学会は同苦の心で進む
励ましのオアシスだ。
つらい時 苦しい時は
周囲に伝えることも大切。
希望の未来を共に!
立正安国論 P31
『国土乱れん時は先ず鬼神乱る鬼神乱るるが故に万民乱る』
【通解】
国土の乱れるときは、まず鬼神が乱れる。(鬼神すなわち思想が乱れる)思想が乱れるがゆえに万民が乱れる。
名字の言 毎月、座談会で体験発表する多宝会の女性 2021年12月23日
御聖訓の「はたらかさず・つくろわず・もとの儘」(御書759ページ)のごとく純粋な信心を貫く多宝会の女性がいる。その人の振る舞いに毎月の座談会で触れ、心が洗われる1年だった▼彼女は思わぬ悩みに直面した近況を友に報告しては「いやあ、弱りました」とこぼす。だが少しも困っているようには見えない。「悩みが大きい分、題目があがります」と逆境のわが身を全く悲観しない。落胆どころか「変毒為薬の仏法ですから、これからどんなことになるのか、今からドキドキです」と頬を紅潮させるのだ▼こうなると周囲も気になって仕方がない。同志は日々の勤行で彼女の勝利を祈り、エールを送った。そして迎えた翌月の座談会で、彼女が「こんな功徳を頂きました!」と意気軒高に体験発表するのがお決まりだった▼御書に「年は若返り、福は重なるであろう」(1135ページ、通解)とある。池田先生は語る。「若さとは、『動く』ことである。知恵を振り絞り、心を働かせ、何かを為すことだ。どんな境遇にあっても、何とかしようという挑戦の心を忘れないことだ。その人の生命は若い」と▼数え年では毎年正月、年齢に1歳を加える。それでも心はますます若く、信心で前進を期す新年を迎えたい。
寸鉄 2021年12月23日
「是を耳に触るる一切衆生は功徳を得る」御書。勇敢に語れば必ず仏縁に
ふるさと交流期間。顔を合わせれば会話も弾む。友や親戚と絆強める好機
東京・荒川師弟勝利の日。常勝不敗の闘魂は赤々。庶民の連帯で広布拡大!
新立川が師弟原点の日。輝く創価の凱歌の電源地 対話の大旋風をここから
飲酒運転の摘発増加と。「自分は大丈夫」の慢心排して。声掛け合い根絶
〈社説〉 2021・12・23 「岩倉使節団」の出港から150年
◇多様性の時代を開く主体者に
今から150年前の1871年(明治4年)12月23日、不平等条約の改正交渉や欧米諸国の制度・文化の調査を目的とした遣外使節団が横浜を出港した。
正使に岩倉具視、副使に木戸孝允・大久保利通・伊藤博文らと、明治新政府の要人を中心に構成された「岩倉使節団」である。彼らは米国を第一歩として、2年近くかけて12カ国を歴訪し、政治・経済・教育・社会等を視察した。
公式記録や使節団員の手紙等には、先進諸国の発展への驚きがうかがえるとともに、その原動力に冷静な目も向ける。"自主自治の精神"にあふれたある国では、豊かな「民力」から価値を生み出す土壌として「普通の教育」に着目し、別の国では、世界に進出する旺盛な「営業力」に学ぼうとしている(『米欧回覧実記』)。
教員など職業に就く女性が多いことに注目したり、男女同権や婦人参政権を巡る動きに言及したりした記述もある(前掲書)。ただ、その後の日本は、欧米先進国を手本に近代化を急ぐが、男女平等の実現は遅れ続けたといえる。
2024年度から発行予定の新5000円札の"顔"になる津田梅子は、使節団と共に海を渡った留学生の一人だ。7歳で渡米した彼女は、約11年にわたり現地で教育を受けた。帰国後、日本の女子教育の乏しさを憂い、再度の留学を経た後に女子英学塾(後の津田塾大学)を設立。日本の女子高等教育の充実に尽力した。
かつて池田先生は"人類の半分は女性である。その女性の地位が向上し、すぐれた教育を受けられなければ、国際社会で日本が真に重要な地位を得ることはできない。また、日本の真の発展もない"との彼女の先見を紹介した。
翻って本年、世界経済フォーラム(WEF)が公表した「男女格差報告」によると、日本は156カ国中120位。長年の課題とされながら格差が埋まらない。多様な一人一人を大切にする社会の建設へ、本気でかじを切る時だ。
仏法は「桜梅桃李」の多彩な個性の開花を促す哲学である。先月に施行した「創価学会社会憲章」にも「ジェンダー(=社会的性差)平等の実現と女性のエンパワーメント(=内発の力の開花)の推進に貢献」が明記された。
私たちは"多様性の時代を開く主体者"との自覚で、励ましの対話に挑みたい。
☆Switch——共育のまなざし 脳科学から見る「家庭教育」 小児科医・成田奈緒子さんに聞く
◇自分で考え生き抜く力は何歳からでも鍛え直せる」
