2019年11月25日月曜日

2019.11.25 わが友に贈る

◇今週のことば
友の幸せを祈り
信心の体験を語る。
これこそ仏の聖業なり。
朗らかに大確信で
「未来までの仏種」を!
2019年11月25日

上野殿御返事 P1540
『この甲斐の国にも少少信ぜんと申す人人候へどもおぼろげならでは入れまいらせ候はぬにて候、なかなかしき人の信ずるやうにてなめりて候へば人の信心をもやぶりて候なり』

【通解】
この甲斐の国にも少々信じようとする人々はいるけれども、はっきりとしないうちは入信させないのである。なまじっか人が信心しているような格好をして、いいかげんなことをしたときには、人の信心も破ってしまうのである。

名字の言 2019年11月25日
本紙で連載中の「ライフウオッチ」。学会員の多彩なエピソードを軸に、識者へのインタビュー等を交えながら、「人生100年時代」の幸福論を考える企画に、毎回、多くの反響が寄せられる▼共通するのは登場人物への「共感」だ。"就職氷河期"世代の友がつづる人間革命のドラマに「"遠回りをしても、その分、全てを生かせる時が来る"と励まされた気がします」と。変わるきっかけになった同志の支えや池田先生の言葉に心を揺さぶられた、との感想もあった▼15年間の非正規雇用を経て正社員になった男子部員の信仰体験(先月13日付)には、「いわゆる"華々しい体験"だけでなく、もがき苦しむ場面にも焦点が当てられ、自分もこれでいいんだと自信が持てました」と▼スイスの哲人ヒルティは言った。「ひとを信じさせるものは経験である。自分も経験してみたいという願望と気分とを起こさせるものは、その経験をした人たちの証言である」(草間平作訳)。池田先生はこの言葉を紹介しつつ、信仰体験について「生命にわき上がる、その実感に勝る説得力は、どこにもない」と強調した▼もがきつつ同時代を生き抜く友の姿は、人の心に真っすぐ届く。その心の共振は、おのずと周囲に広がり、社会を変えていく。(仁)

寸鉄 2019年11月25日
インドから名誉博士号。「平和と調和目指す会長の対話こそ模範」学部長
哲学を基礎としている事が学会の強み—戸田先生常に御書を学ぶリズムを
勝利の暁とは新たな決意の時だ—首相。創立の月から清新な息吹で拡大へ
後回しにする人は時間に追われる—行動経済学。仕事も活動も先手必勝で
警察庁が高齢運転の相談電話を開設。「私は平気」と過信せず。活用上手に

☆ジャイプル・ナショナル大学「名誉博士号」授与式から池田先生の謝辞(代読) 2019年11月23日
一、光栄にも、悠久なる「精神の大国」から世界の未来を知性と希望の光で燦然と照らしゆかれる貴ジャイプル・ナショナル大学より、名誉博士の学位を授与賜りました。

良き市民として、良き国民として、社会貢献をたゆみなく続けゆく、わがインド創価学会の宝友たちと、この栄誉と喜びを、謹んで分かち合わせていただきます。誠にありがとうございます。

◇「ジャイプル」の名には「勝利」の意義が
一、「名は必ず体にいたる徳あり」といわれる通り、名前には不思議な力があります。

貴大学が、その名に冠しておられる、ラジャスタン州の州都「ジャイプル」には、「勝利」という深き意義が込められていると伺いました。

ジャイプルの天地は、世界文化遺産に登録された野外天文観測所ジャンタル・マンタルや宮殿シティ・パレス、ジャイプル市街など、幾多の壮麗な建造物が並び立つ、芸術と科学の都であります。

18世紀の偉大な改革者であり、科学者としても名高いジャイ・シング2世が建設した天文台は、当時の世界の学問を結集して、新たな時代を開かんとした先駆の知性による「勝利」の象徴といえましょう。

ジャイプルは、ネルー初代首相が「都市設計のモデルの一つ」とたたえた先進都市としても、よく知られ、商工業や金融の中心として目覚ましい大発展を遂げてこられました。

そして、この「勝利の都」にそびえる「勝利の学府」として、「勝利の人材群」を育成されてきたのが、まさに貴ジャイプル・ナショナル大学であられると、私は讃嘆したいのであります。

◇「勝利」を青年の薫陶の根幹に置いた牧口先生
実は、わが創価教育の師父である牧口常三郎先生も、「勝利」ということを、青年の薫陶の根幹に置いておりました。

生活も人生も、また社会も文明も、絶え間ない「勝負」の連続であります。現実に一つ一つ立ち現れる課題と、いかに戦い、苦難に屈せず、試練を勝ち越えていくか。
この「負けじ魂」と「勝利」へ前進する価値創造の英知を、一人一人の若き生命から引き出していくことを、牧口先生は目指していました。

先生が日本の軍部政府の弾圧で獄死して、この11月で75年となります。
先生は獄中の訊問でも、何ものにも負けずに人間として最高の理想を実現しゆく究極の勝利の力を示したのが、貴国インドの釈尊であることを、堂々と主張していたのであります。

