2020年2月26日水曜日

2020.02.26 わが友に贈る

「題目」がある。
 「御書」がある。
 「団結」がある。
 "時"に適った価値創造を
 妙法の無限の智慧で!

御義口伝巻上 P715
『根深ければ則ち条茂く源遠ければ則ち流長きが如し』

【通解】
根が深ければ大木となり枝や葉は茂り、源が遠ければ流れが長いようなものである。

名字の言 コミュニケーションについて考えさせられた2つの出来事 2020年2月24日
先日、ある一家のお宅を訪問した。家族で耳に障がいがないのは母一人。父と2人の子は難聴で、補聴器をつけて生活している▼玄関に入ると、子どもたちが手話で「こんにちは」「ようこそ」と歓迎してくれた。手話が分からない記者にも、思いは十分伝わってくる。仏間に上がり、一緒に唱題した。皆の呼吸はぴったり。思いやりにあふれた一家との懇談は、笑顔と温かい雰囲気に包まれた幸せなひとときだった▼その帰途、飲食店に入った。すると別のテーブルにいた中年の男性がスマートフォンを取り出し、部下らしき相手と何やら通話し始めた。店内に響きわたる声は、耳障りなことこの上ない。急ぎの用でもなさそうだ。横柄な口調で話し終えると、そそくさと代金を払い、店を出て行った▼コミュニケーション能力とは何か——。優れた機器を持っていても、相手や周囲を気遣えない人がいる。一方で、音声による「聞く」「話す」ことが困難でも、笑顔で思いを伝え合い、皆を温かく包む人がいる。改めて「心こそ大切なれ」(御書1192ページ)と強く思った▼時代とともに技術は進歩し続ける。だからこそ、より誠実に、より真剣に、真心の対話を。心を通わせ、心を結ぶ語らいを。そう決意した一日の出来事だった。(実)

寸鉄 2020年2月24日
励ましで人々を立ち上がらせる学会の行動は理想—博士。真心の声、今こそ
「真の友情とは、誠実さに満ちている」格言。仏法は振舞。電話一つも大切に
幹部は「これならできる」と皆が膝を打つ指揮を!一人一人の成長に心砕き
特殊詐欺、金融機関装い銀行カード盗む手口増加と。絶対渡すな信じるな
4月に実施の新学習指導要領、防災教育が充実。親子で意識高める契機と

☆人生の価値はここに 創価大学同窓の友を訪ねて 第6回 福島
◇郷里の未来を開くため
古来、福島には人材育成の気風が脈打っている。江戸時代の会津の藩校「日新館」は、全国300藩の中でトップクラスの教育力を誇っていたという。会津と長州といえば、幕末の敵同士だが、実は長州の吉田松陰も若き日の東北遊学の折に日新館を視察している。
「地を離れて人無く人を離れて事無し」。松陰のこの言葉を、創価教育の父・牧口常三郎先生は自著『人生地理学』で引用し、人を育む上で郷土が果たす役割を論じた。「慈愛、好意、友誼、親切、真摯、質朴等の高尚なる心情の涵養は郷里を外にして容易に得べからざることや」と。
会津若松市に生まれ育った青木法之さん(41期、法学部卒)が創価大学に入学したのは、2011年春。東日本大震災の混乱の中だった。上京の直前まで、福島第1原発事故による避難者が身を寄せる避難所に通い、ボランティア活動に当たっていたという。
「こんな時だからこそ、創大創立者・池田先生のもとで、学んできてほしい」——青木さんの背中を押してくれたのは、家族をはじめ、創大卒業生のいとこ、幼い頃からお世話になってきた地域の壮年・婦人たちだった。
同年5月に行われた新入生の集いに、創立者はメッセージを寄せている。
「東日本大震災の被災地からも、最優秀の英才が入学してくれました。『英知を磨くは何のため』——皆さんが今、歯を食いしばって学び抜き、知性の実力を磨き上げていくなかに、未来を照らしゆく希望の旭日が赫々と昇ることを、私は確信してやみません」
在学中、創立者からの励ましは数知れず。学友たちの温かさにも、どれほど支えられたことだろう。「福島の再生に貢献できる人材に」と決め、郷里に戻ったのは15年の春。3次救急医療(重症患者対応)を担う災害拠点病院の事務職員となり、現在に至る。
不安や悲しみの中にある患者家族と、どう接するべきか。もともと内向的な青木さんにとって、仕事は悩みの連続でもある。それでも、自分の表情で、声で、言葉で、少しでも安心と勇気を送れたら——そう思えるようになったのは「創大でたくさんの真心に触れたから」。福島に"福光の春を"との誓いを、日に日に新たにしている。

