苦境に陥った時は
一人で抱え込まず
周囲に相談しよう。
話を聞いてもらうことで
次の一歩も見えてくる。
同生同名御書 P1115
『釈迦仏普賢菩薩薬王菩薩宿王華菩薩等の各各の御心中に入り給へるか、法華経の文に閻浮提に此の経を信ぜん人は普賢菩薩の御力なりと申す是なるべし』
【通解】
釈迦仏が、また(英知の力をもつ)普賢菩薩が、(病気を治す力をもち、法華弘通を誓った)薬王菩薩が、(神通力で法華経を守護する)宿王華菩薩等が、あなた方の生命の中に入られたのだろうか(そうでなければ考えられない不思議なお姿です)。法華経の経文に「世界で人々がこの経を信ずるとき、それは普賢菩薩のお力である」とあるのは、このことでしょう
名字の言 手塚治虫氏がつづる「忘れられない」思い出 2020年12月22日
戦時中、その少年は学校で漫画を描くことに熱中した。だが、時代がそれを許さなかった。学校にいた配属将校や教員から「戦時下に、何たることか」と、白い目で見られることもあった▼そんな彼をいつもかばったのが美術の先生だった。「これが才能なんだから」と職員室で熱弁を振るってくれた。「いまはこういう時勢なんだが、あきらめちゃいかんぞ」と激励されたことも。その少年こそ手塚治虫氏。後に"漫画の神様"と呼ばれることになるが、「忘れられない」と若き日の思い出を記している(『ぼくのマンガ人生』岩波新書)▼その時は未来が見えなくても、信じてくれる人が一人でもいれば、自ら決めた道を歩み抜く力になる。手塚氏にとって戦火の体験は、漫画で"生命の尊厳"を訴える原動力となった▼今春、子どもたちは先行きが見通せない中で、入学や進級を迎えた。社会の混乱は現在も続く。学校生活のこと。将来のこと……。不安は募るばかりだろう▼大人にとって、子どもたちは未来を託すだけの存在ではない。励まし合って、互いに成長し、未来を一緒につくる同志である。どんな試練の"冬"をも、希望の"春"へと変えゆく信心の確信を伝え、創価家族のぬくもりを届けながら、今できる挑戦を共にしたい。(将)
寸鉄 2020年12月22日
信心は智慧の源泉であり最高に己を輝かせる道—牧口先生。題目即希望だ
統監部の日。カード1枚を同志の"命"と。皆様の尊き献身で広布は前進!
創価の法城支える牙城会と王城会に感謝。陰の労苦に常楽我浄の福徳厳然
"敵はわすれさせてねらう"と御書に。無事故は勝ち取るもの。油断なく
大雪に引き続き備えを。無理は禁物。「無冠の友」の健康と安全を皆で祈念
☆世界広布のわが舞台 第4回 高齢社会で輝く「人材育成」——シンガポール・ヨーチューカン支部
今回、取材したのは、シンガポール北東部(アンモキオ、セラングーン、イーシュンなど)を活動の舞台とするヨーチューカン支部です。少子高齢化が進むシンガポールにあって、同支部では、若い力が勢いよく伸びています。(記事=木崎哲郎)
◇青年が主役の支部総会
「ニーハオ!(こんにちは!)」
先月7日、ヨーチューカン支部の総会がオンラインで開催された。
シンガポールは、国民の7割を占める中華系をはじめ、マレー系、インド系などの人々が暮らす多民族社会だ。
4地区184人からなる同支部のメンバーは、ほぼ全員が中華系。年配のメンバーも多いが、「青年が活躍できる場をたくさんつくろうと、いつも声を掛け合っています」と、馮志亮支部長は語る。
総会では、司会も、活動報告も、歌のパフォーマンスも、未来部、学生部、男女青年部が担当。とりわけ第3地区の男子地区リーダー、林志緯さんの体験発表が感動を呼んだ。
林さんは昨年1月、脳腫瘍の摘出手術を受け、闘病生活を始めた。
「どうしたら彼の思いを理解してあげられるか。どうすれば勇気を送ることができるか。毎回の地区協議会では、時間がたつのも忘れ、真剣に話し合いました」。馮支部長は振り返る。
数多くのメンバーの励ましに、胸を熱くした林さん。昨年春、自身の宿命転換を懸け、男子地区リーダーの任命を受けることを決心した。
その後、放射線治療が始まり、仕事の契約が途切れてしまう。だが林さんは負けなかった。同志と共に唱題を重ね、仏法の研さんも深めていった。
手術から1年余り。健康を取り戻した林さんは、本年春、転機を迎えた。デジタルマーケティングの学位の取得を目指し、大学で学び始めたのだ。
さらに今秋、コロナ禍の中で就職活動に挑む。200以上の企業に応募し、見事、競争率の高い映像制作分野での再就職を果たした。大学での勉強が、仕事で生かされているという。
「僕を本当の息子のように支えてくれた婦人部の方々、宿命転換の哲理を教えてくれた壮年部の先輩。お世話になった人は数え切れません。僕の勝利は、皆さんの祈りのおかげです!」
◇教学を磨く時!
