2022年1月30日日曜日

2022.01.30 わが友に贈る

今がどんなに苦しくとも
明けない夜は絶対ない!
我らが持つは太陽の仏法。
"題目の人""忍耐の人"に
歓喜の朝は訪れる。

四条金吾殿御返事 P1192
『はげみをなして強盛に信力をいだし給うべし、すぎし存命不思議とおもはせ給へ、なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし』

【通解】
いっそう自分自身を励まして、強盛な信力を出していきなさい。先日、命を永らえたのは、まったく御本尊の不思議な功力であると思いなさい。どのような兵法よりも、法華経の兵法を用いていきなさい。

名字の言 きょうは「世界ハンセン病の日」 2022年1月30日
かつて不治とされたハンセン病は「天刑病」とも呼ばれた。無知と恐れから「天罰だ」と信じる人がいたのである▼今では薬を服用すれば完治するものの、人間の心に根を下ろした差別意識を拭い去ることは簡単ではない。現在も世界の新規感染者は年間約20万人いるが、患者が仕事や住む場所を追われる国がある。親が回復者というだけで教育の機会を奪われる子どももいるという▼毎年1月の最終日曜は「世界ハンセン病の日」。治すべき"病"とは人間の「偏見」「無関心」であるというメッセージを、心ある人々が発信してきた。日本もひとごとではない。明治から平成までの約90年間、感染者を隔離政策の対象とするなどの差別があった▼仏法では誰もが「元品の無明」を抱えていると見る。生命への根源的な迷いであり、人間の尊厳と可能性への「不信」ともいえる。一方で、智慧と慈悲にあふれる「仏の生命」が全ての人に具わっているとも説く▼無明に敗れるのか。それとも仏性が勝るのか。御書に「妙法の大良薬をもって一切衆生の無明の大病を治せんこと疑いなきなり」(新1004・全720)と。広宣流布は単なる組織の拡大ではない。自他共の尊厳を信じ、輝かせる挑戦にほかならない。

寸鉄 2022年1月30日
「凡夫は志と申す文字を心えて仏になり」御聖訓。誓願の勇者に無限の力が(新2053・全1596)
思想を貯めることが大切—牧口先生。御書を開け。日々の研鑽が不屈の魂に
大いなる物事は人知れぬ小事が積まれてできる—思想家。地道に一歩ずつ
奮闘続く医療・介護現場。危機への応戦は皆様ありてこそ。健康・安穏を祈念
サイバー犯罪が初の1万件超。身代金要求型が急増。常にシステム更新を

☆御書と未来へ 第4回 仏法対話は自他共の幸福の道
〈御文〉
『菩薩と申すは、必ず四弘誓願をおこす。第一の衆生無辺誓願度の願成就せずば、第四の無上菩提誓願証の願は成ずべからず』(小乗大乗分別抄、新632・全522)

〈通解〉
菩薩というのは、必ず四弘誓願を起こす。その第一の無辺の衆生を度脱させようという誓願が成就しなかったならば、第四の無上菩提を証得しようという誓願も成就することはできないのである。

〈池田先生が贈る指針〉
菩薩道という仏法の精髄を現代に蘇らせたのが、創価の師弟である。友の幸せを祈り、勇んで行動に打って出る生命に仏の智慧が湧き出ずる。殻が破れ、大きく境涯が開かれる。
仏法対話こそ、自他共の幸福を実現する大歓喜の道だ。あの二月闘争から70年。地涌の誓願に胸を張り、朗らかに聡明に仏縁を広げゆこう!

☆共生の地球社会へ〜仏法の英知に学ぶ テーマ:ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)
登場人物
【娘・ミライさん】好奇心旺盛な女性部員。世の中の出来事について、父・ホープ博士と語り合うことを楽しみにしている。
【父・ホープ博士】勉強熱心な壮年部員。毎月1回、家族と一緒に教学を研さんしている。「博士」はニックネーム。本業は会社員。

◇信頼と安心を育む絆を幾重にも
ミライ 長引くコロナ禍の影響で、孤独・孤立の問題が顕在化しているね。

ホープ 「孤独」は、独りぼっちと感じる精神的な状態。「孤立」は、社会とのつながりのない、もしくは少ない状態を意味しているよ。
恒常的な孤独・孤立は、健康にも甚大な負の影響をもたらす、といわれているんだ。
また、児童虐待や引きこもり、貧困といった社会問題の原因の一つとしても考えられているよ。

ミライ そんな影響もあるんだね。社会環境が変化したことで、望まない孤独や孤立に陥ってしまっている人に対して、私たちは何ができるのだろう?

