◇今週のことば
和楽の座談会こそ
人生と社会の灯台なり。
「ほむれば弥功徳まさる」
明るく奮闘を讃え合い
希望と勇気の新出発を!
2020年12月13日
佐渡御書 P958
『世間の愚者の思に云く日蓮智者ならば何ぞ王難に値哉なんと申す日蓮兼ての存知なり父母を打子あり阿闍世王なり仏阿羅漢を殺し血を出す者あり提婆達多是なり』
【通解】
世間の愚者が思っているのには「日蓮が智者であるなら、どうして王難に遭うのか」などと言う。しかし、日蓮にはかねてからわかっていたのである。父と母を殺そうとした子がいた。阿闍世王である。阿羅漢を殺し、仏の身を傷つけ、血を出させた者がいた。提婆達多である。阿闍世王の六人の重臣はそれを褒め称え、提婆達多の弟子の瞿伽利らは喜んだ。
名字の言 牧口先生は「最高の人格者」——ある青年の日記 2020年12月13日
ある青年の日記を読んで驚いた。1943年(昭和18年)6月29日にこうある。「牧口氏の(中略)講義を聴きに行く。大いに価値あり。早速入信することにする」。牧口先生が治安維持法違反等の容疑で逮捕される1週間前のことだ▼3日後の7月2日、青年は牧口先生の著書『価値論』を買った。日記には「先生の言葉がまた味わわれるような気がする」と。「最高の人格者」と牧口先生に心酔した青年は、夫人にも信心を勧めた(『亡き山崎覚の形見の日記』文芸社)▼46年(同21年)、青年は結核を患い28歳で早世。夫人は大阪へ移り、洋裁店を開いた。夫と死別して8年後、店の客の誘いで座談会へ。夫の信仰と再び巡り合ったことに感激し、入会した▼その年、夫人は若き池田先生と出会いを結ぶ。「魔に負けない信心を一生涯、貫いてください」。この言葉を抱き締め、広布に駆けた。夫人は96歳で亡くなるまで、後輩の悩みに耳を傾け、いつも確信を込めて語ったという。「"負けじ魂"を貫けば、今の苦悩も必ず人生の宝になるわよ」▼牧口先生がまいた幸福の種は、池田先生によって育まれ、関西の地に花開いた。師の戦いは私たちに教えている。種をまくこと。語り動くこと。そこから偉大な人間革命のリレーが始まる——と。(嶺)
寸鉄 2020年12月13日
「蓮はきよきもの泥よりいでたり」御書。幸福の花は必ず。揺るがぬ確信で
岐阜・大正義の日。勇気の言論で勝利の突破口を!友の胸に共戦の魂は赤々
全力なら言葉一つもどんなに力強くなるか—哲人一瞬の出会いも真剣勝負
買い物でレジ袋辞退する人は7割超。皆の意識が環境守る。取り組み益々
悩みや不安は抱え込まずに話すと心は軽く—医師遠慮せず、聡明に相談を
〈社説〉 2020・12・13 12月は「地球温暖化防止月間」
◇身近な行動が世界への貢献に
12月は「地球温暖化防止月間」だ。例年、環境省の呼び掛けで、行政や事業者、国民が一体となって、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を減らす取り組みを推進してきた。
具体的には、空調や照明について、必要かどうか見直しながら無駄を省いていく。保温効果の高い肌着を着用したり、1枚多く羽織ったりする「ウォームビズ」で、暖房の設定温度を低めに保つ、等の取り組みが続けられている。
実践に当たって、新型コロナウイルス感染防止対策として、換気や手洗いの励行を心掛けたい。感染予防と温暖化防止の両立へ、工夫を重ねよう。
先月、国会で「気候非常事態宣言」が採択された。災害級の猛暑や、数十年に1度という規模の台風・豪雨が、毎年のように深刻な被害をもたらしている状況を「気候変動の域を超えて気候危機」とし、その克服に向けて「一日も早い脱炭素社会の実現」を訴える。
同宣言に先立ち、菅首相は所信表明演説で、2050年に国内の温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にすると語った。
「実質ゼロ」とは、排出量を減らす技術改善と合わせ、二酸化炭素を吸収する森林を増やしたり、回収・圧縮して地中貯留したりすることで、差し引きで大気中の増加分をゼロにするというものだ。
報道によれば、約120カ国が同じく50年までの実質ゼロ達成を目標に掲げている。
