「言と云うは、心の思いを
響かして声を顕す」
皆の幸福を願う熱意が
友の心を揺り動かす!
真剣と真心で語り抜こう。
(新713・全563)
聖愚問答抄上 P495
『然るを浄土宗の法然は念仏に対して法華経を捨閉閣抛とよみ善導は法華経を雑行と名け剰へ千中無一とて千人信ずとも一人得道の者あるべからずと書けり、真言宗の弘法は法華経を華厳にも劣り大日経には三重の劣と書き戯論の法と定めたり、正覚房は法華経は大日経のはきものとりにも及ばずと云ひ釈尊をば大日如来の牛飼にもたらずと判せり、禅宗は法華経を吐たるつばき月をさす指教網なんど下す、小乗律等は法華経は邪教天魔の所説と名けたり、此等豈謗法にあらずや責めても猶あまりあり禁めても亦たらず。』
【通解】
ところが浄土宗の法然は念仏に対して法華経を捨閉閣抛とよみ、善導は法華経を雑行と名づけ、そのうえ「千中無一」といって千人信じて一人も得道する者ははいと書いている。真言宗の弘法は法華経を華厳にも劣る。大日経には三重の劣であると書き、戯論の法と定めている。正覚房は「法華経は大日経の履物取りにも及ばない」「釈尊は大日如来の牛飼いにもたりない」と批判している。禅宗は法華経を吐きすてたた唾、月をさす指、教えの網などとさげすんでいる。小乗律等は法華経は邪教、天魔の所説と名づけている。これらは謗法ではないか。どこまで責めても責めたりないし、どれほど禁めても足りないのである。
名字の言 言葉は氷山の一角 2022年6月14日
言葉というものは不思議だ。普段使っているありふれた言葉でも組み合わせ方、発する時と場合によって、すごい力を発揮したりする。なぜそういうことが生じるのか▼詩人の大岡信さんは言う。「つまり、われわれが使っている言葉は氷山の一角だということである。氷山の海面下に沈んでいる部分はなにか。それは、その言葉を発した人の心」にほかならない、と(『詩・ことば・人間』講談社)。海面下の氷山のように見えない心次第で、表に出る言葉の力はいかようにも変わる▼対話に挑んでも上手に話せず悩んでいた友を、多宝会の先輩が励ました。「昔の肉屋さんや魚屋さんを思い浮かべてごらん。おいしいコロッケや魚は古新聞で素っ気なく包んであってもおいしかった。対話も一緒。包装紙で箔をつけるようなもったいぶった話をする必要なんかない。素朴でいいんだよ」▼そばで聞いていて、こちらも得心した。確かに、どんな立派な内容でも、見えや気取りがあれば人の胸に響かない。話がうまくなくていい。大切なのは「言葉の海面下」にある心だ▼相手の幸福を願う慈悲の祈り、社会や未来をよくしたいという熱い思いを精いっぱい言葉に込めて語ろう。そうすれば対話の力は何倍も増す。
寸鉄 2022年6月14日
「一糸乱れず」。これこそ学会の勝利の姿—恩師。栄光の峰へ共に勢いよく
常勝の電源地・大兵庫が奮戦。限界突破の拡大、今こそ!全国の同志も声援
唯一恐れるのは行動しないこと—イギリス元首相。勇気の一歩が苦難を破る突破口
2時間超の就寝ズレで睡眠の質が低下傾向—調査 聡明なリズムで健康第一
国内の「食品ロス」が過去最少。意識向上、コロナ禍が因と。公明よ更に動け
☆御書と未来へ 第21回 広布の女性は「世界の光明」
〈御文〉
『竜女と申す女人は、法華経にて仏に成りて候えば、末代にこの経を持ちまいらせん女人をまぼらせ給うべきよし誓わせ給いし。その御ゆかりにて候か。貴し、貴し。』〈松野殿後家尼御前御返事、新2004・全1393〉
〈通解〉
竜女という女人は、法華経で仏に成られたので、末代にこの法華経を持つ女人を守ると誓いを立てられました。あなたは、そのゆかりの人でしょうか。まことに貴いことです。
〈池田先生が贈る指針〉
竜女は衆生を赤子のごとく慈念し、心を大いに歓喜せしめ、幸福の世界を広げる。
慈折広布に励む女性部こそ、その真の後継である。十方の仏天が守らぬわけがない。華陽の乙女、ヤング白ゆりを先頭に、皆が最極の生命の宝珠で社会を照らすのだ。
女人成仏・万人成仏の道を"万代へ踏み開ける"希望の大連帯、万歳!
