日蓮仏法の魂。
友のために走れ!
誠実に迅速に
真心を尽くそう!
強仁状御返事 P184
『身命を仏神の宝前に捨棄して刀剣武家の責を恐れず昼は国主に奏し夜は弟子等に語る』
◇希望の明日へ
誠実の行動もなく、深き学識もない人ほど、倣怪に人を見下すものだ。青年は、"世界の一流"の高さをめざしていただきたい。そして"無名の民衆"のなかに、深く心の根をおろして生き抜いていただきたい。中途半端では、光輝ある人格は築けない。
平3・3・12
☆わが教育者に贈る 教師こそ最大の教育環境なり
学校全体の調和と発展を願う青年教育者の祈りは、児童・生徒を包み、さらに、その子どもたちに関わる教職員にも広かっていくものでしょう。
祈りの第二の項目は、「全教職員からの信頼」です。
教育現場は、教育という「総合芸術」の舞台です。共に働く教員の方はもちろん、とくに、学校を陰で支えてくださる職員の方を大切にすることを心がけていきたい。
学校は、ともすれば教員が主、職員が従になりがちです。しかし、職員の方々の尊き陰徳の支えなくして、子どもたちの健やかな学校生活も、学校の確かなる運営もできません。陰の人を大切にする感謝の心こそ、学校という世界を信頼で結合し、麗しき人間教育の園とする力ではないでしょうか。
二〇〇一年、カリフォルニア州オレンジ郡に開学したアメリカ創価大学(SUA)も、実に多くの方々の真心があればこそ、目覚ましい大発展を遂げることができました。
学生生活の一切の原動力である食事を担当する学内食堂のスタッフも、食習慣の異なる世界の各国から集った学生たちのためにと、それはそれは真剣に心を配り、工夫を凝らしてくださっています。
その中に、"SUAのお母さん"と慕われる調理スタッフの婦人がいました。「わが命である学生を、よろしくお願いします」との私の心に応えて、五十代から大学の調理科で学び磨いた料理の技と、心づくしの”おふくろの味"で学生たちを力づけてくれたのです。体調を崩して寮で心細く寝込んでいる時、このお母さんの温かな差し入れに感涙した学生など、エピソードは枚挙に暇がありません。
昨年、SUAの卒業生たちは、このお母さんの十年間の勤務に最大の尊敬と感謝を込めて、同窓生の総意として、真心からの賞を贈呈したと聞いています。
最先端の学識への旺盛なる探究とともに、お世話になった方々の恩義に報いていこうとする豊かな人間性の涵養が、SUAの誇り高さ伝統となって光っています。
SUAを訪問した多くの世界の識者の方々も、この点に注目しておられました。連載の第一回でご紹介したデューイ協会のガリソン博士は、学生や教授陣が、大学の職員と親しく心を通わせ、対話を交わす姿を見て、「これだけでも私は、SUAが実に素晴らしい学舎だと感じました」と、私との対談で語っておられました。
ともあれ、それぞれの学校に、目立たなくとも、なくてはならないスタッフがいます。そうした方々と共に手を携えていく中で、多くのことを学び、自らを省みることができます。
とともに学校は、どの職場にもまして、朝が勝負です。「朝に勝つ」こと、そして「清々しい挨拶」から一日を出発していきたいものです。
御書に『釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ』(P1174)とあるように、仏法では「人の振る舞い」を重視します。善き人間としての善き「振る舞い」ができてこそ、真実の人間教育は可能となりましょう。
さらにまた、自らの教育技術の向上に徹して取り組むことです。
牧口先生は「いわゆる劣等生とは、みんなが勝手にいっているにすぎない。子どもたちに、考える基本をしっかり教えたうえで、その能力を発揮させれば優等生になるのだ」と主張されました。教授法を徹底して研究し、発展させることを、教師の本分とされたのです。教師の努力と知恵によって、子どもたちの学力は大いに伸ばしていくことができるからです。