一人の限界突破の挑戦が
皆の心を動かし
破竹の勢いを生む。
率先垂範の実践こそ
躍進への原動力だ!
大田殿許御書 P1004
『民の愁い積りて国を亡す』
【通解】
(天はいかりをなして天変が起こり、大地には災いをもたらしている。細く流れる水があつまって城の壁や堀をやぶるように)民衆の嘆きや悲しみが積もって国を滅ぼすというのはこれである。
名字の言 古今に変わらぬ勝負哲学 2021年5月26日
中国・宋の時代に、范仲淹という人物がいた。財政や教育など多方面の改革を担い、有能な人材の登用にも心を砕いた▼ある日、上官が「わしも随分多くの人を見てきたが、節操ある者はないものだ」と嘆いた。それを聞いた范仲淹は、「あなたが御存じないだけです」と断じた。「そうした先入観で人に接しておられると、節操ある者がやって来ないのはむしろ当たり前でしょう」(朱熹編・梅原郁編訳『宋名臣言行録』ちくま学芸文庫)▼人が物事を判断する際、自分の経験に頼るのが常である。だが経験は時に先入観となり、判断を誤らせる場合もある。予断を排し、本質に迫らんとする勇気が大切だろう▼65年前の「大阪の戦い」の勝利を、「"まさか"が実現」と新聞は報じた。客観的条件と経験から"勝てない"と判断していたからこそ、それを覆された驚きが"まさか"の見出しになった▼傍観者は、現状を経験やデータに照らして結果を予測する。一方、「大阪の戦い」の責任者だった池田先生は、「勝つ」ことを、自身に課せられた絶対の条件と定めた。そこから逆算し、足りない現状を変えるために命を削って戦った。方向が逆である。戦いは勝つと決めた方が勝つ。それが古今に変わらぬ勝負哲学である。
寸鉄 2021年5月26日
話に耳を傾ける会長から対話の姿勢学んだ—総長聞き上手こそ友情育む要
東京・杉並よ一気呵成に攻め上がれ!勇気の拡大で民衆勝利の歴史を必ず
広島女性の日。地域に太陽の励まし広げる平和の連帯。今日も友のために
1人暮らしで孤独感じる若者が増加と。青年部よ真心の声掛けを更に強く
絶えない振込詐欺の被害—知らない番号からの電話は要警戒。冷静に対処
☆御書の旭光を 第29回 今いる場所を「宝の舞台」に
【御文】
『今日蓮等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は化城即宝処なり我等が居住の山谷曠野皆皆常寂光の宝処なり』(御義口伝、734ページ)
【通解】
今、日蓮とその門下が南無妙法蓮華経と唱え奉っているのは「化城即宝処」である。我らの住む所は、山や谷や広野であっても全て常寂光の宝処である。
【池田先生が贈る指針】
「いつか」「どこか」ではない。「今」「ここで」仏の大境涯を開けるのが日蓮仏法の真髄だ。
現実と格闘する「この場所」が、寂光の舞台である。苦難に挑む「今この時」が、飛躍のチャンスとなる。
妙法を唱え、一つ一つ目標に挑戦する中で、人間革命の勝利劇を飾る。これが「化城即宝処」の人生なのだ。
☆紙上セミナー 仏法思想の輝き 野菜農家 �林優一
◇安心の「食」を届けたい
野菜農家 �林優一
【プロフィル】たかばやし・ゆういち 北海道立農業大学校卒業後、農協勤務を経て、実家の農園を継ぐ。52歳。1968年(昭和43年)入会。北海道・安平町在住。支部長。農漁光部員。
◇大地の恵みに感謝の祈りを
皆さんは日頃、口にする食材が、どこで、どのように作られているかお分かりですか? 食品添加物は含まれているでしょうか?
