「今いる場所」が
人間革命の道場だ。
眼前の課題に全力で挑む。
この粘り強い戦いから
充実と歓喜が生まれる。
諸法実相抄 P1358
『下地獄より上仏界までの十界の依正の当体悉く一法ものこさず妙法蓮華経のすがたなり』
【通解】
下は地獄界から上は仏界までの十界の依報と正報の当体が一法も残さず妙法蓮華経の姿である。
名字の言 歴史を織り成す真の主体者は「民衆」 2021年6月3日
歴史家の色川大吉氏が学生だった時のこと。中世の農民史を卒業論文の主題として考えていた別の学生がいた。すると、担当教授は「そんな研究に何の意味があるのだ」と言い放ったという▼民衆の歴史に価値はない——わずか半世紀ほど前まで歴史学者の多くがそんな認識だった。これに異を唱えた氏は「民衆史」という概念を提唱。歴史を織り成す真の主体者は、社会を動かす一部のエリートではなく、民衆であると主張した▼氏は「地域住民の歴史を掘ることは、自分の心や歴史意識を掘ること」と述べている(『民衆史』講談社)。この言葉にならえば、わが地域の広布史を学ぶことは、自身の信心や使命を深く見つめることにつながろう▼大阪から岐阜に嫁いだ女性は、慣習の違いや生活環境の変化に戸惑った。その折、本紙で小説『新・人間革命』第12巻「愛郷」の章の連載が開始される。山本伸一が岐阜・高山を訪問した場面を学び、"地域に尽くそう"と決意を新たにした。学会活動とともに読み聞かせサークルなど、地域活動にも率先してきた▼自他共の幸福と地域の繁栄に尽くす労苦を、無上の誇りとする創価の友の生き方——その一つ一つの集積が後世、偉大な「民衆史」と仰がれることを確信する。
寸鉄 2021年6月3日
広宣流布への信心がある所が仏の国土—戸田先生師弟共戦の師子と立て!
正副幹部の金剛の団結で力は倍加。全員が主役の誇りで勝利の峰へ加速を
「大海の初は一露なり」御書。祈り、賢く励まし拡大!目の前の一人から
特殊詐欺被害の8割超が61歳以上。日頃の家族の連携が重要と。油断せず
公明の推進で12〜15歳の接種も無料に。生命を守る政策実現に総力尽くせ
〈社説〉 2021・6・3 明後5日は「世界環境デー」
◇身近な一歩を踏み出そう
高層ビルの向こうに、雪山がくっきりと映えた一枚の写真。昨年4月、米ロサンゼルスで撮影された写真がツイッターで話題となり、"この数十年で最も空気がきれい"などの書き込みが相次いだ。
昨年の世界の化石燃料消費による二酸化炭素の排出量が、前年比で7%減少したという(グローバルカーボンプロジェクト推計)。新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動が縮小し、皮肉にも各地で大気汚染が改善された。だが今年、排出量は増加に転じている。
地球温暖化は確実に進行し、「異常気象の頻発」「氷河の後退」など、その影響は次々と顕在化している。明後5日は「世界環境デー」。日頃よりも視野を広げ、環境をおもんぱかる機会としたい。
コロナ禍をどう克服するかは喫緊の課題だが、環境問題への取り組みが後回しにされることがあってはならない。変革実現の好機と捉え、気候変動対策を据える「グリーン・リカバリー(緑の復興)」が、経済の立て直しの軸として注目されるなど、世界は大規模な産業構造の転換を迫られている。
これは、再生可能エネルギーの大量導入を促し、住宅や自動車など、私たちの暮らしにも密接に関わってくる。そもそも、「生産」「消費」「廃棄」の経済活動が、温暖化を加速させている。生産者と消費者の一人一人が当事者であり、温暖化は"人類共通"の課題だ。
アフリカの"環境の母"マータイ博士が創設した「グリーンベルト運動」は、1977年6月5日の世界環境デーに、わずか7本の苗木を植えることから始まった。その運動は国際機関と連携し、世界で150億本を超える植樹を成し遂げるまでに広がっていった。
これは、植樹運動にとどまらず、参加した多くの女性たちに"未来に責任を持つ!"との意識を目覚めさせたことで、歴史に輝く偉業ともなった。環境問題もその改善も、突き詰めれば人間の"選択と行動"の問題と言えるだろう。
池田先生は2012年発表の環境提言で、マータイ博士の運動に共感を寄せつつ、呼び掛けた。「皆で力を合わせて"小さな前進"を一つ一つ積み重ねながら、その生き方を自分たちの『誓い』や『使命』として踏み固めていくことが、持続可能性を追求する裾野を地球大に広げていく基盤になる」
持続可能な世界へ——。身近な一歩を踏み出そう。
☆5月度御書講義(上) 立正安国論
◇世界を結び、未来を創る——堂々と確信の対話を!
