2020年3月3日火曜日

2020.03.03 わが友に贈る

何があっても朗らかに!
負けじ魂を燃やす人は
烈風の日々さえも
ロマンの劇に変える。
晴れ晴れと胸を張ろう!

妙密上人御消息 P1241
『今一度も二度も大蒙古国より押し寄せて壹岐対馬の様に男をば打ち死し女をば押し取り京鎌倉に打ち入りて国主並びに大臣百官等を搦め取り牛馬の前にけたてつよく責めん時は争か南無妙法蓮華経と唱へざるべき』

【通解】
もう一度、二度と大蒙古国から兵が押し寄せてきて壱岐・対馬のように男を打ち殺し、女を無理に捕え、京都・鎌倉までも攻め入って、国主ならびに大臣・百官等を搦め取り、牛馬の前にたてかけて強く責めたてるような時は、どうして南無妙法蓮華経と唱えないでいられようか。

名字の言 長年の本紙配達を息子に託した父。その思いとは…… 2020年3月3日
本紙配達の"無冠の友"を長年務めた父が高齢となり、息子である壮年部員が後任になった。配達初日、"この地で何十年も配り続けたのか"と父への思いを胸に帰宅。「ただいま」とふすまを開け、壮年は驚いた▼御本尊の前に座る父が、声もなく泣いていた。「無事故を祈っていたんだが、"あの道で今日からお前が配っている"と思うと胸がいっぱいになって……」。広布への使命感が親子の絆をさらに強くした▼ある婦人部員は数年前、夫を不慮の事故で亡くした。その朝、「行ってらっしゃい」と元気な夫を見送ったのに……。ショックで体調を崩した彼女を再起させたのは、青年部員の息子の存在だった。"わが子を広布の人材に"と夫婦で祈った日々がよみがえった▼"心の中の夫と共に果たさなければならない使命がある!"と立ち上がった母の姿に、息子も発心。毎朝、彼女は息子と目を合わせ、「行って帰ってらっしゃい」と送り出すのが日課になった。息子は表情を一度引き締め、そして笑顔で出掛けるという▼御書に「現世では必ず跡を継ぐ親孝行の子である。また後生には、この子に導かれて仏になられるであろう」(1123ページ、通解)と。信心を最高の財産として伝え残すことで、親子は生死をも超えて福徳に包まれる。(城)

寸鉄 2020年3月3日
インド女子大学で卒業式人間主義の哲理に生きる池田主義者が使命の空へ
「華陽姉妹 誓春の日」。女子部の成長は即希望。御書根本の勝利譜今日も
仏法は現当二世。未来の果開く「現在の因」を今。広布の勇者に智慧は無限
自転車保険の加入増加。運転時は急がず無理せず—安全第一の意識向上も
ハローワークに"氷河期世代"の専門窓口設置進む。公明よ支援策さらに

☆心に御書を 第22回 たゆまぬ「不退の信心」を
〈御文〉
『聴聞する時は・もへたつばかりをもへども・とをざかりぬれば・すつる心あり、水のごとくと申すは・いつも・たいせず信ずるなり』(上野殿御返事、1544ページ)

〈通解〉
(火のように信ずるとは)教えを聴いた時は燃え立つばかりに思うが、遠ざかると、信心を捨てる心が生じることをいう。水のように信ずるとは、常に後退することなく信ずることをいう。

〈池田先生が贈る指針〉
持続こそ力なり。青年への励ましの御文だ。
いかなる道も、地道な努力を貫いた人が勝つ。その勝利の流れをつくる究極の源が「不退の信心」である。壁に突き当たったら、題目を唱えて不屈の挑戦だ。
「誓願」の祈りから迸る生命の勢いで、たゆまず前進を! 福徳の大河となって民衆の大地を潤すのだ。

