「励ましの絆」こそ
困難に打ち勝ち
未来を創る礎だ。
自他共の幸福を祈り抜き
心と心を強く結ぼう!
立正安国論 P33
『唯我が信ずるのみに非ず又他の誤りをも誡めんのみ』
【通解】
ただ私だけが信じるのではなく、それに加えて、他の人々の誤りをも制止していこう。
名字の言 「牛になる事はどうしても必要です」——夏目漱石の言葉 2021年1月5日
今年の干支の丑は、動物では牛を当てる。牛で思い出すのは、夏目漱石が芥川龍之介と久米正雄に宛てた手紙。「牛になる事はどうしても必要です。吾々はとかく馬になりたがるが、牛には中々なり切れないです」「牛は超然として押して行くのです。何を押すかと聞くなら申します。人間を押すのです。文士を押すのではありません」(『漱石全集』岩波書店)▼期待する若い2人へ、焦ることなく、地位や肩書によらず、"人間"を相手にし、自身も人間として勝負していく生き方を助言したとも読み取れる▼かつて、折伏の場で深い悩みを吐露した知人がいた。周囲の励ましにも表情は曇ったまま。その時、ある多宝会の先輩が静かな口調ながら確信を込めて言った。「題目で必ず乗り越えられます」。顔を上げた知人は後日、入会した。透徹した真心が、再起を望む人間の背中を押したのだろう▼先日、その多宝会の先輩が今年の目標を語った。「題目を唱え抜き、題目を流布し、題目をあげる友と一緒に広布に生きることが、私の"希望・勝利"の証しです」▼法華経の行者が乗る大白牛車について、御書には「車とは法華経なり牛とは南無妙法蓮華経なり」(724ページ)とある。唱題根本に確かな一歩一歩を刻む一年でありたい。(白)
寸鉄 2021年1月5日
会長は良心で世界を善へ導く模範の存在—博士。信頼深める振舞を我らも
各国の指導者から新年状が続々。人類を結ぶ学会に期待の声。決意新たに
常に新しい何かを生み出すのが信仰—戸田先生。幹部率先で新しい挑戦を
年末年始も顧みず命守るドクター部、白樺の友に最敬礼。皆で健康を祈念
休暇明けは生活リズムが乱れやすい。睡眠・食事を賢く。満々たる生命力で
☆箱根駅伝 総合2位の創価大学 選手、スタッフの声
笑顔と感動をありがとう! 第97回箱根駅伝(2、3日)に出場し、往路優勝・総合2位の新たな歴史をつくった創価大学。ここでは選手、スタッフの声を紹介する。(榎木和貴監督の声は4日付に掲載)
1区 福田悠一選手(4年、出身=鳥取)
序盤から超スローペースのレースで、先に集団から飛び出すと、"後で痛い目に遭う"と思い、じっと我慢の走りを続けました。終盤、ペースが上がるタイミングで勝負を懸けました。
自分にとって、今回が"最後の箱根"です。1秒でも早くタスキを渡したいと、全力で走り抜きました。「区間5位、トップと20秒差以内」を目指していたので、「区間3位、トップと15秒差」という結果に満足しています。
2区 フィリップ・ムルワ選手(2年、ケニア)
タスキを受け取った瞬間、"次は自分の番だ"と力が入りました。7キロ手前で同じケニア出身のヴィンセント選手(東京国際大)が一気に抜いていきました。
強い選手と走れる喜びを感じながら、必死に食らいつきました。最後で離されましたが、とても勉強になりました。走る前、SNSで多くの方から応援のメッセージをもらい、励まされました。今後、もっと実力を磨いていきます。
3区 葛西潤選手(2年、愛知)
5キロ地点まで、とても速いペースで走っていたので、正直、7キロあたりが一番きつく感じました。そこで焦らず一度、ペースを落とし、リズムを整えました。
10キロ地点から普段通りの走りに戻り、最後まで駆け抜けることができました。運営管理車の監督から"1年間の全てを出し切れ"と言われ、力が湧きました。1秒でも前との差を縮めて、タスキをつなぎたいと頑張りました。
4区 嶋津雄大選手(3年、東京)
2区のフィリップ、3区の葛西が共に2位でタスキをつないでくれたので、"よくやってくれたな。ここからは任せておけ!"と走りだしました。
山上りの5区に挑む三上のためにできるだけ余裕をつくっておきたいとの思いでトップを追い掛け、序盤で追い抜くことができました。最終盤で左脚がつり、とても不安でしたが、なんとかタスキを1位でつなげられ、安心しました。
5区 三上雄太選手(3年、広島)
山上りは得意でしたが、実際走ってみると、あまりに厳しいコースで、正直ギリギリの状態でした。
