「法華経を持ち奉る処を
当詣道場と云うなり」
今いる場所こそ
わが人間革命の舞台だ。
地域で社会で輝く人に!
三沢抄 P1487
『仏法をがくする者は大地微塵よりをほけれどもまことに仏になる人は爪の上の土よりもすくなし』
【通解】
そもそも、仏法を学ぶ者は、大地微塵の数よりも多い。けれども、その中で、真に仏になる人は、爪の上に置いた土よりも少ない。
名字の言 2019年11月22日
本紙の11・18「創価学会創立記念日」特集で掲載された田原総一朗氏のインタビュー(17日付)。氏の率直かつ明快なコメントに、読者から多くの反響があった▼取材の折には、パナソニックの創業者・松下幸之助氏との思い出も語ってくれた。松下氏が新しい事業を始める際、田原氏に日本の政治・経済に対する所感を聞きたいと連絡があった▼松下氏は、田原氏より40歳年上。親子以上の年齢差がある田原氏の話に、松下氏は1時間ほど耳を傾けた。2日後にも再び田原氏を招き、話を聞いた。本田宗一郎氏や盛田昭夫氏など、数々の実業家を取材してきた田原氏は、「優れた経営者はいずれも、人の話をよく聞く」と実感を込めて語る▼衆知(多くの人々の知恵)を集める——これが松下氏の経営哲学だった。衆知を軽視するような経営は、いずれ行き詰まると自らを戒めていた。講演会での松下氏の言葉を思い出す。「全部がわが師である。どこでも私より偉い人ばかりがいる。私がいちばんあかん、そういう考えでやっているんです」▼対話の達人は例外なく聞き上手。「話を聞く」ことは、相手を理解する最良の手段であると同時に、謙虚に学び続ける姿勢の表れでもある。「話を聞く人」とは無限の「向上と成長の人」である。(嶺)
寸鉄 2019年11月22日
「日蓮さきがけしたり」御書。一人立つが仏法の魂。まず己が折伏に挑戦
山形支部結成の日。幸の理想郷築く勇者ここに!共戦の誇り胸に対話拡大
聖教を世界に読ませたい—恩師。電子版は201カ国へ。希望送る言論戦更に
「いい夫婦の日」。感謝の思いを言葉に。相手への尊敬と信頼が円満の秘訣
非人道的なAI兵器規制へ国連で協議。深刻な事態になる前に急ぎ対策を
☆11・18「創価学会創立記念日」特集(中) インタビュー 米ジョージ・メイソン大学名誉首席副学長 ピーター・スターンズ博士
◇対話こそ社会を変革する力
11・18「創価学会創立記念日」特集(中)は、米ジョージ・メイソン大学名誉首席副学長のピーター・スターンズ博士のインタビューを掲載する。135以上の編著書を持つ世界史の大家である博士は、池田大作先生の平和思想に感銘を受け、自らの歴史へのアプローチを大きく見直した。そうした経緯や「対話」の重要性、牧口常三郎先生の生涯を巡り、話を聞いた。(聞き手=萩本秀樹)
——混迷の世界を照らし、人々に希望をともすのは心通う「対話」である——創価学会は1930年の創立以来、この信念を掲げ、三代会長のリーダーシップのもと、平和の連帯を広げてきました。アメリカの池田国際対話センターでは、ジョージ・メイソン大学出版局と共同で英文学術書『対話を通じた平和構築——教育・人間変革・紛争解決』を出版し、博士がその編集に当たられました。
大変に興味深い経験となりました。学術書では対話について、�教育�個人の成長�紛争解決という三つの側面から多角的に論じていますが、非常に意欲的な試みであったといえます。
同書の序文の中で、私は、「Google Ngram Viewer」(注=あるキーワードが蔵書に出現する頻度を年代ごとに表示するグラフ)を用いて、「対話」という言葉がどの時代に、どれほど使用されていたのかを分析しました。すると、その頻度は平和への関心の大きさに左右されることが分かりました。
例えば、宗教改革後のヨーロッパでは、異なる宗教の間に橋を架けるべく対話への関心が一段と高まりました。一方で、こうした宗教間の取り組みが衰退し、帝国主義の時代を迎えると、その関心が著しく低下していたのです。
こうした変動に目を向けることで、改めて気付かされることがありました。それは、対話とは努力を要するものであるということです。自然発生的に生まれるのではなく、積極的につくり出していかねばならないものなのです。
——では、そうした対話を効果的に生み出し、促進していくにはどうしたらよいでしょうか。
二つの道があると思います。まず、差異や争いに向き合う上で、対話は暴力よりもはるかに優れた方途であると、繰り返し訴えていくことです。これは、精力的かつ理論的に、対話という概念を広めていくことであるといえます。
二つ目は既に述べたように、対話が用いられ、効果を発揮した過去の事例を提示していくことです。具体性をもって示すことで、観念論ではなく現実的なアプローチとして、対話の重要性を伝えることが可能です。
『対話を通じた平和構築』では、アフリカやアイルランドでの紛争、冷戦など、対話が国家間の緊張を緩和し、社会の変革に貢献した例を紹介しています。
——博士は2014年に『世界史における平和』と題する研究書を出版され、ジョージ・メイソン大学では同タイトルの授業をしておられます。その中で、歴史家として半世紀以上のキャリアを積んでこられた博士は"歴史とは戦争の繰り返しである"との通説を離れ、平和に焦点を当てて歴史を捉えられています。こうした変化に至った経緯を教えてください。
暴力ではなく、平和こそが"標準"である——この思想は、いまだ広く普及しているとはいえません。疑いもなく正しい事実であるにもかかわらず、です。
