「まいをも・まいぬべし」
歓喜踊躍の生命こそ
広布拡大の原動力だ。
困難な状況であるほど
赤々と情熱を燃やして!
御義口伝巻上 P718
『疵を蔵くし徳を揚ぐは上慢を釈す、自ら省ること能わざるは我慢を釈す』
【通解】
自らの疵(きず)をかくし、外面には徳のあるがごとき姿を示すのは上慢の姿であり、自ら省みることができないというのは我慢の姿である。
名字の言 広島・北広島町に自生する「テングシデ」の群落 2021年10月27日
広島県・北広島町に約100本の「テングシデ」の木がある。幹や枝がくねくね曲がった特異性を持つ国の天然記念物。本来、こうした変種は生存競争に勝ち残れないとされるが、世界で唯一、ここだけに自生する▼その形質は代々受け継がれ、群落(同種が近接すること)を形成。団結して他種に打ち勝ってきたのだろう。実際に見ると、ただ群れているだけではない。どの木も太陽に向かって懸命に葉を広げている。自身が"大樹"に成長してこそ、周囲の支えとなれる——テングシデの群落が、人の生き方と重なった▼30歳で入会した同町の壮年部員は信心に消極的だった。ある時、職場の人間関係に悩んでいた彼を学会の先輩が励ました。「全てやり切ると腹を決めるんだよ」▼以来、彼の姿勢に少しずつ変化が。何事にも全力を尽くすと決意した時、同僚への感謝が湧き、環境は一変した。後年、彼は社長に就任。成長を喜んだ両親を入会に導いた。今、支部長として東京23区の総面積を上回る広さの町内を駆ける姿に、他の同志も立ち上がる▼池田先生はつづる。「広宣流布を成就する力は、師子の団結にある」と。"私が一人立つ!"と心を定める。そこから真の団結が生まれ、広布の勢いは加速する。
寸鉄 2021年10月27日
どんな行動も民衆の支持なしには成功せぬ—恩師今日も一人一人を味方に
北海道が総力の追い上げ全国挙げてもう一押し!庶民の底力で大逆転劇を
東京の勝利が凱歌の秋の決定打。攻めた方が勝つ。皆で怒濤の反撃ここから
広島が一瀉千里の追走。今が正念場!気迫と執念の言論戦で勝ち上がれ!
公明、大阪16・3・5・6区と兵庫2・8区が大激闘。我らは力強い支援を益々
〈社説〉 2021・10・27 「読書週間」がスタート
◇良書と出合い 人生を豊かに
きょう27日は「文字・活字文化の日」。毎年この日から、読書週間が始まる(11月9日まで)。
文部科学省はホームページで「読書は、人類が獲得した文化である」と掲げるとともに、「情報化社会の進展は、自分でものを考えずに断片的な情報を受け取るだけの受け身の姿勢を人々にもたらしやすい。自分でものを考える必要があるからこそ、読書が一層必要になる」と読書の重要性を指摘している。
一人楽しむ読書もいいが、近年は読書会や、子どもを中心に家族で同じ本を読み、感想を話し合う中でコミュニケーションを深める「家読」など、読書に親しむ取り組みも盛んだ。
関西創価中学校では、5年前から「全校ビブリオバトル(書評合戦)」を毎学期実施し、読書の推進に全校を挙げて取り組んでいる。昨年の休校期間中もオンラインで開催。
同校の教員は、「ビブリオバトルは、単に本を読むだけでなく、本の主題を的確に捉え、その魅力が伝わるように原稿をまとめ、発表する力が求められます。『読む・書く・話す・聞く』の四つの技能が鍛えられ、"自分で考える力"が磨かれていきます」という。
作家の佐藤優氏は「自分の気持ちを知り、整理するのも言葉、自分の思考や意志、思想を形づくるのも言葉。そしてそれを他者に表現として伝える手段も言葉しかありません。ですから表現には言語力が必要不可欠で、その力をつけるのが読書です。読書で養った読解力と表現力は表裏の関係にあり、読解力以上に表現力を高めることはできません」(『人をつくる読書術』青春出版社)と語る。
読書によって、自身の言葉で考えや意見を言語化し、他者に伝えられるようになるといえよう。
それだけではない。読書は心を養う糧であり、人生の旅の友だ。
池田先生は「一冊の良書は、偉大な教師に巡り会ったのと同じです。読書は『人間だけができる特権』であり、いかなる動物も読書はできない。自分の人生は一回切りだが、読書によって、何百、何千のほかの人生に触れることもできるし、二千年前の賢者と話もできる」(『青春対話』)と"読書の喜び"を知ることで、人生を大きく深くしていけると訴える。
秋が深まるこの時期にかけがえのない良書と出合い、人生を豊かに潤していきたい。
☆switch——共育のまなざし 聴覚障がいの有無を超えて——誰もが共生の未来の担い手
生まれつき、高度の「感音難聴」の女子部員がいます。彼女は、デフ(聴覚障がい者)フットサルとデフサッカーの日本代表選手。育ててくれた両親、10歳から頑張ってきた各種スポーツの経験、創価学会の女子部の仲間の存在——「たくさんの"出あい"のおかげで、今の私があります」と。その歩みから、共生社会の未来について考えます。
