、私が倒れるわけにはいかない"——信心で病魔に立ち向かいました。
幸い、両方のがんを同時に手術できる名医に巡り合い、10時間の手術は大成功。入院中も台本を読み続け、3週間で退院して即、収録現場に復帰しました。以前と変わらない声を聞いたスタッフが、涙を流して喜んでくれ、私も感極まりました。
昨年、夫の体調が悪化し、入院。コロナ禍で面会さえできず、夫の病状も不安定なので、在宅介護を決断しました。
新型コロナウイルスの感染対策のため、収録が短時間で行われるようになった今、夫と過ごす時間も増えました。夫は、がんの痛みも和らぎ、食欲も増して、医師や看護師も驚いています。
夫は病魔と闘いながら、私が声優でいられるように応援してくれています。耳が遠くなった夫に大きな声で話し掛けることで、腹式呼吸の練習にもなっていますから(笑い)。
慌ただしい毎日ですが、夫と共に祈りを合わせ、時を刻めることに、幸せをかみ締めています。信心根本に生きれば、一切を価値ある方向へ転換していくことができるのです。
支えてくださる、すべての方々への感謝を胸に、声優・一城みゆ希は、きょうもマイクの前に立ちます。
◇[視点]親孝行
一城さんは、苦労を重ねたお母さんに孝行したいとの思いで芸能活動に奮闘してきました。その経験から、声優学校などで、「朝起きたら両親に、"おはよう"って笑顔で言うのよ」と教えていたといいます。
日蓮大聖人は、門下・南条時光に対して、立派な人の振る舞いの一つに親孝行を挙げて、「親に良いものを与えようと思い、何もできない時には、せめて日に2、3度は親に向かって笑顔を見せるようにしなさい」(新1850・全1527、通解)とつづられています。
親に笑顔を見せるのが照れくさい場合もありますが、特別なことは必要ありません。自分を育んでくれた親に感謝し、温かく振る舞う中に、"仏法者の親孝行"があります。