困難を飛躍の力に!
変毒為薬の仏法だ。
大確信の祈りで
人生勝利の劇を綴れ!
十字御書 P1492
『法華経を信ずる人はさいわいを万里の外よりあつむべし』
◇希望の明日へ
一生は長い。青年期は短い。だからこそ、この、かけがえのない青年時代に本格的に仏道修行を積んでいただきたい。社会と生活のなかで一日一日を勝ち抜いてほしい。その盤石な土台のうえに、一生涯、悠々と、民衆の幸福と平和と安穏のために、戦い抜いてもらいたい。青年部は、そうした栄誉ある、使命ある、探き仏意仏勅を受けたリーダーである。その永遠にして無上の誇りをもって進んでいただきたい。
平3・7・10
☆わが教育者に贈る 教師こそ最大の教育環境なり
第三に「全保護者からの信頼」です。
御聖訓には『大悲とは母の子を思う慈悲の如し今日蓮等の慈悲なり』(P721)と仰せです。
教育の起点が、子を育む母の慈愛にあることは、あらためて申し上げるまでもありません。
子どもの幸福の大地は、家庭から広がります。子どもたちを学校へ送り出してくれる保護者の方々との信頼と連携は、誠に重要です。
ある女性教育者の奮闘を伺いました。
担当のクラスは荒れていました。一人の男子児童が中心となって乱していたのです。この子さえいなければと思いつめるまで、気持ちが追い込まれたこともあるといいます。
しかし、祈りを重ねるなかで、問題を抱えた家庭に育ち、そのストレスのために学校で暴れていた、児童の心が痛いほど伝わってきました。
一番苦しんでいるのは、その児童自身であることに気付いたのです。
「よし! 私自身が、あの子の一番の安全地帯になろう。すべてを受け止めていこう」と決心し、毎朝、自分から声をかけ、できたことはすぐにほめるようにしたそうです。帰る際には、どんなことがあっても笑顔で見送ったといいます。
また、その子の良い面を見つけては、一つ一つ、親御さんにも伝えるようにしました。当初、子育てに自信を失っていましたが、明るくなって、学校にも相談に来るようになりました。
すると、その児童は目に見える形で変わっていきました。友だちに謝れるようになり、仲良く過ごせるようになつていきました。親御さんも、「息子はこの一年間で本当に変わりました。たくさんお手伝いしてくれ、笑顔が増えました。本当にありがとうございました」と、涙を流し語ってくれたそうです。
教育は、学校制度の中だけで行うものではありません。
家庭、地域、社会……子どもたちを取り巻く環境を、その子の教育のために、最善の環境にしていくこと──私は、それを「教育のための社会」の一側面として提言してきました。
学校と家庭、学校と地域、それぞれが声を掛け合い、力を合わせて、子どもたちを守り、育んでいくこと。そのチームワークが、‐今ほど要請される時代はありません。良識豊かに学校と教師を支えていく9護者の協力も、ますます大事になっています。
保護者から教師への信頼は、教師が安心して子どもたちのために尽くせる自信となります。
一般社会に、いわゆるクレーム(苦情)が渦巻いている世相のなかで、学校に寄せられる声にも、さまざまなものがあることでしょう。
教師の人知れぬ苦労を、保護者をはじめ社会全体が理解し、温かくサポートしていくことを、忘れてはならないと私は思います。
そのうえで青年教育者の皆さん方に、お願いしたいのは、一つ一つが勉強であると心を定めて、誠実に、聡明に、毅然と、そして忍耐強く、「子どもの幸福」のため、家庭と共に前進していくことです。
また、若い教育者である皆さんには、自分自身が一人の子どもとして親孝行をしていただきたい。その努力は、保護者の心の機微を理解し、汲み取ることにも通ずるはずです。「親を思う子の心」と「子を思う親の心」は響き合わないわけがないからです。
ある時、第一線で苦労を重ねる先生方と、語り合ったことがあります。
──仏法の"水遠の生命観"から見れば、今世で出会う人は、すべて何らかの宿縁がある。うんと手のかかる子や、難しい保護者の方などは、自分がきっと過去世に何かでお世話になった方と思い、その恩返しと決めて、真心込めて接していこう。それくらい、大らかな悠々たる気持ちで、人間教育の聖業を断行していこうではないか、と。
御書には、こう仰せであります。
『一度妙法蓮華経と唱うれば一切の仏・一切の法・一切の菩薩・一切の声聞・一切の梵王・帝釈・閻魔・法王・日月・衆星・天神・地神・乃至地獄・餓鬼・畜生・修羅・人天・一切衆生の心中の仏性を唯一音に喚び顕し奉る功徳・無量無辺なり』(P557)
私たちの唱える題目には、ありとあらゆる人の生命から、仏性という最極の善性を呼び覚ましていく響きがあります。朝の強盛なる祈りから、「子どもの幸福」という大目的に向かって、全生徒、全教職員、全保護者の力を引き出し、結集しゆく、希望の回転が着実に始まるのです。
大事なことは、毎日毎日、太陽のように、たゆまず、我慢強く持続していくことでしょう。
どうか、「祈りとして叶わざるなし」の信心を根本に、大仏法の「勇気の力」「忍辱(忍耐)の力」「随縁真如の智慧」を光らせ、一つ一つ"勝利の実践記録"を打ち立てていってください。
青年教育者のはつらつたる挑戦が、みずみずしい教育環境を創造します。ここにこそ未来を照らす偉大なる旭日があると、私は確信してやみません。