2012年10月16日火曜日

2012.10.16 わが友に贈る

冷え込む季節。
風邪対策を賢明に!
うがい・手洗いの励行と
リズム正しい生活を。
どうか健康第一で!

聖愚問答抄上 P491
『知恩をもて最とし報恩をもて前とす世に四恩あり之を知るを人倫となづけ知らざるを畜生とす』

◇希望の明日へ
政界にかぎらずどこの分野においても、指導的立場にありながら、自己の地位を利用して、私腹を肥やし、民衆を苦しめ、民衆の敵となる人間が多い。こうした"本末転倒"のいっさいの権威・権力と戦い、民衆を守り、より良き社会へと偉大な改革を成し遂げることこそ、青年の使命であろう。
平5・4・3

☆池田大作 名言100選 文学
古今の文学は、
人間の心から心へ差し伸べられた橋である。
どれだけ橋を渡るかで、
自分の心の中身が決まっていく。

☆日本海新聞特別寄稿「世界の教科書展に寄せて」
本を開くことは、新たな世界への扉を開くことです。そこから、自由闊達な「心の旅」が始まります。
名作『敦煌』などで知られる作家の井上靖先生は、戦時中、家族が鳥取県日南町に疎開されており、ご自身もしばしば通われました。
その時期、読み進められたのが、西域関係の書物です。戦争で分断され、実際に訪れることが許されない大地にも、たゆまぬ読書を通して探究を進め、のちのロマン薫る創作への糧とされたのです。
こうした読書の喜びを、井上先生と語り合ったことが、なつかしく思い起こされます。
「青春こそ、生涯に二度とない読書の季節である」とは、先生の忘れ得ぬ言葉です。

読書の秋の到来を告げるように、20日から米子産業体育館で「世界の書籍展」が開催されます。特別後援の新日本海新聞社をはじめ関係者の皆様方の御尽力に、本展を提案した一人として、心から御礼申し上げます。
約270点の展示品一つ一つが、書籍の魅力を伝えてくれます。
まるで妖精が作ったような豆本には、拡大鏡でようやく判読できる文字で、立派な物語が綴られています。一方で2メートル超の巨大本「ガリバー・ブック」もあり、おとぎの国を旅したようです。
ギリシヤ語版の『プラトン全集』や、目・耳・口の三重苦を乗り越えたヘレンーケラーの直筆など、貴重な歴史の資料もあります。

鳥取は、奥行きの深い書籍文化を築いてこられた天地です。
因州和紙には和綴じ本や便箋、日本一の書道用紙の伝統が光ります。私の創立した関西創価学園の生徒たちも近年、鳥取市佐治町での紙すき体験などを通し、「書の国」「文の国」の技と心を学んできました。
鳥取県は、県民百人当たりの蔵書数で日本一の県立図書館の充実でも知られます。小中学校の「朝の読書」運動の実施率も全国を大きくリードし、また全ての県立高校で図書館司書の方が読書活動を支援されています。
さらに、県民の投票による「地方出版文化功労賞」は、ベストセラー誕生の契機ともなっています。「まんが王国」とし世界への発信も注目されます。
まさしく、わが鳥取県には、未来へ向かって「読書文化」「活字文化」の創造性が力強く躍動しているのです。

良書には、厳しい試練と戦う人間の魂を励ます力があります。
あの大戦中、軍部政府の投獄にも屈しなかった私の恩師が大事にした一書は、フランスのデュマの傑作『モンテークリスト伯』でした。
この物語を戦前、青少年向けに『巌窟王』として翻訳したのが、鳥取出身の人気作家・野村愛正氏です。「鳥取新報」(現・日本海新聞)の若き記者としても、活躍されました。
陰謀のゆえ、14年も孤島に囚われた青年主人公が、悪党に復讐し、恩人に恩返しを果たす大活劇は、有名な言葉で結ばれます。
「まて、そして希望せよ!」
どんな逆境にも、自らを磨いて時を待つ。そして希望を掲げ理想に生きる。人生の極意が凝縮した一言です。

読書は心の財宝を養います。誠実で粘り強い鳥取人気質の一つの源泉も、読書でしょう。
「善く読む」ことは、「善く生きる」ことに通じます。
美しき「文の国」の秋を彩る書籍展が、新たな世界への扉を開く広場となれば、これほどの喜びはありません。
2012年(平成24年)9月15日