2022年3月29日火曜日

2022.03.29 わが友に贈る

陰で黙々と支える
誉れの同志がいる。
仏に等しい尊き人だ。
その陰徳に陽報は厳然!
皆で感謝と称賛を!

月満御前御書 P1110
『譬えば雷の音耳しいの為に聞く事なく日月の光り目くらの為に見る事なし』

【通解】
たとえば、雷の音も耳の聞こえない人には聞こえないし、日月の光りも盲目の人には見ることができない。

名字の言 初代・中村吉右衛門が肝に銘じたこと 2022年3月29日
歌舞伎「熊谷陣屋」に登場する源氏の武将・熊谷直実は、初代・中村吉右衛門の当たり役だった。吉右衛門は常に肝に銘じたという。自分は何度も直実を舞台で演じたが、当の直実本人が、このしぐさをし、言葉を発したのは「一生に一度しかない」出来事なのだ、と(小宮豊隆『中村吉右衛門』岩波書店)▼技巧が光る円熟の演技を見せようとするより、この時、ここで"一生に一度"しかなかった直実の思いに肉薄する。それでこそ「本当の心情」が表現できるのだろう▼多宝会の女性から便りを頂いた。手紙は「わが家の杏の花も咲き始めました」と結ばれていた▼彼女は昨年、夫を亡くした。励ます同志に「大丈夫よ」と気丈に振る舞ってはいたが、言い知れぬ悲しみもあったに違いない。明るく自身を鼓舞するように友と力強く広布に歩み続けた。そんな中、身も心も上向いた、その視線の先に見えた"杏の花"。それは例年の春の情景とは違って見えたろう。手紙の結びは、人生の一つの冬を勝ち越えた、彼女の今の心情を物語っていた▼先日、彼女から改めて電話があった。「人生は、一生に一度しかない『今』を生きること。全てが一期一会の出来事です。この瞬間瞬間を大事に生きていきます」

寸鉄 2022年3月29日
広布は一対一の膝詰めの対話から—戸田先生。縁した一人を断じて味方に
東京・目黒の日。激戦を勝ち越え、光る師弟城。仏法は勝負!新たな峰へ
「南無妙法蓮華経は福智の二法なり」御書。福徳と智慧の泉は強盛な祈りに(新1104・全792)
防災バッグ・停電対策の備えなしが6割—調査。教訓は実践に移してこそ
子の交通事故、飛び出しが3割と。"止まる・見る・待つ"等を家庭で確認

☆創価大学・女子短期大学卒業式への池田先生のメッセージ
一、わが誉れの創価大学48期生、短大36期生、ならびに通信教育部の皆さん、さらに大学院生、そして世界各国・各地域の尊き留学生の皆さん、コロナ禍等の艱難の冬を越え、誇り高き青春凱歌の卒業、誠におめでとう!
本日、授与される栄光の学位記を、どうか、共に試練を勝ち越えてきた、ご家族と分かち合ってください。皆さんとご家族が、いよいよ未来へ「学の光」に包まれ、何ものにも負けず勝ち栄えていく証しだからであります。
幾重にも心を砕き、一人一人の大学生活を支え励まし続けてくださった教員の先生方、職員をはじめ関係者の方々、本当にありがとうございます!

一、私が、20世紀最高峰の歴史学者トインビー博士と対談を開始したのは、1972年、創価大学開学の翌年であります。以来50年、世界の知性との対話に全て創大創立者として臨んできました。文明と文明を結ぶ橋を架け、人類の未来を照らす普遍の英知を、不二の君たちに託すためであります。
トインビー博士のご紹介で語らいを重ねたローマクラブ創設者のペッチェイ博士と論じ合ったビジョンを、今日は改めて申し上げたい。
すなわち、今こそ、地球環境の緊迫した状況を十分に踏まえた「新たな生命の哲学」を構築し、平和と非暴力を根底とした「知恵の柱」を確立することだ、と。
そして博士と私は、どんなに困難な時代にあっても、決して打ちひしがれない希望がある。それは、一人一人の人間が、いまだ開発されていない学習能力や人間性、創造性、団結力など最も奥深い資質を、「人間革命」によって発揮することだ。そこにこそ、人類の幸福を勝ち開く逆転劇があると一致しました。
この理想へ断固と不屈の挑戦を貫いていくのが、我らの大連帯なのであります。

