◇今週のことば
「仏種は縁に従って起る」
真心と智慧で縁を結び
幸の仏種を広げよう!
語れば境涯が開ける。
勇気と希望の連鎖を。
2020年9月7日
阿仏房尼御前御返事 P1308
『浅き罪ならば我よりゆるして功徳を得さすべし、重きあやまちならば信心をはげまして消滅さすべし』
【通解】
浅い罪であるならばこちらから許して功徳を得させるべきである。重い過失であるならば信心を励ましてその重罪を消滅させるべきである。
名字の言 作家・遠藤周作氏が、大学の入試問題を解いてみると…… 2020年9月7日
「作者はこの人物のどんな心を表現しようとしたのか、次の中から選べ」。ある大学の入試問題で、作家・遠藤周作氏の作品が引用された▼その問題を、氏が実際に解いてみた。氏は選択肢の全てが「正しい」と感じたという。「人間の心なんて、それほど単純なものじゃない。複雑な感情が絡みあっているわけで、一つの答だけで表せるものじゃない」(『らくらく人間学』青春出版社)▼仏典に「梵天勧請」という説話がある。釈尊は悟りを開いた後、すぐに説法を始めたわけではない。"悟りを説いても、人々は理解できず、そしるだろう"とためらった。この時、梵天が姿を現し、逡巡する釈尊に、3度にわたって説法を勧める。それによって釈尊は決意し、民衆救済へと旅立った▼池田先生と世界的な仏教学者・チャンドラ博士は、対談集『東洋の哲学を語る』で、この「梵天勧請」について、釈尊自身の"生命内奥"の葛藤が表現されたもの、との見解で一致した。仏であっても迷い、苦悩することがある。ましてや、人間の心ほど移ろいやすいものはない▼広布も人生も、「自分自身との戦い」の連続だ。いかなる苦難にも紛動されない"強い心"を育むために、私たちの信仰はある。日々、わが「人間革命」の挑戦を重ねたい。(江)
寸鉄 2020年9月7日
青年部がオンライン不戦会議。核兵器は絶対悪—恩師の遺訓は後継に脈々
いよいよ・はげまして法華経の功徳を得給うべし—御書。強き祈りで出発
鹿児島の日。負けじ魂が歴史回天の師子の誉れ。共に立正安国の福光拡大
逆境に意味を見いだす人はストレスに強い—精神科医。学会員の姿と共鳴
停電復旧時の通電火災に注意。水に濡れた機器は使うな。配線も確認必ず
☆四季の励まし 新たな挑戦で生命は躍動 2020年8月30日
【写真の説明】青き湖上を走る一隻の遊覧船。湖面に広がる航跡は、勝利(ビクトリー)の「Vサイン」を描いていた。青森と秋田にまたがる広大な十和田湖。1994年(平成6年)8月、池田大作先生が青森側の瞰湖台からカメラに収めた。
この訪問の折に開催された第1回青森県総会で、池田先生は語った。「境涯の開拓を途中でやめれば、本当の幸福はない。貫いた人が勝つ。不屈の人が勝つ」
間断なき挑戦の積み重ねが、"人生勝利の扉"を開く。さあ、創価学会創立90周年の「11・18」へ、永遠の師弟旅へ、心新たに船出しよう。
◇池田先生の言葉
偉業を成し遂げる力はなにか。
それは、強き責任感である。
「わが理想を断じて実現する」との
強固な一念である。
「一人立つ」深き決意から、
無限の力が湧き出ずる。
自身の使命を自覚し、
自らの一念を
「月月・日日に」刷新しながら、
新たな挑戦を続けていく。
そこには
「向上」「前進」の息吹があり、
生命の躍動がある。
その人こそ、
人間としての偉大な勝利者である。
人生は、ある意味で、
常に「行き詰まり」との戦いだ。
生きる限り、また、戦う限り、
必ず困難の壁が
立ちはだかるのは当然だ。
順風ばかりで
「行き詰まり」がないのは、
むしろ停滞の証しである。
苦しみをも悠々と見おろしながら、
わが胸中に永遠の崩れざる
「幸福の都」を開いていくのが、
この信心である。
境涯を開けば、幸福が開ける。
境涯が広がれば、幸福が広がる。
唱題はあらゆる苦しみを、
全て希望の前進への
エネルギーへと転じていく。
分かってみれば、
悩みは、
幸福に不可欠の糧でさえある。
ゆえに、自ら目標の山をつくり、
山を目指し、
山を乗り越えていくのが、
真の信仰者なのである。
信心の極意は
「いよいよ」の心である。
今の状況が良かろうが、
悪かろうが、前へ、前へ!