◇自分の古里
「東京に行ったら、自分の出身地の名前を言う?」
いわき市の山野辺直美さん(42期、経済学部卒)は創大進学を控えた2012年春、地元の高校の同級生からそんな質問を受けた。
原発事故の影響で県外に避難した子どもたちがどんなことを言われているか、知らないわけではない。それでも「私は、世界に向けて自分の古里を自慢できる人になりたい」。山野辺さんは創大在学中、英語で経済学を学ぶIP(インターナショナルプログラム)を履修し、海外の各地を訪れて友情と見識を深めた。
フィリピン、シンガポール、マレーシア、インドネシア、台湾、韓国、タイ、ブルネイ……その中で、食生活がもたらす健康問題に関心を抱いたことが、大学卒業後、郷里の大手スーパーマーケットに就職を決める理由の一つとなった。
早々に、店舗のサブチーフに就任。創大時代に磨いた経済感覚と、コミュニケーション能力が生きていることを実感する日々だ。
店舗が住民同士の交流の場になっていることにも気付く。一日に何度も来店する高齢者も少なくない。いつも笑顔で声を掛けてくれる婦人もいる。福島の食の豊かさと人の温かさに触れられる"最前線"に身を置くことでしか、分からないものがある。「それを伝えていきたい」と、山野辺さんは言う。
福島常磐総県女子未来部長として、子どもたちの励ましにも駆ける。
「創大に行けば、大変な時にこそ支え合える一生涯の友情と、『何のために学ぶのか』という問いへの答えが見つかるよ」と語りながら。

◇子どもの幸福
毎朝、午前7時過ぎになると、その人はいわき市内の通学路に立ち、子どもたちの安全を確かめながら笑顔で見送る。津田直人さん(17期、教育学部卒)。市立中学校の校長である。
「生徒たちが元気に学校に通える日常が、どれほどありがたいことか。その感謝をかみ締める毎日です」
昨秋の台風19号によって学校施設が被災。今なお、その爪痕は残っている。
被害に遭った生徒の胸の内は今、どんな状態か。生活は? 家族は? 一人一人に向けて心を砕く中に、「子どもの幸福こそ第一」と掲げる創価教育の実践もあると決めている。それは創大在学中に、創立者の姿から学んだことでもある。
郷里のいわきを離れ、東京で暮らした4年間。アルバイトで生活費を稼ぎながら学びに学んだ。そんな状況にあることを知っているかのような創立者からの励ましに何度、頬をぬらしたか知れない。「自分も創立者のような教育者に」——そう誓って福島の教員採用試験に挑み、合格した。
教壇に立ってからは悪戦苦闘の連続。生徒と心を通わせることの難しさを思い知らされた。支えとなったのは、「子どもたちにとって最大の教育環境は、教師自身」との創立者の指針である。「まず、自分が変わろう!」との決意で努力と工夫を重ねていった時、固い信頼で結ばれたクラスを築くことができた。
2015年から3年間、福島県教育センターの指導主事を務めた後、現職に。「まだまだ新米校長です」と謙虚に語るが、子どもたちの安全と健康、そして幸福を願い、行動する情熱は、誰にも負けない。
教育によって郷里の未来を開く——福島の天地に脈打つ不変の信念である。