☆教学随想 日蓮仏法の視座 気候変動に立ち向かう 2020年2月22日
山口雅明 青年平和会議議長
◇自身の変革を基軸に「持続可能な社会」を構築
青年部は本年、「SOKAグローバルアクション2030——青年の行動と連帯の10年」と銘打ち、平和キャンペーンを開始した。その運動の柱に掲げた「SDGs(持続可能な開発目標)の普及・推進」に取り組むに当たり、今春から「気候変動」をテーマに各種活動を進めていく。地球規模の課題に直面している今、仏法を持つ私たち青年部に何ができるかを考えていきたい。

昨年10月12日午後、スマートフォンから突如、警告音が鳴り響いた。画面には「避難勧告」の文字——。地域周辺を流れる河川に氾濫の恐れがあることを知った瞬間だった。東日本を中心に甚大な被害をもたらした、台風19号が上陸する数時間前の出来事だ。
近くを流れる荒川は氾濫危険水位に達しながらも、寸前のところで決壊を免れた。後日、水位が堤防ぎりぎりまで迫っていた跡を確認し、これまでとは次元の違う気象の異常事態を実感した。
また、神奈川の被災地で、清掃ボランティア「かたし隊」に尽力した男子部員の体験を直接聞き、さらに各地の報告も目にして、"私たちは今、気候変動の渦中を生きている"ことを確信した。

◇環境問題にとどまらない
現在、世界に影響を与える二大リスクとして「(核兵器を含む)大量破壊兵器」「気候変動の緩和や適応への失敗」を挙げる報告がある。(「グローバルリスク報告書2019」世界経済フォーラム)
もはや地球環境への認識を、大きく改めなければならない段階に入っている。
今日の気候変動について、"これまでの環境問題と同じ"という理解にとどまっていては、危機的な事態への対処は至難と言わざるをえない。ここに、私たちの平和運動が「気候変動」を大きなテーマとする理由もある。
そこで、気候変動の実相に迫る上で、一つの言葉を紹介したい。
「Climate Justice(気候正義)」——昨今、各地で叫ばれている言葉だ。これは、「気候変動問題は(因果関係を踏まえた加害者と被害者が存在する)国際的な人権問題であって、この不正義を正して温暖化を止めなければならない」との考え方である。(地球環境研究センター)
実際、個人消費による温室効果ガスの半分を排出しているのは、世界人口のわずか10%に当たる(裕福な)人々とされる。(「Extreme Carbon Inequality, 2015」Oxfam International)
一方で、農業や漁業のウエートが相対的に大きい途上国にとって、気候変動による異常気象や自然災害は特に深刻な脅威となる。インフラ等の整備も不十分なため、気候変動に適応する資金や技術が追い付いていないのが実情だ。さらに、貧困層をはじめ、女性や高齢者、子どもといった社会的に弱い人々が困難に直面する傾向が顕著である。
具体的には、海面上昇や干ばつ、水不足、食糧不足などが引き起こされる。自然災害による被害額は、世界で年間数十兆円。難民の発生にも大きな影響を与えている。今のまま気候変動が進めば最悪の場合、2100年までに10億人が移住しなければならないとの試算もある。
それらの事象は人々の衝突や紛争をも引き起こしており、さらなる悪化が懸念されることから、近年、安全保障に関する国際会議においても気候変動が焦点とされているのだ。
つまり、気候変動は環境問題を入り口としつつも、人権問題や安全保障問題にも直結していることが広く知らされなければならない。
ところが、気候変動の"害を引き起こしている人"は、被害者との時間的・地理的ギャップを背景に、当事者意識に立つことが難しいというのが大きな課題である。
そうした中、日本は2018年、気候変動による関連死者数や損失額の大きさから、"世界で最も影響を受けた国"になってしまった。(「GLOBAL CLIMATE RISK INDEX 2020」GERMANWATCH)
日本の私たちは世界の人々にもまして、この"当事者性"を真摯に受け止めなければならない。