たゆまぬ挑戦また挑戦、
不屈の努力また努力こそ、
「人間革命」の道なのだ。
☆忘れ得ぬ瞬間 2002年10月特別講義 聡明な自分自身の建設を 創価女子短大生に創立者が贈った言葉
<本年、開学35周年を迎えた創価女子短期大学。創立者・池田先生は、折あるごとに、勉学や生活の指針を短大生に贈ってきた。2002年10月1日には、担当教員の了解を得て特別講義を行い、「学問と人生と幸福」について語った。同窓生、在学生、未来の短大生、そして全ての女性たちへの励ましとして紹介する。※上下2回に分けて掲載。�はあす5日付の予定>
すべての努力は、人生の宝です。一生の宝であり、幸福の宝です。
悠長に遊んで、ただ楽しめばいいという浅はかな青春を生きた人は、必ず、後悔します。後になって苦しむものです。人生は、そんな生やさしいものではありません。
山越え、谷越え、険難の峰を歩みながら、正しく強く、つくりあげていく人生——そこに幸福があるのです。建物をつくる場合も、毎日毎日、一生懸命、一日も欠かさず作業して、最後に、壮大なる大殿堂ができあがる。
人生も、同じです。
勉強は、幸福になるためです。人生の目的も、学問の目的も、幸福になるためです。
知識だけでは幸福はない。賢明に生きるためには智慧が必要です。知識は、智慧の水を汲み出すポンプです。智慧が幸福への近道なのです。
聡明な自分自身を築いていただきたい。社会にあって、「あの人は、さすがだ」といわれる人格をつくることです。皆と協調し、皆をリードし、皆から尊敬される人生を歩んでいってほしい。
そのために、この創価の学府で学ぶ一日一日が大事なのです。
◇良書に親しもう
<続いて話題は"良書との出合い"に移った。先生は、作家モーパッサンの小説を通して、「女性にとっての幸福」に言及した>
若き皆さんは、ぜひとも良書に親しんでいただきたい。心を豊かにする小説。味わい深い古典。世界的な大文学。これらを読むことは、青春時代の宝です。
現代は、低俗な言論が横行している。人の悪口を書いては、社会に迷惑をかける。人の不幸を喜びながら、じつは自分が不幸の道を転落していることを知らない——そう警告する識者は多い。
皆さんは、どこまでも幸福になる道を歩んでいくことです。
さて、フランスの作家モーパッサンに、『女の一生』と題する長編小説があります。主人公は、まだ二十歳前の乙女ジャーヌ。彼女は地方貴族の令嬢。世間の苦労も喧騒も知らずに育った。清純な美しさに輝いていた。
やがて彼女は、貴族の好青年と出会い、大勢の人に祝福されて結婚する。人生のすべての幸福を手にするかに見えた。
しかし、いざ、結婚してみると、心が通い合わない。夫には幻滅させられることばかり。
夫の裏切り。敬愛してやまない自分の母の死。そして夫の死。
ジャーヌは、いやな思い出を全部、忘れたかった。全身あげて一人息子のことに没頭した。それだけが楽しみだった。
それが災いしたのか、甘やかされ放題の息子は堕落していった。母親にお金をせがみ、莫大な資産を使い果たした。老いたジャーヌは、住み慣れた館も手放し、魂の孤独に打ち沈んだ。
ジャーヌには、自分のもとに託された孫娘がいた。幼い生命に愛情を注ぐことが、今の彼女の喜びであった——。(『女の一生』杉捷夫訳、岩波文庫)
これは、百年以上前の作品であり、価値観も社会も、今とは違う。しかし、人生とは、幸福とは何か、人間の魂を満たすものは何なのかという問いは、時代を超えたものといえましょう。
◇人間革命の哲学が必要
<"短大生は一人も残らず幸福になってもらいたい"——先生は、この最高にして最大の思いを伝えるとともに、「幸福の道」を開く"人間革命の哲学"の必要性を訴えた>
現実の人生は厳しい。複雑であり、不可解である。苦労しても、苦労しても、どうにもならない。幸福を追い求めながら、実際は不幸の連続——これが、多くの人生の縮図かもしれません。
宿命を嘆き、悲運を嘆くだけの人生。そんな人生を、私は、絶対に皆さんに歩ませたくない。
では、人生を方向転換させゆく根幹は、いったい、どこにあるのか。
そこに、どうしても、人間革命の哲学が必要になってくるのです。ここにしか、間違いのない人生の幸福・勝利の道はない。
人間を不幸から幸福へと革命していく。それが人間革命です。
人生を革命するのです。その偉大なる力は、すでに皆さん方の胸中にあるのです。
自分自身をつくることです。自分の中に、幸福の引力をもつことです。自分が幸福になり、一家も一族も、友人をも救っていけるのです。
一度しかない大切な人生です。一つまた一つ、努力を積み重ね、一歩一歩、乗り越えながら、最後に必ず所願満足の人生を晴ればれと勝ち取っていただきたい。
一人も残らず、幸福になっていただきたい。それが私の心からの願いです。そのための短大の二年間です。