☆紙上セミナー 仏法思想の輝き 総神奈川ドクター部長・医学博士 小林広幸
◇人間のための医療を提供
【プロフィル】こばやし・ひろゆき 大学病院の治験・臨床研究支援部門で責任者を務める。総合内科専門医。日本血液学会認定血液専門医。63歳。1979年(昭和54年)入会。神奈川県相模原市在住。副本部長。
◇楽観主義は最良の"薬"
「患者さんに一日でも早く、より良い治療を届けたい」——そんな思いで20年間、新薬の開発に携わってきました。
日本において、新薬を一つ開発するには、10年以上の長い年月と多額の費用がかかります。その成功率は約2万2000分の1。
困難な課題に向かって、看護師、薬剤師、研究者、コーディネーター等、多様なスタッフと一丸となって仕事をしています。
何より欠かせないのが、患者さんの協力です。希望と不安を抱きながら、"同じ病に苦しむ人のためにもなれば"——。そんな思いで臨床試験(治験)に加わってくださる方が多くいらっしゃいます。
だからこそ、患者さんの人権と安全を十分に考慮し、科学的に根拠のある医療をサポートしています。
新薬による"痛みが和らいだ""生活が充実するようになった"といった喜びの声に触れることが、開発に携わる私たちにとって何よりの励みです。
◇心温かな医師
小・中学生の頃、胃腸が過敏で、おなかをよく下していました。中学2年の時、近所の小児科医の先生が、私のストレスや生活の悩みをじっくり聞いて、症状の背景にまで心を砕いてくれました。
その温かな人柄に感動し、医師を志しました。
念願かなって大学の医学部に進むも、「何のための医師か」との、目的が定まっていないことに悶々とする日々。
そんな時、信心していた祖母や、地域の学生部の先輩が真心こめて励ましてくれたのです。
池田先生が、トインビー博士との対談集『21世紀への対話』の中で、「真のヒューマニズムとは、生命の本質と人間性への明晰な洞察を基盤とすべき」と語られていることに感銘を受けました。
"人間のための医療を提供しよう"と心に期し、20歳で入会。研究と学会活動に情熱を注ぎました。
30歳を迎え、米ニューヨーク州の大学に留学。新型コロナウイルスのワクチンでも活用された、「メッセンジャーRNA」と呼ばれる遺伝物質をベースとする治療薬の研究を始めました。
しかし、初めの半年間は思うような成果が出ません。悲観的になっていた時、同僚から励まされ、"まず1年間はやり抜こう"と決意。題目を唱え抜き、課題を明確にしながら試行錯誤を続けました。
3カ月後、状況は好転。翌年、国際学会での成果発表で高評価を得ることができました。
帰国後は、新規抗がん剤や血栓症に関する研究を専門にしました。20年余の研究・臨床の成果が認められ、2009年(平成21年)から、大学病院で治験・臨床研究支援部門の責任者を務めています。
◇本当の幸せとは
幸福な人生を歩む上で、健康は大切な要素です。しかし、病気イコール不幸かというと、必ずしもそうではありません。
それを最初に教えてくれたのは、祖母でした。祖母は、私が入会してまもなく、肺腺がんに。がんは脳にも転移し、手の施しようがない状態でした。
しかし祖母は、御本尊を一筋に信じ、薬で痛みを抑えながら、病魔と闘いました。孫の私に信心をさせたいと祈っていたこと、入会して本当にうれしかったこと——あふれる思いを語り、2年後に霊山へ。
所願満足の祖母の姿を通し、病苦を乗り越えながら信心根本に生きる中に、本当の幸せはあることを知りました。
御書には、「しばらくの苦こそ候とも、ついにはたのしかるべし」(新1901・全1565)と仰せです。今がどんなに苦しくても、信心を貫けば必ず勝利していける——この、たくましい楽観主義こそ仏法者の生き方です。
それは、決して「何とかなる」といった安易な生き方ではありません。自らの意志で現実を変えようとする、主体性に裏打ちされた生き方です。
医療の現場でも、前向きな気持ちで病と立ち向かう方は、治療効果がより明確に表れる傾向にあります。楽観主義は、心身を健やかにする最良の"薬"であると思います。
これまで、「病気で苦しんだからこそ、人の苦労が分かる。悩んでいる人を励ませる」と、病に意味を見いだし、他者に尽くす、多くの同志と出会ってきました。
病と無縁な人はいません。超高齢社会を迎えた今、健康長寿を目指す上で、病と上手に付き合う知恵が求められています。それは、「生きがい」と「希望」を自らつくり、社会に貢献する生き方にこそあるのではないでしょうか。
祖母から教わった信心は、わが家の2人の子どもも継承。東京・立川に住む息子は、東京創価小学校の教員として奮闘しています。
昨年、初孫が生まれ、私も"おじいちゃん"デビューです。といっても、若い頃に誓った「人間のための医療を」との志は変わりません。研究に没頭するあまり、先日、腰を痛めてしまいました。年齢相応のケアも大切だと痛感しています(苦笑い)。
これからは、若手研究者と一緒に新たな治療の道を開き、社会に貢献していきたいと思います。
[視点]衆生所遊楽
多忙な日々を送る小林さん。「次から次に課題が出るのは当たり前。だから、サーファーのように"波"を楽しんでいます」——さらっと笑顔で語っていました。
法華経寿量品では「衆生所遊楽(衆生の遊楽する所)」と、人は、遊び楽しむために、この世に生まれたと説いています。そのために人生の苦難があると捉えれば、苦難の意味は百八十度変わります。
池田先生は、「信心を貫けば、生きていること自体が楽しいという人生になる。何があっても、生命の根底は安心しきって勝ち越えられる」と語っています。
御本尊を信じ抜き、強い生命力を発揮すれば、人生の厳しい波浪も悠々と乗り越えていけるのです。