◇"二つの世界"で
10月初旬、埼玉県にあるフットサル場を訪ねると、岩渕亜依さん=東京都新宿区、華陽リーダー=が自主練習に励んでいた。岩渕さんを含め6人の参加者全員が、デフ(聴覚障がい者)フットサルの日本代表。それぞれ健聴者のチームにも所属し、技術を磨いている。
デフフットサルもデフサッカーも、基本的なルールは、健聴者のそれと変わらない。ただ、主審は、プレーヤーが分かるように笛と共に旗を使用する。また、プレーヤー同士は目のアイコンタクトや手話などでコミュニケーションを取りながら、試合を展開していく。
岩渕さんが日本代表として出場した2015年(平成27年)のデフフットサルワールドカップでは、強豪スペインを破って初の決勝トーナメント進出を果たした。
キャプテンとして10番を背負った19年大会は、決勝トーナメントでブラジルに1—2で惜敗。現在は、明年開催予定のデフリンピック(聴覚障がい者のための国際的な総合スポーツ大会)のデフサッカーと、2023年開催予定のデフフットサルワールドカップで、世界一を目指す。
岩渕さんは「とにかく首を動かし、コミュニケーションのために視野を広く取ります」と。加えて「健聴者のチームの中では、特に、指示を見逃さないようにしています。デフの時は、中心者として試合を組み立てることも必要なので、それが課題です」とも語る。
健聴者のチームと、デフの日本代表——そうした"二つの世界"で奮闘する。今日に至るまでには、私生活でも数多くの経験を重ねてきた。
◇一緒に戦う
岩渕さんは2歳の時に保健師から指摘を受け、病院での聴力検査の結果、「先天性高度感音難聴」と告げられた。
母・由貴さん=千葉県船橋市、地区女性部長=は、娘の障がいが分かった時の思いを、「頭の中が真っ白になりました」と振り返る。
「"耳の聞こえない子を育てるって、何をどうしたらいいんだろう……"と。"分からない"ということが不安でした」。そんな時、脳裏に浮かんだのが、近くに住む義理の母・佐藤津矢野さん=地区副女性部長=の「笑顔」だった。
当時、佐藤さんは、孫を引き取り、育てていた。若くして亡くなった長男の忘れ形見であり、岩渕さんの母・由貴さんからみれば「夫の兄の息子」に当たる。その、義理のおいには知的障がいがあった。"孫育て"に励む佐藤さんは、どんな時も、穏やかな笑顔を失わなかった。
由貴さんは言う。「お義母さんに、『どうして、いつも笑顔でいられるのですか』って、尋ねたんです。聞かずには、いられなかった。義母は一言、『うーん、創価学会員だからかなあ』と。私は学会に入っていませんでしたが、この時から、学会への興味が湧いたんです」
夫の健浩さん=壮年部員=との交際時から、健浩さんや家族が、学会の信仰をしていることは知っていた。ただ、由貴さん自身は、入会しようとは思わなかった。その由貴さんが、義母とのやりとりを契機に、自ら題目を唱えるようになった。
「唱題を重ねるほど"亜依は大丈夫だ!"っていう気持ちが、心の底から湧いてきたんです」
1997年4月、亜依さんの特別支援学校幼稚部への入学を機に、由貴さんは親子で創価学会に入会する。
学校への送迎とともに療育に付き添い、学校以外の時間も、口の動きを見て言葉を読み取ることや、発話の練習に明け暮れた。当時、聴覚障がいがある子どもの療育は、そうした「口話」が重視され、手話などが取り入れられるのは、後のことであった。
「例えば亜依が泣いて、私は"抱っこしてほしい"のだと分かっても、亜依が『抱っこ』と言えるまで抱かない。亜依は"伝える戦い"、私は"待つ戦い"——それを一緒に頑張ったと感じています」
亜依さんの成育状況を踏まえ、教員からは「地域の小学校でもやっていける」との言葉があった。由貴さんは、娘の「お友達がたくさんできたらうれしい」との希望を尊重し、地域の普通学級へと送り出した。
◇自信をくれた
岩渕さんは小・中学、高校と、友達に恵まれ笑顔を絶やすことがなかった。しかし、人知れず抱く孤独があった。
1対1のコミュニケーションは取れる。だが1対多数だと、難しい。横や後ろからは、誰が何を話しているか分からない。「聞こえなかった」と伝えれば、会話の流れを遮ってしまう。授業の途中で教師の話を止めることも、遠慮してしまう。
思春期を迎えると、授業中は顔を上げずに、教科書の文字を目で追うことが多くなった。中学では「一人の方が楽しい」、高校では「大勢でいると寂しい」——そんな本音を家族にこぼした。
岩渕さんに「自信を与えてくれた」のは、スポーツだった。小学4年でサッカーを始め、野球好きの父の影響で、中学からはソフトボール部に。健聴者の中でレギュラーとなり、千葉県選抜にも選出された。高校のソフトボール部の顧問が、聴覚障がい者のために「情報保障」がなされている大学があることを教えてくれた。
