御聖訓「人を憑んで
あやぶむことなかれ」
誰かに頼る心が
油断に通じる。
決然と一人立とう!
(新2085・全1451)
曾谷殿御返事 P1056
『何に法華経を信じ給うとも謗法あらば必ず地獄にをつべし、うるし千ばいに蟹の足一つ入れたらんが如し』
【通解】
いかに法華経を信じていても、謗法があれば必ず地獄に堕ちるのである。漆千ばいの中に蟹の足を一つ入れたようなものである。
名字の言 40年ぶりに会った先輩から渡された「一枚の色紙」 2022年5月28日
先日、ある友の大学時代の先輩が青森県から上京した。2人は年賀状のやりとりはしていたものの、直接、会うのは40年ぶり。今年67歳の先輩は「会える時に会っておきたいし、戻したいものがある」と▼先輩は、信仰の素晴らしさを教えてくれた一番身近な存在だった。学生部時代を共に広布に走り、人生の土台を築いた青春の日々が思い起こされた。しかし、先輩が言う「戻したいもの」に心当たりはなかった▼先輩がかばんから取り出したのは、黄色くなった一枚の色紙。その瞬間、45年前の学生部結成20周年を記念する部大会の光景がよみがえった。会合後、入会間もない友が"生涯、不退転の誓い"を記し、当時、学生部グループ長だった先輩に手渡したものだった▼「半世紀近くも自分の成長と活躍を祈り、見守ってくれていた。この先輩をはじめ、多くの人々に支えられてきたからこそ、今の自分がある」。感動が全身を貫いた。心からの感謝は共戦の新たな決意となり、今再びの前進の力となった▼話を伺い、創価家族のありがたさを改めて痛感した。ひとたび結んだ絆を大切にし、たとえ場所は離れていても、共に励まし、共々に進む——これが創価学会の世界である。人材育成の方程式である。
寸鉄 2022年5月28日
生命力が強いほど幸福に—恩師。青年よ師子吼の題目で逞しく試練に挑め
福岡が猛進。平和建設の先駆はわれらが。民衆の大連帯で断じて凱歌を!
愛知の友が勇気の前進! 勝ってこそ堅塁城は輝く 今こそ総立ちで壁を破れ
高齢者の虚弱予防�栄養�運動�社会参加—医師 広く声掛け合い皆で実践
60歳以上の人など4回目接種が開始。重症化防ぐために有効。対策緩めず
〈社説〉 2022・5・28 「怒る」「叱る」に頼らない
◇心に寄り添う"伴走者"に
ずっとバレーボールが嫌いでした——そう語ったのは、バレーボール元日本代表の益子直美さんだ(本紙2月20日付)。選手時代を通して、監督やコーチから怒られ続け、「自分はダメな人間なんだ」と自信が持てなくなったという。
そうした経験を踏まえて、現在は小学生向けの「監督が怒ってはいけないバレーボール大会」を主催する。子どもたちは怒られないと分かっているので、いつも以上に伸び伸びとプレーするそうだ。
さらに益子さんは「子ども自身が考えるプロセス」を大切にし、質問をされても「どうしたらいいと思う?」と問い、自発性を引き出すよう心掛けているという。
こうした取り組みは、子どものスポーツに限らず、さまざまな教育の分野においても示唆的である。指導的立場の人の中には、「怒る」と「叱る」は違うと考える人もいるだろう。だが、どちらも相手を威圧し、恐怖心を与える意味では同じという意見は多い。
『〈叱る依存〉がとまらない』(紀伊國屋書店)の著者で臨床心理士の村中直人氏は、「叱る」という行為は自分の欲求を満たす「快楽のための行為」でもあり、他者を叱ることには依存症と似た構造があると指摘する。
そしてこの「叱る依存」は、ある一つの組織において、「立場にかかわらず、誰でも率直な意見や素朴な疑問を発言しても良い」という「心理的安全性」を脅かす一番の敵であると強調している。
活発に意見を交わし合える組織には、創造的なアイデアが生まれやすく、状況の変化にも対応できる力が培われていく。先行きが不透明で答えのない今の時代にあって、そうした自由な雰囲気や柔軟性が組織を持続し、発展させていく要諦となろう。
ゆえにリーダーは、一人一人が生き生きと語り、軽やかに挑戦の一歩を踏み出せるよう心を砕きたい。御書に「人がものを教えるということは、車が重くても油を塗ることで回りやすくなり、船を水に浮かべて進みやすくする、というように教えるものです」(新1918・全1574、通解)と。
「怒る」「叱る」に頼ることなく朗らかに、一人が持つ内発性を信じ、尊重する。そこから、持てる力が何倍にも発揮されていく。どこまでも相手の心に寄り添い、共に課題に挑みゆく"伴走者"となって進みたい。
☆共生の地球社会へ〜仏法の英知に学ぶ テーマ:メディア・リテラシー
登場人物
【娘・ミライさん】好奇心旺盛な女性部員。世の中の出来事について、父・ホープ博士と語り合うことを楽しみにしている。
【父・ホープ博士】勉強熱心な壮年部員。毎月1回、家族と一緒に教学を研さんしている。「博士」はニックネーム。本業は会社員。
◇賢明な眼を養い、情報に向き合う
ホープ 同僚から転送されてきた感動的なメールを送ったけれど、読んでくれたかな?
ミライ 興味を引く内容だろうけれど、出所不明で真実味がないから、広げない方がいいと思うよ。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった頃を思い出してみて。
"感染の影響で、中国から紙の輸入が途絶えるから、トイレットペーパーが品薄になる"といった情報がインターネットで拡散されたことで、買い占められ、店頭から相次いで消えたよね。けれども実際は、トイレットペーパーの多くは日本製。供給力に問題はなかった。
ホープ そうだったね!
