◇今週のことば
歓喜と祝賀の座談会だ。
「ほむれば弥功徳まさる」
陰の功労の宝友も
尊き副役職のリーダーも
皆で讃え合い新出発を!
2021年11月8日
大悪大善御書 P1300
『上行菩薩の大地よりいで給いしにはをどりてこそいで給いしか』
【通解】
上行菩薩が大地から出現された時には、踊って出現されたのである。
名字の言 沖縄・糸満の漁師が開発した「ミーカガン」 2021年11月8日
沖縄の漁師の多くはかつて、裸眼で潜水漁を行っていたため、目に損傷を負い、視力の低下にも悩まされた。その対策として、糸満の漁師であった玉城保太郎氏は、「ミーカガン」と呼ばれる水中メガネを開発した▼漁師の負担は劇的に改善し、漁獲量も飛躍的に増加。氏の水産業への功労は国からもたたえられる。この「ミーカガン」は競泳用ゴーグルの原型ともいわれ、水泳界にも影響を与えた。氏の偉業は漁師の生活を支えるだけでなく、他の分野の発展にも貢献した▼仏法では、眼が清らかになることで物事の本質を見抜く「眼根清浄」を説く。富山大学の眼科学教授である林篤志氏は、人生経験や努力の積み重ねで、実際に物の見え方が変わる可能性を指摘している(本紙10月2日付)▼24歳の入会以来、広布一筋に駆けてきた糸満の壮年部員は64歳の時、脳出血で倒れ、生死をさまよった。"目覚めても寝たきりでしょう"との医師の宣告を覆し、壮年は蘇生する。入会40年目に襲った大病を越え、「景色が一変した」と。壮年が語る生きることの感動と感謝は、多くの友に日々の大切さへの目を開かせた▼心をどの方向に開いていくか。それによって人生は大きく変わる。まさに目は心の窓である。
寸鉄 2021年11月8日
希望広げる創価の青年の対話は頼もしい―博士。人類結ぶ使命へ誇り高く
奈良の日。万葉の天地に共戦の人材群は澎湃と。「理想の都」建設へ心新た
「法自ら弘まらず」御書。故に今いる場所で後継の大河を。真心の激励益々
少しずつでも続ければ進歩に―作家。今日も前進の息吹で。11・18まで10日
SNSの消費者トラブル10、20代で増加。簡単に稼げる話は罠。噓見抜け
〈社説〉 2021・11・8 「秋季全国火災予防運動」
◇"いざ"に備える防災意識革命
かつて江戸の町は、火災が頻発した災害都市だった。江戸時代の270年間で、約50回もの大火が起きている。
約7万人が犠牲となった「明暦の大火」(1657年)もその一つ。80日近くも雨が降らず、強い風が吹く中、木造家屋が密集する町々は灰燼に帰した。
約60年後、現在の消防団のルーツである「町火消」が誕生。また家ごとに手桶に水をくんで軒につるすことや、火元の者は声を上げて、町内の人々は駆け付けて消火することが徹底されたという。
「火事は江戸の花」といわれるが、この言葉は消防の華やかな活躍ぶりを表現したものだ。消防技術も都市防災も発展途上の時代の話とはいえ、いざという時に備える意識と知恵は、現代の私たちも学んでいきたい。
あすは「119番の日」。この日から15日まで「秋季全国火災予防運動」が実施される。
消防庁の発表によると、令和2年中に全国で発生した火災は約3万4000件。このうち、住宅火災はおよそ1万件を占める。
住宅火災で人が亡くなったケースでは、「体が不自由」「熟睡していた」等の理由による"逃げ遅れ"が全体の半数を超え、最多の原因となっている。
逃げ遅れを防ぐために「住宅用火災警報器」を適切な場所に設置するなど、最低限の策は施す必要がある。ある事例では、1階の台所から出火。2階で就寝中の居住者が階段に設置していた住宅用火災警報器の音に気付いて119番通報し、駆けつけた消防隊によって避難できたという。
消防庁が推進する火災を起こさないための「住宅防火 いのちを守る 10のポイント」を確認しておきたい(詳細は総務省ホームページ等を参照)。
池田先生は「『無事故』こそ『幸福』の条件である。火災や交通事故などには、くれぐれも気を付けていただきたい。事故をなくすには、一人一人の『意識革命』が大切である」と述べている。
火災による被害をなくすために今も昔も変わらないことは、火災が起きる原因を知り、日頃から注意すること。そして万が一、出火したときにどのように行動すべきかを覚えておくことだろう。防災意識の革命を進め、明年を絶対無事故で迎えたい。さあ、きょうも先々の用心、火の用心を!
☆共生の地球社会へ~仏法の英知に学ぶ テーマ:子どもの権利
登場人物
【ミライさん】好奇心旺盛な女子部員。世の中の出来事について、父・ホープ博士と語り合うことを楽しみにしている。
【ホープ博士】勉強熱心な壮年部員。毎月1回、家族と一緒に教学を研さんしている。「博士」はニックネーム。本業は会社員。
◇誰もが等しく尊い存在
ミライ 今月、文部科学省が発表した"児童生徒に関する調査結果"を見たんだけど、昨年度、不登校の児童生徒数が8年連続の増加となったようだね。いじめや虐待も後を絶たないし、心が痛むよ。
ホープ 子どもが、心も体も健やかに成長できる社会を築くことが大切だね。そのためにも社会の仕組みを整えなければいけない。
日本では子どもを守る法律は多くあるけれど、子どもの権利を総合的に保障する基本法がないから、不十分だという指摘があるんだ。
現在、「子ども基本法」を制定し、子どもを権利の主体として位置付けようと議論されている。
この議論の基礎にあるのが「子どもの権利条約」なんだ。1989年(平成元年)、国連で採択されてから、来月で32年を迎えるよ。
ミライ 詳しく教えて!