◇勇気・誠実・忍耐で自身の足元から世界市民のネットワークを
一、皆さん自身が、これから躍り出る使命の職場で、地域で、社会で、若き創価の「知恵の柱」として、胸を張って生き生きと逞しく価値創造の光を放ってください。
そして、皆さんに最大の信頼を寄せる善意の民衆と心を一つに、「人間革命」のパイオニアとして、自らの足元から平和・文化・教育の世界市民のネットワークを、勇気に燃え、誠実に忍耐強く、創り広げていただきたいのであります。
アフリカの環境の母マータイ博士は、あの大らかな笑顔で語られました。"何かを変えたいならば、自分自身から変えましょう! 未来は、今この時から生まれます"と。
最後に、創立50周年を堂々と飾ってくれた皆さん方に満腔の感謝を込め——

艱難に
 勝る教育
  なきゆえに
 賢者の君たち
  凱歌の大道征け

と贈ります。
私の無上の宝である皆さんの健康と幸福、友情と和楽、そして何があっても負けじ魂光る希望と勝利の人生を、私は妻と祈り抜いてまいります。お元気で!

☆共生の地球社会へ〜仏法の英知に学ぶ テーマ:女性の権利の向上
登場人物
【娘・ミライさん】好奇心旺盛な女性部員。世の中の出来事について、父・ホープ博士と語り合うことを楽しみにしている。
【父・ホープ博士】勉強熱心な壮年部員。毎月1回、家族と一緒に教学を研さんしている。「博士」はニックネーム。本業は会社員。

◇差異を超えて認め合う時代を
ミライ 米ニューヨークの国連本部で「国連女性の地位委員会」が開催されているね(今月25日まで)。

ホープ 各国政府代表者が、性差別の課題と、解消に向けた行動を協議・決議する場なんだ。SGI(創価学会インタナショナル)の代表も参加しているよ。議論の中では、気候変動や防災といった分野で、女性が果たす役割も確認されているね。

ミライ 女性と少女の人権保障をうたった、1995年(平成7年)の「北京宣言」から27年たった今も、男女平等の実現には課題があるよね。
男女平等がどれだけ実現できているかを数値化した「ジェンダー・ギャップ指数」によると、日本は156カ国中で120位だったね(2021年、世界経済フォーラム)。
SDGs(持続可能な開発目標)が普及する中で、「ジェンダー平等」について意識する人も増えてきたんじゃないかな。

ホープ ジェンダーとは、「社会的・文化的につくられた性差」の意味だね。
長い歴史の中で、女性は虐げられ、尊厳を冒されてきた。そういう事実は、いまだに世界中にあるんだ。
例えば、近年においても、年間1200万人もの18歳未満の女性が、結婚を強いられているといわれているんだ(2018年、国連児童基金〈ユニセフ〉)。
新型コロナウイルスの影響で、学校が休校し、女性への家庭内暴力が増加したり、女性の家庭内労働が大幅に増えたりするなど、ジェンダーの不平等がさらに拡大しているとの指摘もあるよ。

◇成仏観の大転換
ミライ 悲しい歴史を転換し、女性の権利が向上する時代をつくりたいと、心から思うよ。
ところで、仏法では女性の成仏をどう説いているの?