1位でタスキを受け取るとは予想していなかったのですが、"仲間の力走に応えたい"との思いが支えになり、区間2位の成績につながったと思います。自身にとって初めての箱根で、大学史上初の往路優勝のゴールテープを切ることができ、とても良い思い出になりました。
6区 濱野将基選手(2年、神奈川)
高校・大学を通して、初めて大きな舞台で走ることができ、本当にうれしかった。6区の山下りに向けて1年間、準備してきましたが、走ってみると思った以上に脚への負担が大きく、残りの3キロは苦しかったです。それでも目標タイムを40秒も上回り、自身の役目を果たせました。
両親に連絡すると、「良かったね。ほっとしたよ」と言ってもらえました。一つ、親孝行ができました。
7区 原富慶季選手(4年、福岡)
去年の箱根では満足のいく走りができなかったので、今回は区間賞と2秒差となる区間2位の結果を出せて、うれしい。15キロの給水地点で、同学年の鈴木大海選手がボトルを渡してくれました。これまで一緒に苦楽を共にしてきた仲間と並走できたことで、とても元気になりました。
ラストスパートは苦しいはずなのに、自然と笑顔で走っていました。トップで走れて、楽しかったです。
8区 永井大育選手(3年、鹿児島)
1位でタスキを受けた時は、緊張よりも楽しいという感情の方が大きかったです。駒澤大学が追ってきているのは分かりましたが、焦ることなく、粘り強い走りを心掛けました。
同学年の嶋津と同じく、「網膜色素変性症」という難病を抱えています。これまで二人で切磋琢磨してきたので、"昨日(2日)の嶋津の走りに負けたくない"との思いがモチベーションになって、頑張り抜くことができました。
9区 石津佳晃選手(4年、静岡)
昨年同様、9区に挑みました。前回は、コースの特徴をうまく把握できていなかったのですが、今回は"耐えるポイント"を押さえて走りました。前半はハイペース、後半は我慢の走りと決めていました。
終盤、区間記録が見えてきた時、監督から「ここで伝説を作るぞ」と鼓舞され、必死に走りました。陸上人生最後のレースで区間賞を勝ち取り、チームに貢献できて、うれしかったです。
10区 小野寺勇樹選手(3年、埼玉)
最初の入りは落ち着いて臨めたのですが、5キロ過ぎから十分な汗をかくことができず、体に違和感を持ちました。8キロ以降、体が重たくなり、全身に力が入らず、その後の記憶があまりありません。気付けば駒澤大学に抜かれていました。
ゴール後、鈴木主将が抱きかかえて、励ましてくれました。その時の言葉は絶対に忘れません。実力と自信をつけて、来年必ずリベンジしたいと思います。
鈴木渓太主将(4年、山形)
目標の総合3位を上回ることができ、本当にうれしいです。競技者として、箱根を走れなかったことに対する悔しさはあります。それでも、チームがどれだけ結果を出せるのか——キャプテンの役割はそこにあると決めて、できることに挑戦してきました。
仲間には「準優勝のキャプテンにしてくれて、ありがとう」と伝えました。ここまで着実に成長してきたチームを、後輩たちが一回りも二回りも強くしてくれることを信じています。
豊福妙香主務(4年、福岡)
大会中はチームがトップを走っているという実感が湧かず、大手町でのゴールシーンを見て初めて、往路優勝・総合2位になった喜びが込み上げてきました。
4年間で陰の仕事の大変さを学び、人を支える喜びを知りました。特にこの一年はマネジャーを統括する主務として、選手のサポートに加え、大会関係者との連携やマスメディアの取材対応など、多くの方々と接する機会があり、人間的に大きく成長できました。
瀬上雄然総監督
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、沿道での応援自粛が促される中、テレビの前で真心の声援を送ってくださり、心から感謝申し上げます。選手たちは自身のやるべきことを頭に入れ、それぞれの役目をしっかりと果たしてくれました。彼らの努力と皆さまの思いが重なって勝ち得た準優勝だったと思います。
支えてくださった全ての方々のために、総合優勝を目指せるチーム作りに地道に挑戦していきます。
☆新年の御書 上野殿御返事(正月三日御書)
『花は開いて果となり・月は出でて必ずみち・燈は油をさせば光を増し・草木は雨ふればさかう・人は善根をなせば必ずさかう』(御書1562ページ、編年体御書1252ページ)
