2015年4月30日木曜日

2015.04.30 わが友に贈る

苦闘は成長の力に!
宿命は使命に!
全てを価値へと
転換するのが仏法だ。
朗らかに前進を!

曾谷殿御返事 P1056
『法華経の敵を見ながら置いてせめずんば師檀ともに無間地獄は疑いなかるべし』

◇人生の座標
子どもたちの不登校や問題行動、"学びからの逃走"傾向といった病理の背景には、学校に限らず地域や家庭など、社会総体が本来有しているはずの教育力の衰弱という根因が巣くつている。

☆100文字の幸福抄
いかに多忙であっても、
寸暇を見つけて
一日数ページの読書でもいい、
向上心を忘れぬ母親になっていただきたい。
そしてやがて学校へと進む
わが子と共々に、学び、成長していけるような
みずみずしい母になっていただきたい。

☆インド・マドゥライ社会科学院「名誉社会科学教授」称号授与式 SGI会長の謝辞
本日は、晴れやかなカレッジ・デーに当たり、名門の誉れも高き貴・マドゥライ社会科学院より巣立ちゆかれる卒業生の方々、そして素晴らしい英才を育んでこられた、ご家族の皆様方に心からお祝い申し上げます。
この意義深き日に、私は、貴学院より、光栄にも「名誉社会科学教授」の称号を賜りました。
この最高に栄えある英知の宝冠を、何よりも、貴国の良き国民、良き市民として、平和・文化・教育に貢献しゆくインド創価学会の善友と、また、世界192カ国・地域のSGIの同志と、分かち合わせていただきたいのであります。
誠に誠に、ありがとうございました。

尊敬申し上げるラジャ議長は、1969年(昭和44年)の10月2日、国父マハトマ・ガンジーの生誕100周年の日に、貴・マドゥライ社会科学院を創立なされました。
貴国インドの国防を担い立つ逸材として、洋々たる前途を約束されていたラジャ議長が、あえて「社会福祉」を専門とする高等教育機関の設立を勇断されたのです。そして、人類、特に弱者に奉仕し、世界の平和と繁栄を実現しゆく人材育成の大道を、労苦を厭わず切り開いてこられました。
その建設の死闘を、私は同じく大学を創立した人間として、言い知れぬ感動をもって伺いました。
マハトマの偉大なる精神を、現代に蘇らせてこられた、貴学院の崇高なる建学の精神と歴史には、混迷の現代世界を照らす人間教育の新生の光が輝いております。
ここでは3点に約して、学ばせていただきたいと思います。
その第一の光は、「民衆奉仕の精神」であります。
貴学院の校章には「社会貢献の人生を!」とのモットーが刻まれております。
そこに、古代インドの大指導者アショーカ大王にも連なる、偉大な民衆奉仕の精神を見る思いがするのは、私一人ではないでありましょう。
戦争と暴力の時代から、平和と人道の時代への大転換を推し進めたアショーカ大王については、貴国の仏教学者ロケッシュ・チャンドラ博士とも語り合いました。
とりわけ、博士が着目されていた大王の法勅(ほうちょく)の言葉には、「バフジャナ・ヒターヤ」(多くの人々の利益のために)、そして「バフジャナ・スッカーヤ」(多くの人々の安楽のために)とあります(『東洋の哲学を語る』第三文明社)。
リーダーは「何のため」に学び、「誰のため」に尽くすのか。
政治も、経済も、そして科学も、永遠の原点とし、規範とすべき、この「民衆奉仕の精神」が、貴学院には脈々と流れ通っているのであります。

貴学院が児童相談クリニックや家族カウンセリング・センター、また高齢者のための介護施設など、多様な福祉施設の充実と整備に尽力し、地域社会の発展に大きな貢献を果たしてこられたことも、高く評価されております。
また、貧困対策や地域研究をテーマとしたセンター、さらに、自然災害マネジメント・センターなど、民衆を守るための研究と努力を営々として続けておられます。
「人間の勝利は、生存競争を相互の奉仕のための努力に置き換えることにある。獣の法則を人間の法則と取り替えなければならない」(『私にとっての宗教』竹内啓二ほか訳)——これは、マハトマ・ガンジーの確固たる信念でありました。
マハトマが志向してやまなかった、この人類の新たな勝利の跳躍を、私たちは断じて成し遂げていきたい。そのために、民衆奉仕の若きリーダーを、一人また一人と励まし育て、粘り強く社会へ送り出し続けていきたいと思うのであります。
一、貴学院から学ぶ新生の光の第二は、「生命練磨の挑戦」であります。
貴学院も研究に取り組んでこられたインドの大思想家ヴィヴェカーナンダは喝破しております。
「すべての教育、すべての訓練の理想はこの人作りであるべきである。が、その代わりに、われわれは常に外側に磨きをかけようと努めている。なんの内側もないとき外側に磨きをかけてなんの役に立つのか? すべての訓練の目的ないし目標は人間を成長させることである」(『普遍宗教への階梯』大野純一訳、コスモス・ライブラリー)と。
教育の本義を示した至言でありましょう。
この点、貴学院は明確に、「学生に秘められた内なる才能を伸ばすこと」を目指し、「学生の総合的な人間性の開発」に取り組んでおられます。
なかんずく、ラジャ議長は、渾身の力で、若き生命に「人生で遭遇する困難に挑戦する『自信』と『勇気』と『確信』」を植え付けてこられたのであります。
まさしく真の人間教育者による薫陶は、生命を限りなく練磨し、いかなる苦難にも負けず、価値を創造する力を自他共に発揮せしめていく挑戦といえましょう。とともに、この教育の信頼の絆は、時空を超えて結ばれていくものであります。
私は、語らいを重ねたアフリカの人権の英雄・マンデラ元大統領が、マハトマ・ガンジーの獄中闘争を、かけがえのない心の支えとされていたことを思い起こします。
そして私たちもまた、21世紀の青年に「自信」と「勇気」と「確信」を贈りゆく、不撓不屈のスクラムを残していきたいと思うのであります。

さらに、貴学院による第三の新生の光は、「人類家族の連帯」であります。
貴学院は、「私たちの国、私たちのふるさと、それは一つの世界、一つの国」とのビジョンを掲げ、人類が一つの家族として、共生の道を歩むための方途を探究されています。三つの「H」を掲げる「人間主義(Humanism)のための人類の文化(HumanClture)と遺産(Heritage)」センターの尊きチャレンジも、その一つであります。
マハトマ・ガンジーは、インドが非暴力の手段によって自由を勝ち取ることは、「世界の平和にとって未だ知られていない最大の貢献」(『非暴力の精神と対話』森本達雄訳)と宣言しました。
第二次世界大戦中に、暴虐な軍国主義と戦い、獄死した牧口常三郎先生を創立の師とする私たちも、貴国を源流とする生命尊厳の哲理を根幹に、世界市民の平和の連帯を創り、広げてきました。
マハトマは、綴っております。「理想のほんとうの意味を理解し、それがいかに困難であろうと、理想に到達しようと不退転の努力をすること、これこそがプルシャールタ(purushartha)、すなわち人間の〔生存の〕目的です」(『獄中からの手紙』森本達雄訳)と。
本日より、私も、光輝ある貴学院の一員として、尊敬する先生方、そして卒業生の皆様方とご一緒に、「人類の平和と繁栄」という大いなる理想へ、不退転の努力を貫くことを、ここに固くお誓いするものであります。
最後に、貴・マドゥライ社会科学院の益々のご発展と栄光、そして、ご列席の皆様方のご健勝を心よりお祈り申し上げ、私の謝辞といたします。
本日は、誠に誠に、ありがとうございました。