子育てや教育の視点をスイッチ(転換)する意味を考える企画「Switch——共育のまなざし」。今回は、小児科医で脳科学者の成田奈緒子さんに、「家庭教育」の意義を伺いました。"研究者"の枠を超え、子育てや学校生活に悩む親子の声に耳を傾け、エールを送ってきた成田さん。脳の成長という観点から語る、「これさえ頑張れば大丈夫」という極意とは——。(聞き手=橋本良太)
◇「助けて」と言える
〈成田さんは最近、神戸大学医学部の同窓生で、ノーベル医学・生理学賞受賞者の山中伸弥教授との共著を出版されました。子育てをテーマに対談され、主要な話題の一つとして「レジリエンス」(乗り越える力)について論じられています〉
卒業以来、約30年ぶりにじっくり語り合いをさせていただきました。"飾るところがなく、ユーモアあふれる山中君"の人柄は、大学時代のままでした。子育てや社会のことについて論じ、多くの共通点を見いだせたことは驚きであり、うれしくもありました。
私は、発達障がいがある人の脳の研究を行っています。「レジリエンス」は、「自己肯定感」、周囲の人との関係を保つ「社会性」、周囲の人から助けられている実感「ソーシャルサポート」の3要素から成り立ちます。脳のトレーニングを重ね、脳波の分布を測定すると、ソーシャルサポートの点数が、最も上がりやすいことが分かりました。三つのうちの一つでも向上すれば、合計点としてのレジリエンスも上がる。発達障がいのある人が、社会での生きづらさを解消することにつながればと思い、研究を続けてきました。
このレジリエンス、特に「ソーシャルサポート」は"障がいのない人にも重要な意味をもつ"ということが、私と山中先生が一致したところです。ソーシャルサポートは、周りに対して「おかげさまと思える力」であり、それは、誰かに「『助けて』と言える力」でもあります。
山中先生とは研究者の世界を例に語り合ったのですが、"自分で考え、問いを立て、周りの助けも得ながら、何かを生み出していく"こと。それは、生きること全般に通じる力だと思います。そうした力を養うには、家庭教育から変えていくしかないと私は感じています。
◇早寝・早起き・朝ごはん
〈脳科学の観点から「家庭教育」が果たす役割とは何でしょうか〉
人間の機能の大部分は脳が担っており、子どもの発達を、ほぼ「脳の育ち」と考えても間違いではありません。「脳育て」には守るべき順番とバランスがあります。
最初にきちんと育てるべきなのは、寝ること、起きること、食べること、体を動かすことをつかさどる"からだの脳"(間脳や脳幹など)です。これは、生まれてから、5年くらいをかけて育っていきます。
次に1歳ごろから"おりこうさんの脳"(大脳新皮質)が成長し始めます。言語機能や細かな運動、思考などをつかさどり、18歳くらいまでの時間をかけて育ちます。
最後に育つのが、"こころの脳"です。大脳新皮質の中でも最も高度な働きをもつ「前頭葉」を用いて論理的思考を行います。人間の脳はだいたい10歳を過ぎたころから"からだの脳"で起こる欲求や情動を前頭葉までつなぐ神経回路が構築されていきます。
この順番を知った上で、バランスよく「脳育て」を行うことが大切です。例えば"からだの脳"を育てるべき時に、塾や習い事にたくさんの時間を使って夜更かしをしては、本末転倒です。「脳育て」のやり方は多岐にわたりますが、基本は「早寝・早起きをさせて、しっかり朝ごはんを食べさせる」。この生活習慣を確立することが家庭教育の担う一番重要なところで、それができれば、全てうまくいくといっても言い過ぎではありません。
〈共著では山中教授が「そこ、言い切るんですね」と述べています〉
はい、断言します(笑い)。私は2014年に"専門家集団による親子支援の場"として「子育て科学アクシス」を立ち上げました。正しい知識を得ていた親御さんの子どもたちは、「早寝・早起き・朝ごはん」を継続していたことで、コロナ禍の生活環境の変化にも影響されないばかりか、それを実践する以前に抱えていた心身の不調をも解消することができました。私自身が目にしてきた実例が多くあります。
◇親の不安が子どもに
〈成田さんは児童相談所や発達障がい者支援センターの嘱託医も務め、多くの親子に助言を送ってこられました。子どもたちは何に悩み、さらにコロナ禍の中、どのようなストレスを感じているのでしょうか〉
コロナ禍の前から多く見られたのは、学校で"荒れている子"が、家では別人のように従順でおとなしいケース。親に見捨てられるのが不安で、家では絶対に暴れないし、親の言いなりになっている。そのストレスが学校で爆発するのです。
私が接する親御さんには「『ええかっこしい』をやめよう」と伝えてきました。日本では長年、多くの親が「世間体」を気にし、わが子に対して「こうなってほしい」というレールを敷いてきたように思います。そのレールから外れることが心配で世話を焼く。それでは、子どもたちは自分の本音を言えません。