◇健康被害を防ぐ
ホープ 孤独・孤立に悩む人を、誰一人取り残さない社会を目指す上で、「ソーシャル・キャピタル」が注目されているよ。
ソーシャル・キャピタルは「社会関係資本」と訳され、社会や地域での信頼関係や、人と人との結び付きが、どれほどあるかを示す考え方なんだ。

ミライ 資本といえば「人」「物」「お金」を連想するけど、ソーシャル・キャピタルは目には見えない「関係」に着目しているんだね。

ホープ ソーシャル・キャピタルを測る指標は多様で、扱う分野によって定義も変わってくるんだ。
例えば、社会疫学という分野では、人と人との結び付きが強まるほど、健康や幸福が増進されるといわれているよ。
2000年代から本格的に孤独・孤立対策を始めたイギリスでは、サークルやボランティアなど、社会とのつながりをつくることで入院・外来が約20%減り、医療費の抑制につながったんだ。

ミライ 結果に表れているんだ。健康被害のリスクは、特に高齢の方々で、気を付けないといけないよね。

ホープ そうだね。日本では、コロナ禍の中での高齢者の生活実態を調査したところ、顔が見えるビデオ通話の利用が増えた人は、増えていない人に比べて、孤立を感じる割合が30%下がっている。手紙やはがきの利用が増えた人でも24%下がっているんだ(日本老年学的評価研究機構〈JAGES〉の調査)。

ミライ 何げないコミュニケーションを通じて、孤立による健康被害を避けることができるんだね。

ホープ さらに、信仰する宗教を持っている人は、そうでない人と比べて健康であるとのデータもあるんだ。前向きな思考を養う信仰心と、複数人で集まって話す宗教活動が、良い影響を与えるとされているよ。だから、宗教はソーシャル・キャピタルの柱でもあるんだ。

◇一人にさせない
ミライ その他にどんな研究が進んでいるの?

ホープ 災害への備えについて有効であることが指摘されているよ。アメリカの政治学者である、ダニエル・アルドリッチ博士によれば、自然災害からの復興のスピードは、人のつながりがより緊密な地域の方が速いというんだ。
さらに博士は、「宗教団体の強みは他者に尽くすという行為の"日常性"にある」と述べた上で、創価学会の災害支援について、「人を結び、自分らしくいられる場所を創造していく活動が、普段から行われている」「何か特別なことをするのではなく、今まで通りの取り組みを続けてきた」と考察しているよ。

ミライ 私たちの日頃の学会活動が、ソーシャル・キャピタルを育んでいるとも言えるのね。

ホープ その通りだよ。日蓮大聖人は、「そもそも、木を植える場合、大風が吹いたとしても、強い支えがあれば倒れない。もともと生えていた木であっても、根の弱いものは倒れてしまう。弱くふがいない者であっても、助ける者が強ければ倒れない。少し頑健な者でも、独りであれば悪い道では倒れてしまう」(新1940・全1468、通解)と仰せだよ。
この御文では、信仰の実践の上で善知識が必要であることを示されている。その上で、広い意味で言えば、より良い人間関係を育むことの大切さ、さらには、一人にならない、一人にさせてはならないとの意味が拝されるね。

ミライ 人は「社会的動物」といわれるよね。だから、一人で生きていくことはできない。人は支え合い、助け合い、共に生きていくものだよね。

ホープ そうだね。英語で宗教は「religion」と言うけど、その元々の意味は「再びつなぐ」。現代にあって、宗教の重要性は増していると思うよ。
だからこそ、仏法を実践する私たちは、互いに励まし合う豊かな絆を結んでいきたいね。そうする中で、信頼と安心をもたらす社会が築かれていくことを確信していこう。

◇御文
『夫れ、木をうえ候には、大風ふき候えども、つよきすけをかいぬればたおれず。本より生いて候木なれども、根の弱きはたおれぬ。甲斐なき者なれども、たすくる者強ければたおれず。すこし健げの者も、独りなれば悪しきみちにはたおれぬ。』(三三蔵祈雨事、新1940・全1468)

◇メモ
本抄を頂いた西山殿は、さまざまな圧力に耐えながら信心に励んでいたとされます。日蓮大聖人は、その西山殿に"善知識を求めよ"と呼び掛けられました。
「善知識」とは、人々を善に導いて、正しい仏法の軌道へと向かわせる「善友」のことです。どんなに強い人であっても、一人だけで仏道を成就することはできません。善友を求め、善友と共に生きることが幸福の要件なのです。

[コラム:"いま"を知る]防災意識の醸成
今月、トンガ沖の海底火山が噴火し、私たちは改めて、自然災害と隣り合わせで暮らしていることを実感した。阪神・淡路大震災では、助かった人の約8割が「自助」「共助」によるものだった。地域社会での助け合いは、防災・減災の柱とも言える。
仏法では共同体を栄えさせるために、四つの徳目(四摂事)が説かれている。それぞれについて池田先生は、「第一に布施。励ましや哲学を贈り、恐れを取り除くこと。第二に愛語。思いやりのある言葉をかけること。第三に利行。他者のために行動すること。第四に同事。人々の中に入って、一緒に平等に貢献すること」と示されている。
利他の振る舞いこそ、他者と深く結び付き、社会を安定させるための要件と言えよう。ゆえに、災害を「ひと事」ではなく「わが事」として捉え、一人一人が"自らの命は自らが守る""地域住民で助け合う"という防災意識を醸成していきたい。