創価学会公式ホームページ「SOKAnet」で配信(5月31日まで)されている、森中教学部長の5月度「御書講義」を、上下にわたって掲載します(抜粋・編集)。教材は「立正安国論」です。民衆の幸福と世界平和を実現するための要諦を学んでいきましょう。講義の動画はこちらから視聴できます。((下)は5月30日付4面に掲載の予定)
◇はじめに
創価学会は、今、「立正安国」「立正安世界」を掲げて行動しています。世界各地のSGI(創価学会インタナショナル)メンバーと話すと、皆が立正安国の法理を真剣に学び、「立正安国」即「世界平和」の実践を力強く推進していることを実感します。
とりわけ、この一年、世界中がコロナ禍の状況にあって、メンバーは、分断と格差が広がる危機の中で、"人間尊敬の哲学を復権し、人と人との絆を強め、安穏の世界を築いていく立正安国の実践が今こそ必要だ"と決意を固め、行動に移しています。まさに、立正安国の世界的連帯が築かれる時代になりました。
「広宣流布は世界同時進行」という時代の中で、御書や池田先生の教学著作・指導は、世界共通で学ばれています。日本の私たちも、御書と学会指導を信心の源泉にして、納得と信頼の励ましと対話に勇んで挑戦していきましょう。
◇
「立正安国論」は、文応元年(1260年)7月16日、日蓮大聖人が39歳の時、当時の実質的な最高権力者・北条時頼に提出された「国主諫暁の書」です。
大聖人の御生涯は、この「立正安国」の実現を目指した激闘の連続であったともいえます。
この「立正安国」の実践を受け継ぎ、民衆の幸福と世界平和の実現を目指して、現実変革に挑戦している団体が創価学会です。
仏法者は、現実社会の変革に目を向けていかなくてはなりません。今回の拝読範囲は、まさに、民衆の苦悩に満ちた国土を、仏国土に変えていく日蓮仏法の本義が示されている内容となっています。
続いて、題号の「立正安国」の意味を確認します。
「立正」とは、正法の流布を基盤に、生命の尊厳、人間尊敬の哲理を人々の胸中に確立し、社会の基本原理にしていくことです。社会の価値観の基盤に、生命尊厳の思想を定着させていくことが重要です。
社会を構成する一人一人の意識が変わり、法華経が示している、生命尊厳の思想が定着する方向へ、社会の精神土壌を変革していくことが、私たちの「立正」の実践です。
「安国」とは、社会の繁栄と平和の建設です。これには、民衆が「三災七難」に苦しむことのない安穏な国土の実現も含みます。まさしく、この現実の娑婆世界に仏国土を建設することです。
「立正安国」を考える上で大切なのは、「立正」と「安国」の関係です。
「立正」とは「安国の根本条件」であり、「安国」とは「立正の根本目的」であるといえます。
ここでいう「国」とは、「一国」に限定されるものではありません。郷土から世界に至るまで、民衆が住む国土を指します。
創価の師弟は、「この世から悲惨の二字をなくす」との信念で、民衆一人一人の幸福、そして平和で安穏な社会の実現を目指して戦ってきました。この精神こそ学会精神です。
◇御文
『汝早く信仰の寸心を改めて速に実乗の一善に帰せよ、然れば則ち三界は皆仏国なり仏国其れ衰んや十方は悉く宝土なり宝土何ぞ壊れんや、国に衰微無く土に破壊無んば身は是れ安全・心は是れ禅定ならん、此の詞此の言信ず可く崇む可し』(御書32ページ14行目〜17行目)
◇仏国土を築く
「立正安国論」は、北条時頼を想定した客と、大聖人を想定した主人との十問九答の問答形式で展開されています。最後の十番目の質問は、客の決意にもなっているので答えはありません。ここで拝読するのは、第9段の答えの部分です。第9段の質問でも、客はすでに納得して、正法の実践を決意しています。