子どもが学校でストレスにさらされることもあります。学校は社会の在りようを伝える場でもあり、どうしても指示が多くなる。私が見学した特別支援学校でも、まず「おはようございます」と言えるまでは、それ以降の授業を開始しないということがありました。
そしてコロナ禍の中で、学校での指示は、さらに拡大し、顕著になりました。マスクの着用や、手洗いうがい、ご飯を食べる時は「黙食」(黙って食べる)等です。昨年春の一斉休校の時には、大量の自習教材用のプリントが配布され、外にも遊びに行けない事態も発生しました。
一方で、そうした制約に由来するように見える「ストレスの本質」は何かと考えた時、子どもの不安は、実は大人(親)の不安を体現しているということを感じます。新学期になれば学校に行かせておけばよいという"当たり前"が突然なくなった不安、子どもの自習(学力)に親が責任を持たされるという不安、リモートワークの場合には、働きながらそれを行うという不安も生まれる。
不安になると眠れなくなるので、親が寝る時刻が遅くなり、睡眠不足になります。するとイライラして、つい子どもに当たり、子どももイライラが募り、眠れなくなる——この悪循環です。
先ほど、「早寝・早起き・朝ごはん」を確立できていた家庭が、コロナ禍でも影響を受けなかったとお話ししたのは、そうした理由からです。
◇一人の幸福を皆で
〈幼児期からの生活習慣の確立が大切になりますね〉
脳の成長の目安となる年齢は先ほど述べた通りです。しかし、同時に強調したいのは「子どもの脳は、何歳からでも育て直せます」ということです。生活習慣の確立は、脳に確実に良い変化をもたらします。
親御さんも何かと忙しい現代社会です。「子どもの年齢に合った十分な睡眠時間を取らせる」。その一点を、何とか頑張ってもらえたらと思います。
また、最近の親御さんは真面目です。いろいろな子育ての情報や知識を収集して、"できるだけ早く""完璧に""良い子に"育てたいと思う。しかし、脳が18歳までに育ちあがることを考えると、成果もそれ以降に感じられるようになることが多いはずです。長い目で見守ることも必要です。
今は、親が若い世代であるほど、地域と交流することへの心理的ハードルが高いように思います。ある親御さんは、近隣の方と一度も話をしたことがない中で子育てをしていました。子どもは歌が大好きで、放課後、帰ってくると大声で歌う。親からすると、子どもの声が"ご近所の怒りを買っているのでは?"と不安で、「やめなさい」と、子どもを毎日怒っていたんですね。
私はそのお母さんに、「一度ご近所さんへ、『うちの子がうるさくてご迷惑をお掛けしています』って、あなたから言ってみてください」とお伝えしたんです。数週間後、結果を教えてくれました。「数軒お訪ねしましたが、どの家も、『全然気にしてないわよ』って。むしろ『元気でいいわね』『今はコロナで誰かとお話をすることも少なかったから、訪ねてきてくれてうれしかったわ』って言ってくれました」と。そして「子どものことを怒らなくて済むようになりました」と、笑顔で言っておられました。
ちょっとした触れ合いで、親の不安は減るんですね。地域の中で、道ですれ違った際のあいさつ一つからでも、ご近所の方から声を掛けていただけるといいなと思います。
そして、子どもとの関係性の密度にもよると思いますが、子どもに対しては「いつでも助けるよ。大丈夫だよ」と周囲から伝えることが重要だと思います。冒頭にお話しした「『助けて』と言える力」を育てるには、それを言える環境が大切です。
子どもたちが、"SOSは恥ずかしいことじゃない。あなたは一人で生きているのではない"というメッセージを親から、さらには地域の大人からも感じることができたなら、素晴らしいことです。
少子化が進む今だからこそ、子どもの一人一人に焦点を当て、その幸福を追求することが、社会の未来を豊かにすると思います。
【プロフィル】なりた・なおこ 小児科医・医学博士・公認心理師。神戸大学医学部卒業。米国セントルイスワシントン大学医学部、獨協医科大学、筑波大学基礎医学系を経て、2009年から文教大学教育学部教授。2014年に「子育て科学アクシス」を立ち上げ、代表を務める。『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(講談社+α新書、共著)『子どもにいいこと大全』(主婦の友社、監修)『子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング 育てにくい子ほどよく伸びる』(合同出版、共著)ほか著作多数。