実は、5年前に開催された国連気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)で採択された「パリ協定」で、今世紀後半の実質ゼロ達成は目標となっていた。国際社会がスタートラインに立つことができたことを評価したい。
池田先生は、本年の「SGIの日」記念提言で、こう訴えた。
「気候変動の問題に立ち向かうグローバルな行動の連帯を広げることで、人類史の新たな地平を開くパラダイムシフト(基本軸の転換)を推し進めるべきであると、私は強く呼び掛けたい」
先生は、気候変動の影響が、社会的に弱い立場にある人々に、より強く出ることに言及。国連が掲げる「誰も置き去りにしない」理念と深く共鳴し合う信念の行動を創価学会が貫いてきた歴史と、さらに、気候変動問題に取り組む創価の青年の連帯と実践を紹介している。
そして、初代会長・牧口先生の説く「他のためにし、他を益しつつ自己も益する」(『牧口常三郎全集』第2巻)という「人道的競争」の重要性を強調する。
提言に照らせば、ごみの分別や節電、節水など、環境を守る地道な取り組みは、世界の人々への貢献につながる。
地球の未来を開くため、一歩を踏み出そう。
☆創価大学 箱根駅伝への道(下)
◇最上級生の勢いがチームをけん引
午後5時半。広大な天然芝のグラウンドを8基のLED照明が照らす。トラックを駆ける選手たちの足音が小気味よく響き渡る。
この日のメニューは、九つのグループに分かれ、一定の距離を決められたタイムで走る「インターバル走」である。
「去年よりも設定タイムが速くなっています。チーム全体としてレベルが上がっている」と言うのは、久保田満コーチ。創価大学で指導を始めて今年で10年になる。
選手たちを間近で見てきたコーチは、箱根経験者が7人いる今年のチームに手応えを感じていた。「来年のシード権を取った『自信』が言動に表れています。"自分たちはやれる"という精神的な強さが、練習から垣間見えます」
◇"自分の走り"
夏に個人の月間走行距離「900キロ」を掲げ、徹底して走り込んだ創大駅伝部。その成果は秋からの駅伝シーズンで、すぐに発揮されるかに思えた。
10月に開催された「多摩川5大学対校長距離競技会」(4日)と「トラックゲームズ in TOKOROZAWA」(11日)。これらは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となった出雲駅伝の「代替試合」として位置付けられたもの。駒澤大学や早稲田大学といった来年の箱根駅伝のシード権を持つ大学と、トラックレースの合計タイムで競い合った。
創大は選手の半数以上が自己記録を更新。だが、チームとしての結果は振るわなかった。両レースとも、出場した相手は箱根の常連校ばかり。創大も順調に調整してきたとはいえ、各校も確実に力を伸ばしていた。
「上位校のプライドというか、経験値の差が出たように感じました。ただ選手たちは、この経験をどう生かすかを、すぐに考えていました」(榎木和貴監督)
レースを終えた選手たちは、結果から見るほど戦えない相手ではないと実感していた。練習に関しても、張り合えるだけの「質」と「量」をこなしてきた自信があった。
コロナ禍で"考えて走る"意識が強くなった彼らは、監督やコーチと話し合い、個々の課題点を洗い出した。そして、自分に足りない力を付けるためのメニューを日々の練習に取り入れた。その後、選手たちは試合を重ねる中で、次々と自己記録を塗り替えていく。
「相手に関係なく"自分の走り"ができるようになった。それが成長の証し」と榎木監督。加えて、今年のチームは「4年生の勢いが違います」と語る。
◇4年生の自覚
学生スポーツでは、最高学年である4年生の雰囲気が、そのままチームの"色"になる。4年生の目標や練習などへの意識の高さ次第で、チームの方向性も変わっていく。
「今年のチームはまとまりが強い。全てにおいて4年生が中心になって、皆をリードしているからです」(瀬上雄然総監督)
現4年生には、箱根を知る選手が5人も残った。
エース・福田悠一選手、石津佳晃選手は前大会で区間一桁の好走を見せ、鈴木大海選手は前々回の「関東学生連合チーム」での出場と合わせて2年連続で箱根路を駆けた。原富慶季選手は3区、右田綺羅選手は7区を前回任されている。
卒業した先輩と共に歴史を築いた最上級生の勢いは、チーム全体に波及している。
