2022年5月16日月曜日

2022.05.16 わが友に贈る

◇今週のことば
「仏になるみちは
善知識にはすぎず」
楽しき座談会の善友と
一生成仏の前進を!
人間共和の拡大を!
(新1940・全1468)
2022年5月16日

可延定業書 P985
『当時の女人の法華経を行じて定業を転ずることは秋の稲米冬の菊花誰かをどろくべき』

【通解】
末法の女性が法華経を修行して、定まった寿命を転じて延ばせることは、秋に稲が実り、冬に菊の花が咲くようなもので、だれが驚くでしょうか。

【先生の指導から】
長生きして幸福になるに決まっているのですよと最大に励ましておられるのである。まさしく、白樺の皆さまこそ、「全世界の人の病を治す良薬」をもって、全女性、全民衆の「健康」「長寿」「幸福」の道を開きゆかれる菩薩であり、仏に等しい方々である。仏の境涯は、「抜苦与楽」の振る舞いとなって表れていく。

名字の言 メラビアンの法則 2022年5月16日
対面で語らう際に、人は相手の�会話の内容�声�表情や視線から、それぞれどの割合でメッセージを受け取るか。心理学者メラビアンが実験によって明らかにした、有名な法則がある▼結果は�7%�38%�55%。ただ、「話の内容に意味はない」わけではない。この法則は「���の表れ方が矛盾していた場合、人は��を優先して判断する」ことを示したものだ。例えば口で「感動した」と言いながら、つまらなそうな態度をしていたら、人は声や表情から本音を汲み取る▼「目は口ほどに物を言う」し、「言葉は心の使い」ともいう。「声は人なり」とも。言葉と声と表情、その全てが同じ心で貫かれた時に、発する言葉は言葉以上の力を持って相手に届く▼釈尊は「対話の名手」と呼ばれた。その言動が、万人を「我が如く等しくして異なること無からしめん」(法華経)とする心に貫かれていたがゆえに、多くの人の心を動かしたに違いない。仏がこの世に出現した目的は、「人の振る舞い」を示すことであったと御書に仰せだ(新1597・全1174)▼友の幸福や平和への願いを伝えることに遠慮はいらない。話の巧拙でもない。「ただ心こそ大切なれ」(新1623・全1192)である。

寸鉄 2022年5月16日
師と苦楽を目的を勝利を共にする弟子たれ—戸田先生。新たな師弟の劇を
「題目を唱うる人、如来の使い」御聖訓。強き祈りで仏の生命を輝かせ対話!(新1616・全1181)
「SGIにこそ、真の人間主義の運動がある」識者。自他共の幸福の連帯更に
未来をはらんでいるのは今の行動—哲人アラン。後回しは敗北の因。決意即行動
気温・湿度上昇で食中毒に注意。手洗い、加熱調理等の基本徹底。油断せず

〈社説〉 2022・5・16 就活に励む友にエール
◇試練も糧に ぶれない人生の軸を
来年春の入社に向けた就職活動が本格化している。すでに内定をもらった人、"ここからが勝負"という人もいるだろう。先日、社会人2年目の東京の学生部員が語っていた。"自分と社会のつながり"を就活を通して深く考えたことが、社会に出て、理想と現実のギャップに直面した時にも、希望を見失わない力になっている、と。
自身の人生を通して、社会にどのような価値を生み出していくか——この目的観を深めることは、あえて言えば、就活の成否を超えて、一層、重要ではないか。今、悩み考えた分、ぶれない人生の軸ができ、来春から生き生きと働いていける"強い自分"が築かれる。
就活で苦労している友には、コロナ禍の試練に耐えてきた世代として、自らの生き方に自信を持ってもらいたい。自身の魅力を表現する知恵を、今一重、深い祈りで湧かせることが重要である。
やりたいことが見つからない人は、小さな縁を大切に、時には大胆に飛び込む勇気も必要だ。
熊本出身のある池田華陽会の友は、高校2年の春休みに転機が訪れた。ボランティア活動をしていた双子の姉が、海外に行って直接、子どもたちに学用品を届けたいと行動。経済的余裕はなく、進学のための塾代と引き換えが条件だったが、妹も共に渡航。それが妹にとって塾代以上に価値ある旅となった。"子どもの幸福に尽くしたい"という夢を見つけたのだ。塾には通わず、自力で創価大学へ。充実の4年間を経て今春、児童養護施設の職員となり夢をかなえた。
働き方が多様化する時代だが、"働くこと"には大きな意味がある。哲学者ヒルティは、真面目に没頭すれば興味が湧くのが、どんな仕事にも共通する性質であるとし、「ひとを幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功とのよろこび」(草間平作訳)とつづっている。一番大切なのは、どう働き、成長するか。胸中に挑戦の炎が燃えていれば、どの職場であれ、必ず自身を輝かせていける。
池田先生は「自分のありったけの力を仕事にぶつけたか、そして、生命を完全に燃焼させて、その時代、その社会に自己の燃焼のエネルギーによっていかなる利益をもたらしたか」と述べ、"各人の仕事の姿勢が人生と社会をも決する"と。最高の使命ある進路を、最後まで諦めずつかみ取ろう。その若き力が社会の閉塞を破る力となる。