◇「学び」「考え」「語り合う」力を強め 若き生命の創造性を解き放て
一、本日は、「勝利の学府」たる貴大学の理念と精神に学びながら、「勝利へのビジョン」を3点、確認させていただきたいと思うのであります。

第一に、「闊達なる学びから勝利の力が生まれる」ということであります。

貴大学は「学生中心の教育」を高らかに掲げ、「最高水準の学術的厳格さと活力」とともに、「生涯にわたる学びへの情熱」を育まれています。

そして、バクシ総長ご自身が「私は全ての人から学ぼうとしています」と語られ、日々、闊達なる対話を広げておられるのであります。

学生が自らの関心を生かして、さまざまなコースを横断的に学び、広々と開放された環境で才能を発揮できるように工夫されていることも、素晴らしい取り組みです。

◇仏教学者ロケッシュ・チャンドラ博士「考えることは人類の進歩の象徴」
再会を喜び合う池田先生とロケッシュ・チャンドラ博士(2008年3月、東京・八王子市の創価大学で)。これまで日印両国で6度の出会いを結んでいる
再会を喜び合う池田先生とロケッシュ・チャンドラ博士(2008年3月、東京・八王子市の創価大学で)。これまで日印両国で6度の出会いを結んでいる
インドを代表する仏教学者ロケッシュ・チャンドラ博士との語らいを私は思い起こします。

——「知性」を意味する英語の「マインド」は、サンスクリットで「考える」を意味する「マン」と語源が同じであり、その「マン」から「人間」を意味する「マヌシャ」という言葉ができた。すなわち「考える」ことはまさしく「人類の進歩の象徴」なのであると、大碩学の博士は示してくださいました。

IT(情報技術)が急速に進展する現代社会だからこそ、「学び」「考え」、そして「語り合う」という人間自身の本源的な力を一段と強め深めながら、いかなる人類の難局も勝ち開いていく若き生命の創造性を解き放っていきたいと、私は願う一人であります。

一、第二に、「人々への献身から勝利の光が広がる」ということであります。

貴大学のミッションには「地域と社会の、社会的・文化的・経済的ニーズへの奉仕」が謳い上げられ、人々の苦悩や痛みに寄り添いゆく殿堂として輝きを放っておられます。

市内の美化運動や、貧困に苦しむ子どもたちへのサポート、さらには医療分野に注力されていることにも、その尊き精神が脈打っております。

◇「ヴェーダ文化」の基本理念——「あらゆる人種・民族は一つの家族」
インドを代表する世界的な法律家にして、人権運動の闘士であるベッド・ナンダ博士との対談では、深遠な「インド思想」、また「ヴェーダ文化」が大きなテーマになりました。

そこには、「あらゆる人種・民族は一つの家族である」との基本的な理念があり、「貧困や無知、飢餓や病気など、世界のどこかで人間が苦しんでいるならば、共に苦しむ」という精神があります。

仏典では、釈尊が弟子たちに「歩みを行なえ、衆人の利益のために、衆人の安楽のために、世人に対する共感のために」(中村元訳『原始仏典』筑摩書房)と呼び掛けたと説かれております。

◇人間の尊厳と幸福に尽くす英才の育成を
私が創立した創価大学も、地域社会への貢献とともに、国連と世界の大学を結ぶ「国連アカデミック・インパクト」の一員として、「持続可能な開発目標(SDGs)」に取り組んでおります。身近な郷土から世界まで、一人一人の尊厳と幸福を願い、尽くしていく英才の育成と連帯にこそ、未来の勝利の光があるのではないでしょうか。

◇"執念"こそ人生と社会の勝利の要諦
一、第三に申し上げたいのは、「断じて諦めない執念から勝利が成就する」ということであります。

貴大学が飛躍的な発展を遂げた要因は、何か。

創立者であられるバクシ総長は「それは、途中で諦めずに、成し遂げようとするコミットメント(献身)の心があったからです。この心が、成長への大きな原動力となったのです」と語られています。

創立者として同じ苦労を重ねてきた私には、痛いほど胸に迫る一言です。

総長は、「『ネバー・ギブアップ』、そして『闘士であること』が私の哲学です」とも言われております。

万般にわたって、人生と社会の勝利の要諦は、この執念にこそあるといってよいでありましょう。

私たちが大切にしている「法華経」の一節にも、生命の真髄の力として「忍辱の大力 智慧の宝蔵あり 大慈悲を以て 法の如く世を化す」と記されております。
慈悲のあるところ、智慧は尽きることなく湧いてきます。そして忍耐のあるところ、勝利の道は必ず開かれるのであります。

◇太陽の如き青年が未来を照らす
一、ジャイプルの旧市街を走る大通りの東西には、堂々たる太陽門(スーラジポール)と月光門(チャンドポール)が屹立しております。生命を太陽の如く、月光の如く輝かせゆく青年たちが、貴大学から、そして貴国から、いやまして澎湃と躍り出て、そして人類の勝利を照らしゆかれることを、私は祈り、また確信してやみません。

結びに、貴ジャイプル・ナショナル大学の無窮のご繁栄と、ご臨席の方々のご健勝を心から念願し、私の謝辞とさせていただきます(大拍手)。