ホープ 法華経以外の経典では、女性は成仏できないとされていたんだ。法華経以前に説かれた爾前経には、「改転の成仏」といって、女性が男性に生まれ変わらないと成仏できないと説かれていたんだよ。

ミライ そんな差別があったなんて……。

ホープ 法華経提婆達多品では、「竜女」が周囲に即身成仏の姿を見せたんだ。
同品では、竜女が「変成男子(変じて男子と成って)」(法華経409ページ)と、いったん、男性の姿に変わったと記されているけど、池田先生は、この意義について教えてくださっているよ。
「変成男子は、舎利弗をはじめ、成仏は男性に限られると思い込んでいた人々に対して、竜女が成仏したことを、分かりやすく示すための方便にすぎないでしょう。男性にならなければ成仏できないという意味ではないのです」(『法華経の智慧』)
法華経が説く女人成仏は、即身成仏、女性の身そのままで成仏できるということなんだ。

ミライ 当時からしたら、成仏観の大転換だっただろうね。

ホープ 旧来の価値観を打ち破り、女人成仏を明かしたのが法華経。その真意は一切衆生の成仏であり、一番苦しんでいる人を幸福にすることにあるんだ。
日蓮大聖人は「一代聖教の中には法華経第一、法華経の中には女人成仏第一なり」(新1738・全1311)と仰せだよ。
大聖人は、男女の成仏の可能性について差別を設けていないことが分かるね。
さらに、大聖人は法華経に基づいて、従来の仏教の女性観でもある「三従(親・夫・子に従う)」を明確に否定されているんだ(新1264・全934)。大聖人御在世の時代背景からすれば、画期的なことだったといえるね。

◇皆が対等な人
ミライ 大聖人が掲げられた、万人の生命の尊厳を社会に展開しようと、創価学会はこれまで、女性をテーマとする講演会や展示などを開催してきたね。
創価学会女性平和委員会は今、子どもの権利に関する意識啓発の一環として、中高生世代の子どもを対象にしたオンラインアンケートを推進しているよ(本年8月まで。こちらからアンケートにアクセスできます)。

ホープ 昨年11月に制定された「創価学会社会憲章」には、「あらゆる形態の差別に対し反対する」「ジェンダー平等の実現と女性のエンパワーメントの推進に貢献する」と掲げられているね。

ミライ 性別や生まれなど、一切の差異を超えて、誰もが尊い存在であるという精神を広めていきたいと強く思うよ!

ホープ そうだね。一人一人の違いや特質を互いに認めつつも、それらが役割として固定化されないよう、また、差別につながらないよう、柔軟な視点が大切になってくるよね。
皆が対等な人として認め合えるよう、社会の課題を一つ一つ解決していこう。

◇御文
『一代聖教の中には法華経第一、法華経の中には女人成仏第一なり』(千日尼御前御返事、新1738・全1311)

◇メモ
女性門下・千日尼は、"女性は成仏できない"との当時の常識に悩みを抱きつつも、女人成仏を説く日蓮大聖人の励ましを心の支えにしていました。
大聖人は、この御文を通して、妙法を持つ女性が必ず幸福になることを訴えられています。
大聖人の励ましを胸に、多くの女性門下が信心を貫き、苦難を乗り越えていったのです。

◇[コラム:"いま"を知る]無意識の偏見
「男なんだから」「女性らしく」——こうした言葉は、時に相手を型にはめて、抑圧してしまう。性別や出自など、属性だけで人を正しく把握できるわけはない。
けれども誰もが、生まれ育った環境や時代の制約を受け、"あるべき像"を心に抱いている。特に、自身が知らない対象には、先入観が肥大してしまいがちだ。問題なのは、自分では気付かないまま、偏った見方や思い込みに陥る「無意識の偏見」(アンコンシャス・バイアス)にとらわれ、誰かを傷つけていないかという点だ。
仏法では、ありのままの真実を見ることを「如実知見」と説く。どんな人にも具わる、尊極な生命への温かいまなざしといえる。その平等な生命観を育む実践こそ、胸襟を開いた対話だ。
目の前の一人の「心音」に耳を傾け、相手をより深く知っていく。その積み重ねを通して、偏見が払われ、相手の心に届く言葉が紡ぎ出されるのだ。