新聞休刊日
御義口伝巻上 P735
『酒は無明なり醒むるは法性なり法は酒なり妙は醒めたり妙法と唱うれば無明法性体一なり』
【通解】
酒は無明、迷いであり、さめていることは法性、悟りである。妙法の「法」は酒、すなわち無明であり、「妙」はさめていること、すなわち法性である。南無妙法蓮華経と唱えれば無明と法性、迷いと悟りは、その体が同じであることを悟るのである。
☆「わが愛する青年に贈る」に学ぶ 第1回 勇気〈上〉 「今」を勝つ一念が一切を変える 志賀青年部長
新連載「紙上教学研さん『わが愛する青年に贈る』に学ぶ」では、「大白蓮華」に掲載された池田先生の「世界を照らす太陽の仏法」の中から、男女青年部への御書講義を収めた書籍『わが愛する青年に贈る』を学びます(各テーマにつき上下の2回。合計10回連載)。第1回は「勇気——『今』を勝つ一念が一切を変える」をテーマに、志賀青年部長と共に研さんします。(<下>は21日付に掲載の予定。先生の講義は『わが愛する青年に贈る』から引用)
◇池田先生の指導
瞬間瞬間を逃さず、全力を尽くす。
題目を唱えて、懸命に戦い抜く。
この精進行にこそ、
仏法の「勇猛精進」の真髄がある。
1 世界へ広がる創価の師弟
今回の教材『わが愛する青年に贈る』は、北中南米やオセアニア、欧州、アジアなど、世界中で学ばれています。同書に池田先生は綴られました。「私は、今、世界広宣流布の一切を託すべき男女青年部に、御書に学ぶ"人間王者のリーダー学""青春凱歌の人間学"を語り伝えていきたい」と。先生のお心を深く胸に刻みながら、世界の同志と共に、創価後継の精神を学びましょう。
第1回のテーマは「勇気」です。先生は、その真髄が「勇猛精進」にあると述べ、恩師・戸田城聖先生との思い出を語ってくださいました。
■ 池田先生の講義
「75万世帯達成」が発表された師走、(戸田)先生は私に言われました。「大作、あと7年で、200万世帯まで戦いたい」と。
ところが、先生は、その2カ月後には、さらに目標を高く上げ、「300万世帯だ」と語られました。大きな山を越えて、また戦うのだ! まだまだ戦い続けるのだ!
止まることを知らぬ、わが師の闘魂を仰ぐたび、共戦の弟子もまた、自身の境涯が大きく広がり、勇気百倍、断固、戦うことができたのです。
(「大白蓮華」の)巻頭言で先生は、大難が競うことを予見し、「いかに敵が強くても、恐れてはならない。従ってはならない」と、勇敢な信心に立つことを訴え、大切な学会員が「広宣流布の大道を、勇猛精進せられんことを祈ってやまないものである」と綴られました。
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いかなる難があろうと、勇敢な信心で戦い続ける。この勇猛精進の原動力こそ「師弟」であることを池田先生は教えてくださっています。
本年9月の世界青年部総会を目指し、各国の青年リーダーたちとオンライン会議を重ね、「世界青年部歌」の制作に取り組んだ時のこと。新型コロナウイルス感染症が極めて深刻な状況にあった国のリーダーが、感極まった表情で語ったことが忘れられません。「この苦難を必ず乗り越え、勝ち越えて、先生にお応えしたい!」「メンバーに勇気と希望を送る歌を作りたい!」と。「わが国土を断じて幸福と平和の楽土に!」と誓う皆の胸には、師匠への報恩の思いが脈打っていました。
このように、60年前の海外初訪問以来、先生がまいてこられた"平和の種"は、世界中で青年の陣列となって咲き薫っています。
"地涌の菩薩とは私たち一人一人である"との自覚、"私が広宣流布をやる"との決意にあふれた世界青年部総会は、学会創立100周年となる2030年へ出発を切る「師弟誓願の会座」となったのです。
2 不可能を可能にする人生とは
池田先生は「わが愛する世界の青年たちに、最初に、この一節を贈りたい。不二の命に刻み、創価の闘士の魂を受け継いでもらいたいからです」と語り、「御義口伝」の一節を講義してくださいました。
【御文】
