語った分だけ
人材は育つ!
希望の大哲学を
皆が求めている!
撰時抄 P289
『現に勝れたるを勝れたりという事は慢ににて大功徳なりけるか』
◇希望の明日へ
世界には今も無数の苦しみがあり、不幸がある。だれかが立ち上がらねばならない。民衆の平和への悲願を抱きしめ、守り抜いて、だれかが懸命に走らねばならない。未来部は使命の人である。民衆の希望である。若くして、平和と幸福の大法を抱いた人たちこそ、人類の悲願を担い、背負って、立ち上がっていただきたい。
平1・5・5
☆中東地域の危機を乗り越えるために
今、イランの核開発問題をめぐって、中東地域で緊張が高まっている。その状況を前に私の胸に迫ってくるのは、核時代の下で世界が直面する課題について「ゴルディウスの結び目は剣で一刀両断に断ち切られる代りに辛抱強く指でほどかなければならない」(『現代が受けている挑戦』)との警鐘を鳴らした歴史家トインビー博士の言葉である。
緊張が武力紛争に転化することへの懸念も叫ばれる中、関係国を含めて政治指導者が、今こそ「自制する勇気」をもって、事態打開に向けて互いに歩み寄ることを強く望むものである。
軍事力などのハードパワーを行使して、根本的に解決できる問題など何もない。一時的に脅威を抑えつけることができたとしても、それ以上に大きな憎しみや怒りを生み出す禍根を残すだけだ。
緊張が高まると、相手を強い調子で威嚇したり、激しい非難の応酬が行われることは、残念ながら国際政治の常となってきた。
今から50年ほど前の「ベルリン危機」の際、ウィーンでケネディ大統領との会談に臨んだソ連のフルシチョフ首相が、「米国が戦争を望むならば、それは勝手だ。ソ連は受けて立つよりない。戦争の惨禍は同じように受けよう」(シオドア・C・ソレンセン著『ケネディの道』)と言い放ったことが思い出される。
しかし忘れてはならないのは、ひとたび戦争が起これば、一番苦しめられるのは無数の市井の庶民であるという現実だ。20世紀の戦争の時代を生きた世代は皆、同じような体験を共有している。私も戦争で兄を失い、家を焼かれた。空襲の中、幼い弟の手を引いて逃げ惑った記憶は、今も鮮烈である。まして、大量破壊兵器を用いるような事態に発展した場合には、取り返しのつかない甚大な被害をもたらしかねない。その非人道性の最たる兵器こそ、核兵器である。