シンガポールでは、3月ごろから新型コロナの感染が拡大し、4月から「サーキットブレーカー」と呼ばれる厳しい外出規制が始まった。
政府主導の対策が功を奏し、日々の感染者数は減少。市民の生活は6月ごろから、ほぼ平常に戻っている。だが、海外からの観光客が途絶えたことなどによって、同国の経済は深刻な打撃を受けた。
男子部の劉偉倫部長は、「多くの人は今、減給に遭い、仕事をどう安定させるかで悩んでいます」と語る。ITエンジニアの劉さん自身、転職の準備中だ。
男子部では毎週、オンラインの「仏法学習会」を開催。御書や小説『新・人間革命』を学び合っている。「今こそ教学の力を磨きたい」と劉さんは声を強める。
「未来は、私たちの今の戦いで決まります。この危機を契機に、世界が結束し、新しい時代を築く。そのための『因』を、男子部が創ります」
こうした男子部員たちを陰で支えるのが壮年部。国立公園局のITディレクターである馮支部長は、市民の安全確保へ、公園の混み具合をネット配信するシステムを構築するなど、不眠不休で奔走してきた。
「大きく揺れ動く社会状況ではありますが、池田先生の焦点は常に、次代の青年の育成にあります。人材育成こそ、師にお応えする道です」
◇"姉妹"のように
婦人部・女子部の固い「団結」も、ヨーチューカン支部の特色だ。
女子部の田玉梅部長は、「婦人部の皆さんとはいつも連携を取り、メッセージもやり取りしています。仲のいい"姉妹"みたいですよ」とほほ笑む。
毎週日曜の夜は"婦女の同盟唱題"を実施。定期的に、小説『新・人間革命』の学習会も一緒に行っている。こうした取り組みの中、ここ数年で新たに5人の活動者が生まれ、全地区に女子地区リーダーが誕生した。
子育てと仕事を両立する李薇薇支部婦人部長は、どんなに多忙でも「若いメンバーのサポートは最優先」と言う。
それには理由がある。かつて李さんは貧しい家庭で育ち、自分に自信が持てなかった。シンガポールは高度の学歴社会。小学校の成績で中学のクラスが決まり、その後も成績によって進路のレールが早々と定まる。将来を思うと、ため息が出た。
だがある日、「不可能と思うことを祈れば、信心のすごさが分かる」との先輩の一言に奮起し、猛勉強を始める。思いがけず奨学金を得て大学に進むことができ、イギリス留学も実現した。
昨年、ステージ3の乳がんが発覚。亡くなった母親と同じ病でもあり、深い「宿命」を感じた。だが信心根本に治療を続け、寛解を勝ち取った。
「"ネバー・ギブ・アップ(絶対に諦めない)"という生き方を、私は、池田先生から教わりました。青春時代は悩みの連続です。その中で『人生の師』を持つことが、どれほど幸福なことか。それを青年部に伝えていきたいんです」
昨年、大学を卒業するも、仕事が見つからず悩んでいた女子部員がいた。女子部の田部長は、毎晩、彼女との同盟唱題を開始。婦人部長の李さんも加わり、「祈りは絶対にかなう」と激励を重ねた。つい2週間前、その女子部員から内定を得たとの連絡があった。
「婦人部の励ましって、やっぱりすごいな、と思うんです」。田部長は瞳を輝かせる。
「先輩たちには、長年の信心の『体験』と『確信』がある。それこそが、若い世代への何よりの贈り物です」
◇師匠に代わって
青年育成に力を注ぐヨーチューカン支部だが、年配者の支援にも心を砕く。インターネット環境がないメンバーには、電話での声掛けを続ける。
支部には80代後半の認知症の婦人部員がいた。支部員たちは折に触れて近況を確かめ、励ましの言葉を送った。その姿を未入会の娘さんが見ていた。
先日、婦人部員は霊山へ旅立った。その後、娘さんは「学会の皆さんのおかげで母は幸せでした」と深い感謝を述べ、「私も創価学会の一員になりたい」と、入会を申し出たという。
「一人を大切に」——この学会精神の基本に徹すれば、どんな環境でも広布の裾野は広がっていくのだと、支部の友は感動を新たにした。
小説『新・人間革命』第1巻の中に、山本伸一会長が海外訪問の際、日本の支部長に送った手紙の一節が記されている。
「今、私の心は、わが身を捨てても、戸田先生の遺志を受け継ぎ、広布の総仕上げをなそうとの思いでいっぱいです。そのために大事なのは人です、大人材です」
「私に代わって支部の全同志を心から愛し、幸福に導きゆかれんことを願うものです」
ヨーチューカン支部のリーダーたちが、心に刻む指針である。