オープンキャンパスの日、岩渕さんは、見学者の数十人全員が"聞こえない"状況にあることに衝撃を受けたという。
「ずっと健聴者の中で生きてきたから、100%情報が分かることに、逆に驚きました」。この大学に進学後、手話を習得した。在学中に先輩から誘われデフサッカーを始め、さらにデフフットサルの選手にもなった。
卒業後は、企業で働きながら、トレーニングの時間を捻出した。再び始まった、健聴者の中での日常生活。そんな時、自分を訪ねてきてくれたのが、創価学会の女子部の先輩たちだった。
◇分かち合える場
岩渕さんは、女子部の先輩たちの印象を語る。「笑顔と目が"安心できる"んです。私に限らず耳の聞こえない人は、その分、相手の表情をよく見るんですよね。社会人になって6年になるので、来てくださる女子部の先輩も何人か変わりましたけど、皆さんが"私のことを知りたい"と思ってくれていることを、感じるんです」
酒匂光子さん=女子部本部長=は、創価大学在学時、手話サークルに在籍した経験がある。卒業後は補聴器のメーカーに就職。「自分の行動が誰かの力になれたら」との思いで、仕事に、学会活動にと尽力してきた。
「サークルや仕事での経験から、例えば1(いち)と7(しち)など、口の形が似た言葉は、紛らわしくないように7(なな)と言うなど、自分なりに工夫します。でも、それ以外は、他のメンバーと接するのと同じように、亜依ちゃんに接しています。私が逆の立場だったら、きっとそうしてほしいと思うから」
好きなアイドルや小説の話、また、日本代表のキャプテンとしての奮闘など、多くを聞き、語り合った。
酒匂さんは「亜依ちゃんの選手としての向上心、ピンチにも負けない心がすごい。そして私にも『お体、大丈夫ですか』『最近、お仕事どうですか』と聞いてくれる思いやりがある。訪ねる私たちの方が励まされています」と。
コロナ禍の中、よく訪問・激励に来てくれたのが、松下玲子さん=総区女子部主任部長=だ。「亜依ちゃんに会う前は"耳が聞こえない"ことに対し、"私の振る舞いで、嫌な思いをさせたりしないか"と緊張していました」
だが、岩渕さんと会い、彼女を知れば知るほど、ある思いが湧いた。「亜依ちゃんの笑顔に、緊張はすぐに解けました。明るくユーモアがあって、どんな時も、周りの人への『感謝』を忘れない亜依ちゃん。耳が聞こえないということについて、コミュニケーションする上で配慮を忘れてはいけませんが、"多様な特徴の一つなのだ"と感じるようになりました」
松下さん自身は、「コンプレックスの塊で自信がなく、人と関わることが苦手。そんな自分を変えたい」と学会活動に励んできた。「誰もが何かの悩みを持っている。それを分かち合い、励まし合い、自分自身を輝かせる生き方へ変革できる場が、創価学会」だと感じている。
◇差異を超えて
池田先生は語っている。
「私たちが広宣流布に向かって『異体同心』の姿で輝くことそれ自体が、人間共和の縮図であり、人類の共生の理想像なのです。人種や言語、文化など、あらゆる差異を超え、『生命』という共通の大地に立って、尊敬し合い、学び合い、助け合っていくからです」
岩渕さんは自身の青春を振り返り、「私は出会いに恵まれました」と語る。家族をはじめ、同級生、部活の恩師やチームメート、女子部の先輩たち……。
そして、困難に直面する時は、祈ることができた。"今いる場所で必要とされる人に""唱題は、自分の心と向き合う時間""ピンチはチャンス"——母や女子部の先輩たちが教えてくれたことを胸に刻み、挑戦を重ねてきた。
「10代のころ、人と関わることに難しさを感じた自分が、日本代表のキャプテンを務めることができたのも、本来の明るさを出せるようになったのも、自分の心を挑戦の方向にもっていけるようになったからです」
それは、母・由貴さんが、幼児期の療育で娘と分かち合いたかった思いにも通じているという。「"人とコミュニケーションすることは楽しい""障がいがあることが不幸なのではない。障がいに負けてしまうことが不幸なんだ"——私が伝えたかった思いを、亜依は、自らの人生で示してくれました」
岩渕さんは今、こう感じている。
「口の形の読み取り方、発話の仕方、手話などの表現方法……。『聴覚障がい者』といっても一人一人違います。女子部の先輩たちをはじめ、心ある人が私にしてくれたように、『一人の人間』として接してもらえたら、『障がい者』という言葉の先入観もなくなって、"違い"を"特徴"として理解し合えると思う」
時に孤独を抱えながらも、懸命に、挑戦を続けてきた岩渕さん。"亜依さんの心を知りたい"と交流を重ねた周囲の人々。障がいの有無を超えて、社会の全員が、共生の未来を担う当事者である——そのことを、彼女の歩みは気付かせてくれる。