一念に億劫の辛労を尽せば本来無作の三身念念に起るなり所謂南無妙法蓮華経は精進行なり(御義口伝、御書790ページ7行目)
【現代語訳】
億劫(きわめて長遠の間)にわたって尽くすべき辛労を、わが一念に尽くしていくなら、本来わが身に具わっている、無作三身という仏の生命が瞬間瞬間に現れてくる。南無妙法蓮華経というのは精進行である。
■ 池田先生の講義
いかなる苦難の嵐があろうが、妙法の信心に励み抜くこと。
広宣流布の戦いに徹し抜くこと。そして、最高に価値ある人生の真髄の道を歩み抜くこと。
そうすれば、わが胸中に、必ず偉大にして自在の仏の生命が薫発されていくと約束されている御文です。
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池田先生が戸田先生から「命に刻んでおきなさい」と言われた重要な御文です。戸田先生の事業が苦境に陥った時も、「大阪の戦い」の時も、池田先生はこの御聖訓を胸に、"不可能を可能に"してこられました。
私たちは自身の目標や課題に対して、真剣であるからこそ壁にぶつかり、悩みます。予期せぬ苦難が襲ってくれば、なおさらです。この御文は、悩みこそ自身の可能性を開く源であると拝せられます。
私が大学生の頃、祖父ががんを患いました。家計を助けるため、私は学業を断念しようかと悩みました。しかし家族と話し合う中、皆で一丸となって信心で立ち向かおうと決意。私は自身の本分を忘れず、勉学と学会活動に打ち込みました。そして、あるNGOのインターンシップ(就業体験)で海外に行く機会に恵まれ、この経験が生きて第1志望の会社に就職できたのです。
私が入会に導いた友人も、信心で人生を切り開きました。入会当初の彼は、体調を崩しやすく、収入も不安定。将来の展望もありませんでした。牙城会大学校(当時)に入校した彼は、仏法対話に挑戦。折伏が実らず、何度も悔しい思いをしました。また勤務先から突然、解雇されたこともありました。試練に遭うたび、私は彼と一緒に勤行・唱題を重ねました。
その後、彼は創価大学の通信教育部で学び、小学校教員に。今、教育現場の最前線で奮闘しています。彼が「信心したおかげで、こんなに幸せになれた」と語ってくれたことが、私の何よりの喜びです。
3 「今この瞬間」を勝ち切ろう
続いて先生は「億劫の辛労」について言及し、こう指導されています。
■ 池田先生の講義
「億劫の辛労」とは、"長遠なる時間にわたる辛く苦しい努力"です。いつ終わるとも知れない無限の労苦とも、受け止められるかもしれない。
しかし、大聖人は、この「億劫の辛労」は、妙法を唱え戦う、瞬間瞬間のわが一念に尽くせるのだと、大転換して教えてくださっています。億劫にわたる辛労を、この一瞬の一念に凝縮する。言い換えれば、いかに「今この瞬間」を勝ち切るかを離れて、「億劫の辛労」を尽くす道はないのです。
御書に「師子王の剛弱を嫌わずして大力を出す」(992ページ)と仰せのように、師子王は、いかなる相手、いかなる時であっても全力を奮い起こすといいます。相手を侮って力を出し惜しみすることなどしません。
だからこそ、目の前の瞬間瞬間を逃さず、全力を尽くす。題目を唱えて、懸命に戦い抜く——この精進行にこそ、仏法の「勇猛精進」、すなわち勇気の真髄があると拝したい。
「勇猛精進」によって、「無作三身」という本来、わが生命に具わる、仏の慈悲と智慧、そして真実の力が泉の如く湧き上がってくるのです。
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悩みの渦中にいると、出口の見えないトンネルに迷い込んでしまったような気持ちになります。そんな時、どう立ち向かえばいいのか。
池田先生は、目の前の課題から逃げずに、今この瞬間に全力を尽くす大切さを教えてくださいました。
私は大学卒業後、電機メーカーに就職し、希望だった海外営業部に配属されました。しかし2年目に後方支援の部署へ異動となり、仕事内容や人間関係に悩みました。その時、学会の先輩から小説『新・人間革命』の一節を教えていただきました。「仕事とは挑戦なんです。そう決めて、職場の勝利者をめざして仕事に取り組む時、会社は、自分を鍛え、磨いてくれる、人間修行の場所となります」(第15巻「創価大学」の章)