【通解】花は咲いて果となり、月は出て必ず満ち、燈は油をさせば光を増し、草木は雨が降れば茂る。人は善根を積めば必ず栄える。
◇拝読の手引き
本抄は、弘安3年(1280年)の1月、日蓮大聖人が、師弟共戦の不屈の信念を胸に一年の出発を切った若き南条時光に送られた御書です。
ここでいう「善根」とは、「善い果をもたらす因」ということで、福運と言えるでしょう。大聖人は、広宣流布に生きるという最高の大善根を積みゆく門下が、必ず無量の大福徳に包まれることを、花が実を結ぶなどの自然の道理に例えて教えられています。
日々、法のため、人のため、広宣流布のために精いっぱい力を尽くす。その真心の信心が功徳善根となって、生命に幾重にも積み重なり、わが人生を勝利の花で飾っていくのです。
学会創立100周年への出発となる、重要なこの一年。
師と共に、同志と共に、広布に励む日々こそ、最高の幸福の軌道であることを深く確信し、希望と勝利の息吹あふれる「人間革命」の歓喜のドラマを繰り広げていきましょう。
☆新春随想 日蓮大聖人御聖誕800年に誓う 教学部長 森中理晃
◇地涌の青年こそ人類の希望
末法万年を救う日蓮大聖人の"太陽の仏法"は、今、地球全体を照らし、世界各地に陽光を降り注いでいる。貞応元年(1222年)2月16日、大聖人が安房国(今の千葉県南部)で御聖誕されてから、本年は数えで800年。新たな年の開幕に当たり、御本仏に連なる創価学会の使命を深めていきたい。
◇世界に広がる人間尊厳の哲理
日蓮大聖人の御聖誕700年の時には、産声を上げていなかった創価学会が、この約1世紀で、御遺命の一閻浮提広宣流布を現実のものとした軌跡は、後世の宗教史に燦然と輝くことは間違いない。
ハーバード大学の宗教学者、ハービー・コックス名誉教授が「創価学会は、すでに世界宗教である」と強く語っていたことが印象に残っている。
世界宗教とは、さまざまに定義されるが、一般に文化や言語の差異を超えて、普遍性をもって多地域や多民族に広がっていることが条件とされている。
学会が世界192カ国・地域に広がり、各人が信仰を深めるとともに、開かれた心で対話を積み重ね、社会貢献に積極的に取り組んでいることにも多くの識者から高い評価と信頼が寄せられている。
それが実質的に半世紀余りの出来事であることに、皆、驚きを隠せないのだ。そして池田先生の偉大なリーダーシップによって、各地・各分野に大勢の共鳴者を生み、自発能動的な信仰者を誕生させていること——さらに言えば、「菩薩の集団」を現実につくり上げてきた事実に、誰もが賛嘆を惜しまないのである。
壮大な世界広布の展望を抱かれた先生が、その第一歩をしるされた1960年(昭和35年)は、大聖人が「立正安国論」によって国主諫暁をされてから満700年に当たる節目であった。
草創から、師匠と共に戦ってきた諸先輩の大激闘のおかげで、各地に妙法の功徳の大輪が咲き、世界広布を推進する堂々たる陣列が厳然と築かれた。法華経に説かれる「地涌」の自覚のままに生きる民衆が、世界五大州に誕生したことの仏法的な意義は、計り知れない。
◇「同時涌出」を証明
法華経には、無数の地涌の菩薩が「三千大千の国土」から「同時に涌出」し、虚空に遍満すると説かれている。経典に約束されている「同時涌出」を、今、まさしく創価学会が地球を覆う形で証明したとは言えまいか。
「諸法実相抄」には、「二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり、未来も又しかるべし、是あに地涌の義に非ずや」(御書1360ページ)と仰せだ。地涌の菩薩は、他者の地涌の生命を呼び覚ます。
「地涌の義」のままに一閻浮提広宣流布が大きく進む舞台に、私たちは居合わせることができた。この時に巡り合える以上の福徳はない。
もちろん世界といっても、一律ではない。四悉檀(仏の4種類の説法教化の方法)や、随方毘尼(仏法の本義にたがわない限り、地域の習俗や時代の風俗に従うべきであるという考え)の智慧を生かしつつも、ますます「同心」の哲学として重要性を増していく共通の普遍的な理念が、「人間革命の行動」と「人間主義の思想」であることは論をまたない。
◇仏法に基づく生き方
今年は、創価学会が、人間を隷属させる悪しき宗門の鉄鎖を断ち切り、「魂の独立」を果たしてから30年でもある。以来、「新しき人間主義の哲理」は厳然と世界各地で確立され、興隆している。