創価女子短期大学には優秀で立派な先輩が、たくさんいます。活躍している様子や、社会で信頼され、評価されている知らせが数多く届いてきます。本当に、うれしいことです。
どうか皆さんは、最高峰の学府に学んでいることを誇りにしながら、最高に充実した青春の歴史をつづっていってください。
中国の「人民の母」と慕われた�穎超さんは、日中戦争のさなか、中国の女子学生に対して、こう叫びました。
「皆さんこそ『夜明けの鐘』であります。皆さんこそ『黎明の旭日』であります」(金鳳『�穎超伝』上、人民出版社<中国語版>)
�穎超さんの、この声が、どれほど、女子学生たちを勇気づけたことでしょう。声が大切です。とくに女性の声は、人々を元気づけ、明るく、にぎやかにしていく力をもっています。
�穎超さんは、十代のころから、勇んで革命の嵐のなかに飛び込んでいかれた。前も敵、後ろも敵。いつ逮捕されるか、わからない。いつ殺されるかも、わからない。そういう青春時代だったのであります。
そこで、私が皆さんに申し上げたいのは、「苦労を避け、やすきに流されるような青春時代であってはならない」ということです。皆さんは、みずから求めて、苦労をしていってください。そして、同じ苦労をするならば、「大きな理想」のために苦労してもらいたいのです。
自分の小さな殻に閉じこもるのではなく、「友のため」「社会のため」そして「人類のため」という大いなる理想を掲げて、学んでいってもらいたい。
そこに学問をする本当の意義もあるのです。また、目的が大きければ、それだけ自分も大きく成長できる。困難や障害にあったときにも、歯をくいしばって乗り越えていけるものです。
さらに、�穎超さんは、女子学生に訴えました。
「皆さんが光明をもたらすことを、苦しんでいる姉妹たちは、ひたすら待っているのです!」(同)
私もまた、「創価女子短期大学生の皆さんの成長を、後に続きゆく二十一世紀の姉妹たちが待っている」と強く訴えたいのです。
まずは、皆さんの身近なところから、ともに平和の方向へ、幸福の方向へと進みゆく、宝の学問と友情を大きく広げていってください。
◇6項目の指針
<ここで池田先生は、短大生への指針として、�穎超氏が若き女性に教えた"6項目のリーダーのあり方"を紹介。使命深き一人一人の成長を心から望んだ>
�穎超さんは、若き女性に対して、リーダーのあり方を六項目にわたって教えました。(『�穎超文集』人民出版社<中国語版>)
第一に「革命の理想を守りぬいてください」と言われました。
理想があるから青春です。理想があるから人生です。理想のない人は、寂しい。反対に、生涯、わが理想を求めて生きる人は、どんなに年をとっていても、心は永遠に青年です。
第二に「勇敢であってください」。人生の勝利の根本は、勇敢です。勇気です。とくに、女性は、男性以上に勇敢であっていただきたい。女性が勇敢であってこそ、「社会の平和」も「家庭の平和」も守られるのです。
また世界には、女性の大統領も、女性の学長もたくさんいます。私も多くの女性リーダーと語り合ってきましたが、どの方も、勇気の力で、わが道を切り開いた方々でした。
第三に「責任と真剣を忘れないでください」。責任感のある人は真剣です。真剣の人は強いです。真剣というのは、すごい魅力なんです。
第四に「忍耐と持続の人であってください」。勉強も忍耐です。スポーツも忍耐です。家の手伝いをするのも忍耐です。忍耐と持続によって得たものだけが、自身の不滅の宝となって輝くのです。
第五に「誠実と謙虚の人であってください」。
誠実といっても、たんなる「従順」とはちがいます。皆さんにとっては、一生懸命に勉強することが、誠実です。それが、教員に対する誠実であり、支えてくれるご両親に対する誠実です。
また謙虚といっても、「遠慮する」とか「自分は一歩引いて」というのではありません。学校では、学生として、真剣に生きる。家庭では、娘として、正直に生きる。また、結婚すれば、妻として、立派に生きる。自分が今いる、その場所で、その立場で、周囲と協調しながら、一生懸命に生きていく。それが謙虚です。
第六に、自分自身の幸福のため、栄光の人生を勝ち取るため、「たゆまぬ研鑽を続けてください」と叫ばれました。人生は、生涯、研鑽です。勉強です。
最後に、�穎超さんが十九歳で発表した詩を紹介して終わりたい。(一九二四年の「婦女日報」の創刊号に掲載)
◇題名は「実践の灯」。
「私たちは、実践の灯を掲げ、みずからの前途を照らし、一歩また一歩と前進するのだ」
「実践の灯を掲げる私たちは、わが紅の熱き血潮をもって、一滴また一滴とみずからの前途の道を染めていくのだ」(前掲『�穎超伝』上)
人生は、実践です。戦いです。前進です。二度とない青春時代です。だからこそ、自分が生きた証しとして、何かを残してください。何かを創り出してください。