それに対して、主人は、経文に照らして、「自界叛逆難」と「他国侵逼難」が目前に迫っており、客に対していち早く行動を起こすようにと強く迫ります。
5月度「座談会拝読御書」の範囲でもある御書31ページ16行目からの箇所で、主人は"戦争が起これば、国家や生活の基盤は破壊されてしまう。その時には、もはや逃れるところはない"と述べます。そして結論として、「汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を祷らん者か」(御書31ページ)と強く訴えます。
大聖人は、自身の「安堵」(安心)を考えるなら、あなたはまず、「四表の静謐」(自分の周囲、社会や国家、世界の安穏、平和)を祈るべきではないのか、と仰せになっているのです。
その後、主人は、謗法厳誡の姿勢を確認した上で「あなた(客)は早速、ささやかな信仰の心を改めて、速やかに、実乗の一善に帰依しなさい」(同32ページ、通解)と述べます。
「実乗の一善」とは、成仏へと導く真実の教え、つまり法華経という唯一の正しい教えのことです。
法華経こそが「根本善」です。なぜなら、全ての人々の仏性を開き、絶対の幸福境涯を築き上げることを可能にする教えだからです。
「実乗の一善」を選び取れば、私たちの住む現実世界が、そのまま永遠にして不滅の仏国土となります。
「実乗の一善に帰せよ」が「立正」で、次の御文が「安国」になります。
「そうすれば三界は皆、仏国である。仏国が、どうして衰えることがあるだろうか。十方の国土は、ことごとく宝土である。宝土が、どうして壊れることがあるだろうか」(同ページ、通解)
「三界」とは、仏教の世界観で、地獄界から天界までの六道の迷いの衆生が住む世界です。「宝土」とは、功徳に満ちあふれた国土のことです。法華経如来寿量品第16では、娑婆世界が仏の常住する寂光土すなわち、宝土であることが明かされました。これが「娑婆即寂光」の原理です。
仏国、すなわち宝土は、衰えたり、壊れたりすることはありません。永遠に崩れることのない常住の仏国となるのです。この仏国土を、衆生が苦悩する現実の世界で実現していくのが法華経の特徴であり、大聖人の立正安国の仏法です。
ゆえに、「国土が衰微することなく破壊されることがなければ、身は安全であり、心は動揺せず安定しているだろう」(同ページ、通解)と仰せなのです。大事なことは、民衆の安穏のための「立正安国」です。反対に言えば、「立正安国」の目標は民衆の幸福にほかなりません。
「四表の静謐」が実現することで、「一身の安堵」も、かなっていきます。
一人の人間革命から始まり、一国の宿命転換、全人類の宿命転換が実現していく。その中に、一人一人の成仏もあります。
◇未聞の社会変革
法華経の「娑婆即寂光」から始まり、立正安国に至る思想は、大聖人御在世当時の宗教界にあっては想像も及ばない画期的な思想です。
だから主人は、「これらの言葉を信じて敬わなければならない」(同ページ、通解)と、信心をもって受け止めていきなさいと述べているのです。
現代にあっても、立正安国は未聞の社会変革の実践です。創価学会の社会的展開、社会参加について、多くの識者や人々が正当な評価をする時代に入りました。
池田先生は「私たちの対話は、人間の力を復興する戦いです。私たちの対話が、社会を変え、世界を結び、未来を創ります。私たちの対話には、希望があります」(『勝利の経典「御書」に学ぶ』第22巻)と教えられています。
私たちは確信を込めて、堂々と、立正安国の対話を力強く繰り広げていきたいと思います。