◇現実を変革する宗教
未来にわたって個人の幸福と社会の繁栄を築くため、その双方の関係性を論じた「立正安国」の法理を確認したい。
日蓮大聖人の御在世においては、飢饉・疫病・大地震等が相次ぎ、庶民は苦悩に喘いでいた。民衆の幸福を実現するために、法華経に説かれる万人の成仏の哲理を一人一人の胸中に確立しようと、大聖人は「立正安国論」(御書17ページ)を執筆された。次の一節には、大聖人の社会観・幸福観が拝される。
「国を失い家を滅せば何れの所にか世を遁れん汝須く一身の安堵を思わば先ず四表の静謐を祷らん者か」(同31ページ)
「一身の安堵」は、個人の幸福を意味する。また、「四表の静謐」は、世界の平和、地域社会の安穏の意だ。
つまり、各人の幸せといっても、社会の平和や安穏と切り離してはありえないとの視座である。どこまでも、主体者である信仰者が妙法の実践で自らの人間性を開発し、自身を取り巻く状況さえも変えていく"現実変革"を志向した宗教である。
換言すれば、"現実逃避""現実追従"の思想を超克しゆく社会的使命を自ら担い、実践してこそ"立正安国の体現者"であろう。まさに、各人の人間革命を基軸としながら、皆で広宣流布を目指す、創価学会員一人一人の振る舞いから現実の変革が始まるのだ。

◇非人道性の超克を
それでは、いま立ち向かう地球的課題の根にあるものは何なのだろうか。私は、かつて池田先生が青年部に贈った言葉を思い起こす。
「持続可能な地球社会を展望する時、その前進を阻む"一凶"とは何か——。それは、核兵器に象徴される、多くの人々の生命を犠牲にし、かけがえのない生態系を破壊してまでも、自らの欲望を満たそうという非人道性に他なりません」
仏法の眼で見れば、この「非人道性」は、誰でも自身の生命に具わる。ゆえに、この内なる一凶を見つめ、乗り越えずして、社会の安穏は勝ち取れない——との警句は、あらゆる平和運動に通底すべき倫理観であると確信する。
なぜなら私たち人間の存在そのものは、生を営む上で地球環境に何らかの負荷を不可避的に与え続けるからだ。この難しい現実を自覚しながら、解決の方途を模索する姿勢こそ肝要といえよう。
この姿勢を放棄し、他者へ変化を強いるだけではエゴの衝突を生むことは想像に難くない。そこで、利害の対立や分断をどう乗り越えていくかを仏典の智慧から学んでいきたい。

◇行動と連帯を開始
——干ばつのため、ある二つの部族が、その間を流れる川の水を巡って、争いを始めた。釈尊は、武器を手にした部族たちに対して、"武器を持つからこそ、恐怖が生ずる"と諭す。
やがて釈尊は、目先の"いさかい"よりも、さらに根源的な恐怖である「生死」について語り始めた。
誰人も避けられない「死」という最大の脅威を、いかに打開し、安穏の人生を送るか——釈尊は諄々と訴えていったという。
ただ危機感をあおるだけではなく、対話を用いて課題を超えゆく智慧を導き出した説話だ。
池田先生は、本年の「『SGIの日』記念提言」で、気候変動の危機感を共有するだけでなく、建設的な行動を共に起こす重要性を示している。
青年部は師の期待に応え、「多くの人々の積極的な行動を鼓舞するような、連帯の結集軸」を構築してまいりたい。今後、意識啓発運動「マイ・チャレンジ10」をオンラインで展開し100万人に広げ、自らのライフスタイルを変えることで気候変動に立ち向かう第一歩をしるす。また、"地球で生きていくとはどういうことか"を見つめる学習の場も積極的に設ける予定だ。
私たち青年には次代を担う責任がある。持続可能な社会を築くべく、あらゆる人々と連帯し、行動を開始することを宣言して本稿を結びたい。