実家の農業を手伝い始めて5年がたった頃、こうした点を真剣に考えるようになりました。きっかけは、妻の食物アレルギーや、子どもたちのアトピー性皮膚炎でした。家族の悩む姿に触れ、少しでも体に良い物を食べさせたい一心で、まずは自身の農作物から見つめ直しました。
わが家の農園では当時、50ヘクタール(東京ドーム10個分)という広大な農地に米、小麦、小豆、大豆、テンサイ、カボチャ、トウモロコシ、ジャガイモなどを栽培していました。作業に当たるのは、家族4人。どうしても、効率を優先せざるをえません。
そのため、農作物の品質を整え、生産性や収益を上げるために化学肥料を使い、害虫を駆除したり、病害を防いだりするために農薬を使うことが当たり前でした。そうすることでしか、農家は生き残っていけない現実がありました。
生活が成り立たなくなるかもしれない——。それでも、「家族のために、より安全で健康に良い物を作ろう」と決心し、2003年(平成15年)から化学肥料や農薬を減らす栽培に着手。しかし、害虫の被害が増えたり、収穫量が減ったりと、思うように育ちません。両親とは意見が対立するも、根気強く自身の熱意を伝えながら、挑戦と失敗を繰り返しました。
◇微生物を生かす
"土を改良すれば、安心でおいしい野菜が作れるはず。しかし、どうすれば"——。深夜まで研究を重ねながら、欠かさなかったことがあります。それは、御本尊への誓いの「祈り」です。
日蓮大聖人は、「題目を唱え奉る音は十方世界にとずかずと云う所なし、我等が小音なれども、題目の大音に入れて唱え奉る間、一大三千界にいたらざる所なし、譬えば小音なれども貝に入れて吹く時・遠く響くが如く、手の音はわずかなれども鼓を打つに遠く響くが如し、一念三千の大事の法門是なり」(御書808ページ)と仰せです。
私たちが唱える題目が、あらゆる所に届くとは、「一念三千」の偉大さを表しています。一念三千とは、自身の一念が変われば周囲の環境や状況をも変えていけるという、仏法のダイナミックな原理です。
ある時、"農業とは、作物の子孫を分け与えてもらうもの"との話を聞き、ハッとしました。作物への感謝を忘れず、微生物と作物に優しく声を掛けるようになりました。堆肥を改善すると、作物の品質や味も変わり、ホームページや直売所での注文も増え始めたのです。
以来、「喜んでくれる人のために」との思いが原動力となり、2013年(同25年)には、農業認証の国際基準である「グローバルギャップ」を取得。さらに昨年7月には、農林水産省の「有機JAS」の認証を取得しました。この検査に合格することで、「有機」「オーガニック」と表示することができます。
現在、妻と長男と共に70ヘクタールの田畑のうち、1割の農地で有機農法を実施。作物が本来持つ力を高めることで、カビの原因菌を抑え、収穫量が増えました。味も格段に向上し、例えばゴボウは灰汁が出なくなり、えぐみもとれて大変好評です。
しかし、マニュアル通りにいかないのが農業です。天候にも大きく左右されます。時には「去年より甘みが少ないですね」と、仕上がりの良し悪しに気付き、それをも楽しみにしてくださるお客さまが全国に広がり、うれしい限りです。だからこそ、緊張感をもって唱題根本に努力を重ねる日々です。
◇人と人をつなぎたい
近年は後継者不足を理由に、離農する方も少なくありません。だからこそ、"地域の灯台"として人と人をつないできました。
心に刻んできたのが、「強盛の大信力をいだして法華宗の四条金吾・四条金吾と鎌倉中の上下万人乃至日本国の一切衆生の口にうたはれ給へ」(同1118ページ)との御文です。
大聖人は、門下の四条金吾に対して、信心を貫けば、行き詰まることなく人生を開いていけると励まされました。そうした諦めない不屈の姿に、周囲から信頼が寄せられ、称賛されるような存在となることができると仰せなのです。
2018年(同30年)に起きた「北海道胆振東部地震」で、わが地域は震度6強に襲われ、家屋や出荷前のカボチャが被害に遭いました。畑にも土砂が流れ込み、全て除去できるまで半年以上かかりました。両親は家を地域の支援物資の保管拠点として提供しました。
私も自分にできることは、何でも担わせてもらおうと挑戦してきました。現在、地元・安平町の観光協会理事をはじめ、10の役職を兼務しています。一昨年、わが町に震災からの復興の象徴である「道の駅あびらD51ステーション」が誕生。私が企画に携わった農産物直売所では、近隣の生産者が育てた農産品などを販売しています。
現在、北海道は春本番。安心な「食」をお届けするために、豊かな大地の恵みに感謝の祈りをささげて、挑戦を続けていきます。
◇[視点]自然を尊ぶ
日蓮大聖人は「百界千如は有情界に限り、一念三千は有情と非情の両方にわたるのである」(御書239ページ、通解)と仰せです。「有情」とは、人間や動物のように、感情や意識を持ち、それを表現することのできる存在です。「非情」とは、感情を表すことができない草木や山川、国土等を指します。
仏法では、私たち人間に仏性が必ず具わっているように、「非情」にも十界の生命があると説きます。ゆえに、自然にも仏の生命を見いだし、尊ぶのが仏法の思想です。
この哲理を胸に刻むからこそ、農漁光部の友は自然への敬意を忘れません。環境問題が叫ばれて久しい今、人間と自然が調和し共生するための智慧が仏法にはあるのです。