ホープ 子どもというのは、守られるだけの存在ではなく、大人の所有物でもない、"一人の人間として尊重されるべき主体"であると、それまでの「子ども観」を大きく変えた画期的な条約なんだ。日本は94年(同6年)に批准。現在、さまざまな人権条約の中で、最も多い196カ国・地域が締約しているよ。
◇基本理念の浸透を
ミライ この条約にはどんな内容が盛り込まれたの?
ホープ 条約では四つの一般原則を定めているよ。
まず、子どもの命が守られ、成長できるよう、医療・教育・生活への支援などを受ける「生命、生存、発達の権利」。子どもに関することが決められるときには、その子にとって最も良いことは何かを第一義に考える「最善の利益」。自由に意思を表明する「意見の尊重」。そして、人種や性別、障がいなどで差別を受けないとする「差別の禁止」。
ミライ どれも大切なことだね。
ホープ 条約の誕生以来、世界では5歳未満の死亡者数が半減し、多くの子どもが学校に通えるようになったんだ。それは、児童労働や人身売買といった問題に国際社会が一体となって取り組んだからなんだ。
一方で今も、兵士として戦うことを強いられたり、難民や移民となったりして、暴力や命の危険にさらされている子どもがいる。強制結婚や差別など、人権が守られていない子どもは決して少なくないんだ。問題の背景には、貧困や地域固有の文化などがあると指摘されているよ。
ミライ 条約の基本理念の理解・浸透を図るためには、社会の価値観を変える粘り強い啓発が必要だね。
◇尊厳性に目覚める
ホープ 創価学会は91年(同3年)から展示・講演会を通して、この条約の周知に努めてきたんだ。
旧来の価値観や常識を見つめ直す上で、法華経提婆達多品第12で明かされた「竜女の成仏」は示唆に富んでいるよ。
8歳の少女である竜女は、自分の成仏を信じない人々の前に現れ、釈尊に向かって、"苦しんでいる人々を救っていく"と誓うんだ。けれども、有名な仏弟子の舎利弗や智積という菩薩は、竜女の成仏を信じない。修行が浅いことと、幼い女性であることを理由にね。
そこで、竜女が成仏の姿を示し、人々のために法を説く光景を目にしたことで、舎利弗たちは竜女の成仏を確信したという話だよ。
ミライ "8歳の少女"の成仏――そこから、子どもや女性の生命にも等しく尊厳性が具わっていることを示したんだね。まさに価値観の大転換だね。
ホープ 竜女の成仏が一切の女性の成仏を開いたように、日蓮大聖人は、「一人を手本として、いかなる人にも等しく当てはまるのである」(御書564ページ、通解)と仰せだよ。
仏法では、万人に具わる尊極の仏の生命は、年齢や性別に左右されないと説く。だから子どもが幸せになる権利を侵害してはならないんだ。
相手の尊厳性を敬う哲学に裏打ちされた、徹底した平等観こそ人権の世紀を開く要諦だといえるよ。
ミライ そうした平等観に触れれば、きっと変化があると思う。
ホープ かつて、子ども兵士だった人が、「子どもの権利条約」の存在を初めて知った衝撃を、"私たちの生命の価値と人間性を改めて呼び覚ます"と語ったんだ。
池田先生は、このエピソードを紹介してこう述べているよ。
「『子どもの権利条約』が自らの尊厳性に目覚める源泉となり、若い世代の生きる希望の拠り所となるように、各国で条約を守る気風を確立し、社会全体に"子ども第一"の原則を根づかせていくべきであると訴えたい」(第38回「SGIの日」記念提言)
ミライ 池田先生は、子どもを"一個の人格"として尊重する大切さを一貫して示されているよね。子どもたちが自身の尊さを自覚するために、欠かせない振る舞いなんだね。
大人の社会が、子どもの姿にいろいろな形で投影されるのだから、私たちの振る舞いで範を示していこうと思う!
◇御文
『一人を手本として一切衆生平等なること是くの如し』(三世諸仏総勘文教相廃立、564ページ)
◇メモ
仏法では、あらゆる人が地獄界から仏界までの十界を具えていると説きます。さらに、十界は互具しているので、仏界を基盤とする境涯を確立することができます。その意味で私たちは、生命の次元で一切平等なのです。
日蓮大聖人お一人を「手本」として、等しく万人成仏の道が示されました。この信心を貫けば、どんな人でも自身の生命を輝かせていくことができるのです。
[コラム:"いま"を知る]創価の人間教育
「子どもの権利条約」に大きな影響を与えた、20世紀ポーランドの教育者のヤヌシュ・コルチャック氏は、「子どもは今を生きているのであって、将来を生きるのではない」と考えた。子どもを"未来の担い手"とだけ捉えてしまうと、"現在"への視点が欠落しかねないとの警鐘だ。
コルチャック氏と同時代を生きた牧口先生は、教育の目的は「子どもの幸福」にあるとの信念で、『創価教育学体系』を世に問うた。当時の日本では、教育の目的は論ずるまでもなく、国家のためと考えられていた。滅私奉公を是とした社会にあって、この訴えがどれほど勇気あるものだったか。
仏法では「現当二世」を説く。現在から未来へ、今日から明日へ――。牧口先生を源流とする創価の人間教育は今日、世界で実践されている。子どもは"将来の宝"であると同時に、既に家庭や地域、社会の立派な構成員であるとのまなざしで、子どもを温かく育む教育が必要ではないか。