故障者が少ないのも、勢いを生んでいる要因の一つ。試合の再開以降、4年生は目標だった5000メートルでの14分30秒切りを全員が達成した。
さらに、今月21日に実施された「2020八王子ロングディスタンス」では、福田選手が1万メートルで創大の日本人歴代記録を更新する28分19秒26をマーク。「練習でも記録でも、後輩を積極的に引っ張っていきたい」と語る通り、自らの後ろ姿でチームをけん引する。
◇下級生の成長
先輩に負けず劣らず、後輩たちも着実に成長している。
「練習を引っ張る4年生に、下級生も必死に食らい付いている。チームとして、最高の流れができました」と榎木監督は語る。
3年生では、今年の箱根10区で区間新をマークした嶋津雄大選手が、10月に1万メートルの自己記録を更新。三上雄太選手は、標高差981メートルの坂を駆け上がる"仮想箱根5区"の大会「激坂最速王決定戦2020」で、堂々の優勝を果たした(今月21日)。
「同世代の競争意識がすごく高い」(久保田コーチ)という2年生の躍進も著しい。関西創価高校出身で今年の箱根6区を走った葛西潤選手、長野の名門・佐久長聖高校出身の濱野将基選手に加え、新家裕太郎選手、横山魁哉選手らも力を伸ばしてきた。
ケニア出身のムルワ選手(中)は1万メートルの自己記録を27分台に縮めた(今月21日、上柚木公園陸上競技場で。写真提供=瀬上滉夢)
同じく2年生でケニア出身の留学生、フィリップ・ムルワ選手は21日の試合で1万メートルを27分50秒43で走り、自己ベストをたたき出した。
昨年もそうだが、下級生のレベルアップによるチーム全体の底上げが、一段と競争意識を高め、選手層を厚くしている。
◇縁の下の支え
今年は、縁の下でチームを支えるマネジャーも例年以上に意識が高い。
マネジャーは2人が男性で、6人が女性。駅伝部初の女性主務である豊福妙香さん(4年)を中心に、8人が団結してチームをまとめている。
豊福さんが主務に就任以来、重視してきたのは「マネジャー同士のコミュニケーション」だという。定期的なミーティングの開催に加え、日々の報告・連絡・相談を去年よりも徹底。常に8人で話し合い、役割分担を明確にしながら、"どうすればチームが強くなるか"を真剣に考え、行動を起こしてきた。
タイムを計る豊福主務(中)ら女子マネジャーの声がグラウンドに響く。陰の力がチームを支える(創大池田記念グラウンドで)
毎回の試合後には、選手がまとめた報告リポートを、すぐにスタッフと共有。監督やコーチは、それを元に一人一人に具体的なアドバイスを送っている。
また、コロナ禍で試合が中止になった期間には「もう一花咲か創価プロジェクト」を立ち上げ、駅伝部のSNSで選手の情報を積極的に配信。応援してくれる人たちの目線に立って、チームの思いを伝えてきた。
「細かい所に目が届き、何をするにしても反応がよく、とにかく丁寧。誰一人、チームに欠かせない存在です」(渡部啓太コーチ)と、選手・スタッフからの信頼も厚い。
豊福さんは力を込める。
「選手たちが思う存分に実力を出せるよう、全力でサポートしたい。本番までの一日一日を大切に過ごしていきます」
朝の光が注ぐキャンパスを、選手たちが走り抜ける
創価大学は明年、開学50周年の佳節を迎える。その意義深い年の出発を飾るのが駅伝部だ。
初めての箱根駅伝は2015年。予選会を10位で通過してつかんだ初出場だった。
2度目の挑戦となった17年の大会では、総合12位に。
その後、2年連続の予選落ちを経て臨んだ前回大会は、記憶に新しい最終盤の大逆転でシードの栄冠に輝いた。
「天下の険」と呼ばれる箱根の難所を走り、歴代の先輩たちが汗と涙と歓喜でつないできた"魂のタスキ"。
創価の伝統は「先輩が後輩の道を開くこと」。そして「後輩が先輩を超えていくこと」だ。
選手たちは、たくさんの人たちの思いを背負い、未来へ"希望のタスキ"をつなぐ。
榎木監督は「創大の応援は、どこのチームよりも強いと選手たちは感じています。それを力に変えて、目標の『総合3位』を達成できるように頑張りたい」と意気込む。
瀬上総監督は決意する。
「創立者をはじめ応援してくださる全ての方々に、画面を通して『創価』の名前が入った姿を見てもらい、皆に勇気と感動を送る走りを披露します」
逆境を跳ね返し、一回りも二回りも強くなった創大駅伝部が、明年1月2日と3日、4度目の箱根路に挑む。