ミライ 疫病の流行期や災害時には、デマが広まりやすいから注意が必要だよ。
人は、不測の事態に直面すると不安に陥り、情報の空白を埋めようとして、信ぴょう性に欠ける情報までも広めてしまうことがあるんだ。
ホープ 「一刻も早く教えたい」という善意の人も多いと思うけどね……。でも、結果的にデマの拡散に加担してしまいかねないんだね。
ミライ そうだよ。SNS(会員制交流サイト)大手のツイッターの実験によると、フェイクニュースの方が真実よりも、速く広まるとの結果が出ているよ。
テレビやインターネットが普及した現代の情報伝達力は、スペイン風邪が流行した百年前と比べて、150万倍との試算もあるんだ。
その恩恵で、自然災害といった危機に対して、地球規模で迅速に対応することもできているけれどね。
ホープ いずれにしても、玉石混交の情報を、受け手がどう選び取るかにかかっている。
◇分断を生むデマ
ミライ 情報を読み解く能力のことを、「メディア・リテラシー」というよ。情報を適切に判断・分析して、決定を下す力を、一人一人が身に付けていくことが重要なんだ。
ホープ 注意しなければいけないのは、人々の不安な気持ちにつけこんで、社会を扇動したり、特定の人・団体に憎しみの感情を向けさせたりするような情報だね。
差別や偏見が広まると、社会の基盤を損ね、分断が加速する。何より、虚偽を広めるのは、悪の常とう手段ともいえる。
日蓮大聖人は、女性問題がある「犯僧」と喧伝され、ありもしないデマを流されたんだ。
ミライ 卑劣な手口で人を陥れる構図は、いつの時代も同じだね。
ホープ 真言宗の弘法が、自身の著作で"夜中に太陽が出た"などと異常現象が起きたと書いている。これに対して、大聖人は、"それは、いずれの月の何日、何時の出来事なのか""仏典にもその他の書物にも記録がない"と、具体的に追及し、「明確な証拠もないのに信用できるわけがない」と喝破されているんだ(新248・全319、趣意)。
ミライ 徹底した証拠主義は、メディア・リテラシーを高めることに通じるね。
ホープ 大聖人の門下は、放火や殺人といったデマを流されたんだ。そうした悪縁に触れることで、信心が揺れ動いてしまう弟子もいた。
御書には、こうも仰せだよ。
「菩提心を発す人は多けれども、退せずして実の道に入る者は少なし。すべて凡夫の菩提心は、多く悪縁にたぼらかされ、事にふれて移りやすきものなり」(新1990・全1384)
大聖人は、門下が誤った思想に陥らないよう、真実を見抜く眼を持つことを訴えられたんだ。ある意味、大聖人の御闘争は、民衆を賢明にするためのものだったとも拝されるね。
◇知識を生かす知恵
ミライ 私たちも情報に翻弄されることなく、賢く向き合わなければいけないよね。
フェイクニュースを見抜く自信があると感じている人は、約2割にすぎないとの調査もあるよ。不確かな情報は絶対に流さない方がいいね。
ホープ 池田先生は、メディア・リテラシーの浸透を念願した上で、次のように語られているよ。
「情報を整理し、正しく認識していくことが、ますます大事ではないでしょうか。さらに言えば、知識は、ただちに人間を幸福にしません。人間の幸福を左右するのは、知識を生かす知恵を持っているかどうかである」(『見つめあう西と東』第三文明社)
ミライ 確かに、情報そのものは知恵ではないよね。
豊かな知恵を得るためには、一部の情報だけを過信せず、いろいろな考えをもつ人と触れ合っていくことが大切だと思う。
間違った思い込みに気付くことができたり、新たな発見が生まれたりするからね。
一人一人の幸福と、社会の繁栄のために情報を活用するという目的観を忘れないことが重要なんだね。
◇御文
『菩提心を発す人は多けれども、退せずして実の道に入る者は少なし。すべて凡夫の菩提心は、多く悪縁にたぼらかされ、事にふれて移りやすきものなり。』(松野殿御返事、新1990・全1384)
◇メモ
さまざまな縁に触れて移ろいやすいのが人の心です。困難に直面する中で、「悪縁」にたぶらかされてしまえば、愚痴や不平不満に心が支配され、信心を全うすることはできなくなってしまいます。
玉石混交の情報があふれている時代だからこそ、信頼できる同志と何でも語り合い、視野を広げ、目の前の課題を乗り越える知恵を育むことが大切です。そうした信心の姿勢が聡明な自身を築いていくのです。
◇[コラム:"いま"を知る]"脊髄反射"をしない
新型コロナウイルスの世界的大流行に伴い、SNSなどを通じ、うわさやデマなどを含んだ真偽不明の情報が大量に拡散された。
不確かな情報が大量に広がることを、インフォメーションと、エピデミック(感染症の広がり)を組み合わせて「インフォデミック」と呼ぶ。国連が注意喚起をするほど、地球規模の問題となった。
千葉大学の藤川大祐教授は、ネットの情報を扱う上で、"脊髄反射"をしないことを訴えている。具体的には、目にした情報を即座に拡散したり、反対意見をすぐに、たたいたりしないこと。なぜ、こういうことを書いているのか、一呼吸置いて情報と向き合う癖をつけることが大切だという。
仏典には、「浅きを去って深きに就くは、丈夫の心なり」(新612・全509)とある。一時の感情に流されることなく、物事の本質や優劣をより深く問いながら、"情報の洪水"に抗う冷静な判断力を養っていきたい。