その背景には、特にアメリカ社会があまりにも頻繁に、戦争状態にあったことが挙げられます。そのため、今は争いがなくとも、またすぐに戦争が始まるであろうと人々は考えるのです。こうした危険な思考に対峙するための努力が、現代社会に求められています。
2010年、私は日本を訪れ、池田博士にジョージ・メイソン大学「名誉人文学博士号」を授与する機会に恵まれました。その折に見聞きした、創価学会が展開する平和運動に、大変に感銘を受けました。
そして、"どんな人も平和に貢献できる"との池田博士の主張に心動かされました。私も、そう強く確信する一人であるからです。
そして、そうした思想を広めるために何ができるだろうと考えました。私は歴史家であり、教育者ですので、研究や授業で、平和に光を当てた歴史観を提示することが、真っ先にできる貢献であると思ったのです。
池田博士の偉大さを改めて申し上げるならば、まず1点目は、数十年にもわたって示し続けた、平和へのエネルギーと責任の大きさです。これほどのスケールで平和に生涯をささげた人物は、非常にまれです。
2点目に、博士が多くの人と志を分かち合ってこられたことが挙げられます。それは自身の価値観を押し付けるのではなく、寛容、対話、相互理解といった普遍的な価値に基づく連帯です。
博士の偉業に触れ、歴史の焦点を変えることで私は、人類史には平和構築の成功例が多くちりばめられていることを、再確認することができました。
そうした事例に共通していたのは、立場や意見の違いを超え、"勝者"であろうとなかろうと、あらゆる人々を包括的に結びゆこうとする努力があったということです。
——平和構築のプロセスでは、政治家や権力者がその主体者であると思われがちですが、市民にしか果たせない役割とは何でしょうか。
実際に私が研究してきた平和構築の取り組みでも、その中心にいるのは政府レベルの人々である場合が多くありました。しかし特に19世紀以降、民衆運動が平和に貢献したさまざまな事例が見られるのも事実です。
こうした市民による運動は、紛争を平和的解決に導いた直接的な要因ではなかったかもしれません。しかし、平和的解決が社会に受け入れられるための「土壌づくり」をしたのです。
これが、市民による大きな貢献です。
そして、平和は"戦争と戦争の間の一時的な状態"ではなく、本来あるべき状態なのだという考えを普及することも市民が果たし得る役割です。こうした思想が社会の底流に流れることで、平和は実現可能であるとの確信が、育まれていくのだと思います。
——今月18日は、牧口常三郎初代会長の殉教から75年に当たります。戦時下の日本で、厳しい弾圧にも屈せず初代会長が貫いた平和の信念は、今日に受け継がれています。
牧口氏は平和と正義の理想を掲げ、それを自らの人生の基底部に据えることも、信念のために殉じることすらも恐れませんでした。こうした人物について学ぶたびに、粛然とした思いを抱きます。
当時の日本を、軍国主義とひとくくりに形容して語ることは簡単です。しかし実際は、軍国思想に当てはまらない人がいて、その人たちの叫びがありました。私たちは、そうした歴史を忘れてはいけないのです。
"戦争の英雄"は世に知られていますが、私たちはより声高に、"平和の英雄"の功績を語り広めなければなりません。牧口氏は、この"平和の英雄"の素晴らしいお一人です。
「世界史における平和」と題する私の授業では、ガンジーやマーチン・ルーサー・キングはもちろんのこと、創価学会の平和運動についても紹介しています。
そのほかに、インドのムガル帝国(16〜19世紀)の話なども織り交ぜています。多様な文化や慣習の例を紹介することで、平和の建設者とはある時、ある場所に突然現れたのではなく、さまざまな時代や社会に存在していたことを伝えられるからです。
平和を希求する上では、異なる人たちの間に「共通項」を見いだすことが重要です。そして、それを可能にするのは、日常における「寛容」の実践にほかなりません。
この寛容の実践は、グローバル化する今日にあっては、より不可欠なものとなります。
一方で、グローバル化によって物事が複雑に連関し合っているために、ともすれば人々が"無力さ"を感じやすいのが、現代の特徴であるともいえます。その点、"一人の偉大な変革が世界の変革を可能にする"との池田博士の「人間革命」の思想は、大きな光を放つと私は確信します。
博士が創立された池田国際対話センターもまた、多岐にわたる活動を展開しています。深い敬意を表するとともに、私自身も、センターでの交流をいつも楽しみにしています。
アメリカをはじめ世界は今、かつてない混乱の時代を迎えています。池田センターやSGIのように、「分断」ではなく「調和」と「共生」のビジョンを示し、行動する人々の存在は、かけがえのないものです。
より良い世界の建設を目指す皆さんの献身に感謝し、その重要な役割を果たし続けてくれることを切に願っています。
Peter Stearns 米ジョージ・メイソン大学名誉首席副学長。博士。ハーバード大学、同大学大学院で歴史学を専攻。シカゴ大学、カーネギーメロン大学などで教壇に立ち、『The Journal of Social History』誌の創刊を手掛けた。2000年にジョージ・メイソン大学教授に就任し、14年まで同大学首席副学長。社会史、世界史を中心に135を超える編著書がある。