☆仏法思想の輝き 波涛会書記局員 舩津広宣
◇海洋調査船のエンジニア
【プロフィル】ふなつ・ひろのり 山口県下関市の水産大学校卒。2017年(平成29年)から海洋調査船で機関長を務める。1987年(昭和62年)入会。58歳。東京都江東区在住。本陣長(ブロック長)。

◇人に尽くす航路に喜びが
多くの謎に包まれる海。私が機関長を務める海洋調査船は、海水の成分や海底の地質、生物など、幅広い分野の研究に当たっています。
機関長は、船の動力であるエンジンをはじめ、さまざまな機械・装置の運転管理を行う機関部の責任者です。機械のメンテナンスは、乗組員の命に直結します。船員一人一人が、担当する部門で役割を果たし、協力しながら、安全第一で運航を支えています。
限られた時間や変動する気象条件の下、研究目的の達成を目指して、研究者の要望に応えます。

◇海運業界の危機
ひとたび出航すれば、帰宅できるまで最長4カ月。過ごす空間や、触れ合う人は限られ、単調な風景が続きます。
船員が海での生活に幸福を見いだせるかは、仕事の質に影響するので、とても大切です。特に、船を下りてから余暇をどう過ごすかが、仕事のモチベーションの維持にもつながります。
私は、波涛会(海外航路に従事する壮年・男子部のグループ)の活動のおかげで、仕事に張り合いをもつことができました。
——機関士として駆け出しの頃、波涛会の先輩から「写真を出展してみないか?」と勧められました。
その前年の1987年(昭和62年)から、波涛会による「波涛を越えて——働く海の男の写真展」が始まっていたのです。
作品には、船乗りだからこそ出合える珍しい景色、迫力ある船体、寄港した異国の町並みや人々の笑顔などが並んでいました。
当時、急激な円高が進み、日本の海運業界は不況の大打撃を受け、船員の職を失う人も相次いでいました。
この写真展には、波涛会一人一人の"海運業界をもり立てよう!"との熱意が込められていたのです。また、人生のあらゆる試練に立ち向かう希望の大切さを、多くの人に伝える内容でした。
以前から趣味程度で写真を撮っていたので、"写真が広宣流布につながるんだ"と、活動の幅の広さに驚きました。

◇写真展が使命に
写真展では、うれしそうに笑顔で鑑賞する方が何人もいました。感想ノートには、「生きる勇気をもらいました」「頑張ろうと思う」などと記され、鑑賞者の背中を押せたことに、私も感動しました。
日蓮大聖人は、「人のために火をともせば、我がまえあきらかなるがごとし」(新2156・全1598)と仰せです。"あの人のために頑張ろう""この人を勇気づけたい"——そんな思いで人に尽くし抜き、相手が喜ぶ姿に触れた時、充実感がいっそう増すことを学びました。
写真展に自身の使命を見いだした私は、休暇を使って、展示会場の選定や、写真の梱包・積み下ろしなど、多くの作業を率先して担ってきました。
2008年(平成20年)6月、英国ロンドンにあるIMO(国際海事機関)の本部で、写真展が行われることになりました。IMOは、海運に関する世界のルールを決め、国際協力を促進する国連の関連機関です。
展示の準備中、窓外に目を向けると、テムズ川の向こうに時計塔・ビッグベンとウェストミンスター宮殿が。写真展に携わって約20年、日本でコツコツ続けてきた努力が、世界へつながったことに感慨を深くしました。
展示は、英国王室や各国の大使にも鑑賞してもらい、大好評を博しました。
何より、この模様を、小説『新・人間革命』第22巻「波濤」の章につづっていただけたことは生涯の思い出です。

◇共通の祈り
ロンドンでの展示の翌月、うれしい知らせが届きました。当時、3歳の長女の心室中隔欠損症が自然完治したのです。
長女は生まれてまもなく、心臓に穴が見つかりました。かつて、同じ病を患っていた私の妹は、13歳の時に不慮の事故で帰らぬ人に……。一家の宿命を痛感しました。
妻と共に「自分たちの祈りで必ず治そう」と誓い合いました。
わが家の場合は、夫婦が遠く離れていても、"娘の幸福"という共通の祈りで心がつながっていました。
信心していたからこそ、前を向いて船に乗ることができたと思います。私は船室で一人、深々と題目を唱え抜きました。記録を続ける唱題表は、18年目になります。
娘は現在、創価高校へ元気に通っています。妻の支えにも感謝は尽きません。
船上では、データ通信の制限はありますが、リアルタイムで連絡が取れます。地元の地区の皆さんの活躍に触れると元気をもらい、孤独感が和らぎます。
海洋調査はまだまだ続きます。乗船する皆が笑顔で仕事に臨めるように、安全第一で、皆に尽くす航路を進んでいきます。

◇[視点]水の信心
船上で一人、地道に信心を貫く舩津さんは"水の信心"を体現していました。
御書には、「聴聞する時はもえたつばかりおもえども、とおざかりぬればすつる心あり。水のごとくと申すは、いつもたいせず信ずるなり」(新1871・全1544)と仰せです。たとえ華々しい行動がなくても、水がたゆまず流れるように、不退の志と使命感をもって、生涯、信行学の実践を持続し抜いていくことが大切です。成仏とは、絶え間なき生命錬磨の異名にほかなりません。
"昨日より今日、今日より明日へ"——日々の生活に根差した祈りと努力によって、自身を向上させる。そうして人間性を輝かせることが、創価学会の信仰なのです。