2012年6月21日木曜日

2012.06.21 わが友に贈る

「真剣」の二字に
慈愛と祈りが表れる。
信頼と連帯が築かれる。
一日一日を勝ち取り
偉大な歴史を残せ!

兄弟抄 P1083
『石はやけばはいとなる金はやけば真金となる』

◇希望の明日へ
幸福になるための知恵は、すべて仏法に含まれている。また"仏法即社会""信心即生活"である。信心に徹していくならば、現実の生活のなかで、幸福生活の花を咲かせるための知恵がかぎりなく開かれていくのである。
平2・7・9

☆100文字の幸福抄
深い愛情で結ばれた
家庭の絆は、何ものにも崩されない。
人間を強くし、正しき方向へと導いてくれる。
その家庭の絆こそが、
人生におけるどんな試練も耐え抜いて、
夢や理想を実現しゆく
勇気を贈ってくれる心の大地となる。

☆新潟日報特別寄稿「新潟に光る文化と友情の翼」
新潟から「みらい」と「ゆめ」と「きぽう」が大きく羽ばたきました。
佐渡市で放たれたトキの夫婦に誕生した雛たちの成長に、日本中が沸いています。トキとの共生を目指し、無農薬・有機肥料での米作りを続けてきた、私の佐渡の友人たちの喜びも格別です。中国から贈られた友情のトキの飛翔は、両国の国交正常化40周年を寿ぐ慶事でもあります。
長岡市の誇る県立近代美術館では、この7月から、私ども東京富士美術館が企画した「地上の天宮北京・故宮博物院展」が開催される運びとなりました。
新潟日報社、BSN新潟放送をはじめ、関係者の皆様方の御尽力に、心から御礼を串し上げます。

新潟は、お隣・中国と幾重にも深い縁で結ばれております。
思えば、故宮博物院の草創の理事長を務められた蔡元培先生(北京大学学長)は、三条市の出身で世界に冠たる『大漢和辞典』を完成させた諸橋轍次先生の朋友でありました。
美的教育で人間を高め、結ぼうとした蔡先生は、文化の宝を広く民衆に公開する博物院の設立に貢献されたのです。
その心は今も受け継がれています。昨年の東日本大震災の影響で、海外からの多くの展覧会が中止される中、「災難に打ち勝つ励ましの力になれば」という故宮博物院の方々の真心で、全国を巡回してくださっているのが、今回の故宮展です。
諸橋先生も、中国に流れ通う「恕(思いやり)の心」を大切にされていました。かつて郷土の水害の折も、我がことのように胸を痛められました。
それは「新潟の心」そのものです。
東日本大震災の直後、わが新潟の尊き友たちは、中越地震、中越沖地震等の経験を踏まえ、女性を中心に作った1万5千個のおにぎり、非常食や水など喫緊の救援物資を即座に用意して、頼もしい青年の輸送で、雪降る東北へ送り届けてくれました。
「食は命」です。常日頃から、おいしいお米をはじめ日本の食を支えてくださっているのも、新潟です。
故宮展では、宮廷の彩り鮮やかな食卓も再現されています。「命の大地」といっても過言ではない新潟の方々に、大王の膳を楽しむような心豊かな一時を過ごしていただければ、これほど嬉しいことはありません。
新潟は多彩な伝統工芸品でも最高峰を誇ります。それだけに、故宮の逸品に光る匠の技も、より深く鋭く鑑賞していただけることでしょう。

本展は「女性と子ども」が大きなテーマです。展示品からは、麗しい母と子の愛情が伝わってきます。
ほぼ北緯40度の北京も、冬は厳寒です。雪国・新潟と同じように、寒さに負けず、氷の上で楽しく遊ぶ子どもたちを描いた絵があります。皇子がかぶる虎の帽子にも綿が入っており、「風邪などひかず強く賢く育て」との願いが織り込まれています。
国家一級文物(国宝)の名画《女孝経図》巻には、「人を得れば盛んになり、人を失えば亡ぶ」という『詩経』の教えが留められていました。
いずこであれ、青年を育て、人材を伸ばしたところが勝ち栄えます。
新潟は「米百俵」の逸話に象徴されるとおり、教育で未来を開いてこられました。大家族世帯が多く、地域の教育力も豊かであり、高校の進学率や小・中学生の体力でも全国有数です。
私の先師で、柏崎市荒浜に生まれた教育者の牧口常三郎先生は、戦時中、軍国主義に抗して投獄されても、「学は光なり」と哲学書を読み、獄死の直前まで学び抜きました。
先師の故郷の若人には、"天下の命は後継者に懸かる"とされた故宮の人材育成の歴史から、向学と錬磨の息吹を感じ取ってもらえればと思います。

「新潟日報」の題字を書かれた歌人の会津八一博士も、中国との文化交流の意義を強調されました。博士が文化の真価とされたのは、"いざという時の助け合い"です。まさしく「なじらね(どうですか)」と、人を思いやらずにはいられない新潟の父母の心こそ、真の文化の光でしょう。
私の妻の友人である長岡市(旧・川口町)の母も、中越地震の際、自ら大やけどを負いながら、地域の方々を励まし、救援の要として大活躍されました。
強く美しき人間の絆で幾多の試練を勝ち越えてこられた「希望の都」新潟で開催される故宮展を通し、文化と友情の翼がいやまして光を増しゆくことを、私は祈ってやみません。
(2012年6月17日)