学会が世界宗教として大きく飛翔する今、各国・各地の教学研さんの意欲が一層高まっている。メンバーが喜々として学び、深く求めている哲学こそ、まさに「人間主義の教学」なのである。
人間・ブッダから始まる「人間の宗教」の系譜を追うなかで、万人の尊厳性を見つめる不軽菩薩の「人を敬う」振る舞いに、ひときわ衆目が集まっているように思う。
一人の凡夫が、その身のままで、人間の尊極性と豊かな可能性を開いていく仏法の人間観を、友人や知人に語るたびに、強い手応えを感じているメンバーも多い。
事実、昨今、各国が困難な危機に直面しているなかでも、弘教が進んでいる。多くの人が人間主義の仏法に希望を見いだし、自身の人間革命の挑戦を開始しているのだ。
"困難を乗り越える力(レジリエンス)を高め、人間の内なる可能性を開く宗教"として着目されているということであろう。
私自身、感動を禁じ得ないのは、世界五大州のメンバーと教学を学び合う際、年を追うごとに、人間主義の仏法の理解が一段と深い次元で進んでいるという事実である。
それは、納得や、活発な質疑応答の様子から知ることができる。
具体例を挙げると、御本尊への唱題が自行化他にわたる誓いの題目であること。日蓮仏法の宿業の捉え方が、宿命転換の希望の法門であること。自分が変われば周囲が変わるという一念三千の哲学を持つ人生の意味を知ること。
さらには、信心の実践の真髄が、"立正安国に始まり立正安国に終わる"こと。われらは地涌の誓願に立脚して、今世の願兼於業の使命を果たし抜くこと。永遠の師弟共戦の人生に生き抜くこと等々と——。
こうした人間主義の教学が一人一人に定着している。例えば、「宿命を使命に変えて」との考え方が深く根差している。多くの体験発表の中で力強く披歴されているそのさまは、まさに地涌の自覚なくしてありえない出来事であろう。
「実践の教学」も世界共通語だが、一人一人が、人間主義の仏法に基づく確たる生き方を、確信をもって堂々と貫いていく基盤が整ったと思えてならないのである。
◇注視される宗教の役割
仏法への理解と行動が一段と深まりゆくなかで、昨年、アメリカをはじめ、各国で研さんを深め合った池田先生の長編詩がある。
自らのルーツを索めて
社会は千々に分裂し
隣人と隣人が
袂を分かちゆかんとするならば
さらに深く 我が生命の奥深く
自身のルーツを徹して索めよ
人間の"根源のルーツ"を索めよ
そのとき 君は見いだすにちがいない
我らが己心の奥底に
厳として広がりゆくは
「地涌」の大地——と!
その大地こそ
人間の根源的実在の故郷
国境もなく 人種・性別もない
ただ「人間」としてのみの
真実の証の世界だ
"根源のルーツ"をたどれば
すべては同胞!
それに気づくを「地涌」という!
(長編詩「新生の天地に地涌の太陽」、『池田大作全集』第43巻所収)
人種や民族にルーツを求めるのではなく、人類共通の"生命の故郷"を求めよ、それが地涌の生命なのだというメッセージを、世界の友は、この時代だからこそ、より強く受け止め、行動の指針としている。
人類は皆、地涌の生命をもっている。言い換えれば、誰もが、自他共の尊厳性に目覚めゆく可能性がある。だからこそ、地涌の生命の触発を起こす対話が必要なのだ、と。
この新たな挑戦に呼応するかのように、各国の青年部が、昨年9月、「世界青年部総会」で立ち上がり、"「新・人間革命」世代"としての連帯を広げた。
フランス語版「御書」の総合監修を務めた神学者、デニス・ジラ博士は、青年部総会をリアルタイムで視聴し、期待の声を寄せている。
博士は、"世界に開かれた宗教には、精神性や伝統を受け継ぐ、若き後継者の存在が欠かせない"と指摘した上で、「この青年たちこそ、人類の未来であるとの希望を抱きました」と述べたのである。
後継者が続くことも、世界宗教の要件である。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が続く中で、飢餓や貧富の差が広がり、分断の危機が高まっている。また、気候変動問題も深刻化している。世界の諸宗教も「連帯」の重要性を呼び掛け始めているのは、危機の時代にあって宗教の役割が注視されているからだ。
だからこそ、地涌の青年の「同時涌出」、つまり世界的な創価の連帯に、私たちの希望の回答があるのではないかと思えてならないのだ。
この人間主義の潮流を一層深く広げるためにも、私たちは、一対一の対話から力強く一歩を踏みだしていきたい。