いつの間にか現実と向き合えなくなっていた自身の弱さに気付きました。それからは"朝勝ち"を心掛け、朝の勤行・唱題の際に、その日の仕事の目標と、会合参加や対話など学会活動の目標を決めました。多忙で時間がないからこそ、「一念に億劫の辛労」を尽くす思いで、一日一日を無駄にしませんでした。
異動から3年後、海外営業担当に復帰。前の部署で築いた信頼関係が生かされ、復帰1年目で大きな結果を出すことができたのです。
どんな苦境に立たされても、たとえ一旦は立ち止まるようであっても、心では逃げない。必ず活路を開くとの日々の祈りと奮闘で、一つ一つ壁を破ることができます。さらに、苦難の中でもがいたことさえ、不思議と後に生きてきます。だからこそ、学会員の生き方には行き詰まりがないと確信しています。
4 苦難にも嘆かず恐れず臆さず
先生は「仏法の勇気」について、こう教えてくださっています。
■ 池田先生の講義
勇ましく振る舞うだけが、勇気ではありません。仏法の勇気には、真実を「如実知見」し、勝ち越えていく智慧があります。
病気や事故、死魔、経済苦、人間関係等、人生には、思いもよらない試練や、直視するのも恐ろしい苦難が次々と襲いかかる。絶望の底に突き落とされるような宿業の嵐に見舞われることもあります。しかし、如実知見——信心の眼を開くなら、誰もが本来、金剛不壊の仏の生命を具えており、妙法を唱えていけば、仏の生命力を顕現してすべてを乗り越え、真実の幸福境涯を確立していける——。
それゆえに、創価学会には、ありとあらゆる熾烈な人生の現実に、真っ正面から挑戦する人間革命のドラマがあります。
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真実を「如実知見」するとは、私たちでいえば、あらゆる人々がもつ仏の生命を、そしていかなる障魔の本質をも、信心の眼で見抜くことでしょう。とはいっても、それは容易なことではありません。
先日、私と同世代の青年に、この十数年の宿命転換のドラマを伺いました。彼は大学卒業後、児童養護施設で働き始めました。施設では、事情により家庭で育てられない子や虐待を受けた子などが集団生活をしています。他人に暴力を振るう子、万引きを繰り返す子もいます。厳しい現実にぶつかり、彼はいつしか燃え尽き症候群となってしまいました。職場に行くのがつらい。子どもに会うのが怖い。何もしたくない……。そんな日々が半年ほど続きました。
ある日、「聖教新聞」の池田先生の言葉が目に留まりました。「何のために生きるのか。その一点を忘れてはならない」。その時、彼は"子どもの未来を応援したい"との原点を思い出したのです。以来、子どもに真っすぐ向き合えるようになりました。家族の借金問題やスキルアップのための転職などの悩みを信心で打開し、現在は大学病院でソーシャルワーカーとして活躍しています。
苦しい時ほど、師の言葉に触れると信心の眼が開き、自身の境涯が広がります。青年部はこれからも、先生の指導を学び、障魔を乗り越えゆく勇気の前進を重ねていきます。
■ 池田先生の講義
障魔や苦難の試練にも、嘆かず、恐れず、臆さず、勇敢に堂々と挑み、祈り、戦い勝ってきた「庶民の英雄」が無数に光っています。あの地にもこの地にも、勇気の宝冠を戴いた宿命転換の王者が、桜梅桃李の福徳の女王が、広宣流布のために活躍しているのです。
◇さらなる研さんのために
本連載で学ぶ『わが愛する青年に贈る』は、「大白蓮華」に連載中の池田先生の講義「世界を照らす太陽の仏法」の中の、男女青年部への御書講義を収録した書籍です。本社刊。713円(税込み)。全国の書店で発売中。聖教ブックストアへの電話でも注文できます(0120-983-563、平日9時〜17時)。コンビニ通販サイト「セブンネットショッピング」「HMV&BOOKS online」での注文、受け取りも可能。電子書籍でも好評発売中。