2019年4月20日土曜日

2019.04.20 わが友に贈る

「湿れる木より
火を出し」御聖訓。
強盛なる祈りが
不可能を可能にする。
負けじ魂で突き進もう!

法華初心成仏抄 P552
『地獄には堕つるとも仏になる法華経を耳にふれぬれば是を種として必ず仏になるなり』

【通解】
地獄に堕ちても、仏になる法華経を耳に触れるならば、これを種として必ず仏になると説かれたのである。

〈寸鉄〉 2019年4月20日
本紙創刊記念日。全読者、「無冠の友」に感謝。師と同志つなぐ紙面充実誓う
戦は最後の5分で決まる—英雄。私はやり切ったと言える勝利の自分史を
疲れや寝不足は交通事故の因。薄暮時に多発。声掛け絶やすな。破壊は一瞬
改元めぐる詐欺、頻発と。「銀行カードの交換が必要」など。焦らず嘘を撃退
大衆に「同苦」し動くのが公明党—識者。立党精神胸に断じて期待に応えよ

☆私がつくる平和の文化 第4回 持続可能な開発
インタビュー 成蹊大学名誉教授 廣野良吉さん
「誰も置き去りにしない」社会を

「私がつくる平和の文化」第4回のテーマは「持続可能な開発」。登場していただくのは、長年にわたり国連開発計画など国際機関で活躍されてきた成蹊大学名誉教授の廣野良吉さんです。今、世界中で取り組んでいる「持続可能な開発目標(SDGs)」(注)の意義も含めて、分かりやすく語ってもらいました。(構成=内山忠昭、歌橋智也)

僕は中学生の時、学校では禁止されていたのに、こっそり映画を見に行きました。
ある国の緑豊かな谷で、炭鉱会社が森林を破壊して石炭を掘り出した。そのために、お金はたくさん入ってきたけれど、住民がどんどん呼吸器の病気になって苦しみだした。「これでは一体、何のための開発か?」。そこにやって来た宣教師の青年と、炭鉱主の娘が立ち上がる。彼らの戦いで炭鉱は閉鎖され、やがて美しい緑を取り戻す、という物語でした。
僕は感動して劇場で泣きました。地球のどこであっても人々の暮らしや環境を壊すような開発、経済発展は絶対にいけないと。また、身内であっても、悪は悪として堂々と主張することが、人々に幸せをもたらすのだと。この映画が僕の人生観を変えました。
今、世界中の国が2030年までに「持続可能な開発目標(SDGs)」を達成しようと挑戦しています。
「持続可能な開発」とは、一言で言えば、「地球上の限られた水、空気、土壌などの資源を、汚したり枯渇させたりせずに、未来の子どもたちにつなげるように開発しましょう」ということです。
世界を見渡すと、経済発展や技術開発によって、生活が豊かになった国がたくさんある。それは世界から貧困をなくすために大事なことです。しかし、その陰で、環境が破壊されたり、貧富の差が広がったりしている。教育を受けられない子どもがいる。「やっぱり誰かが取り残されている」ということが分かった。
これじゃあいけない。さらに気候変動のように、全ての国が協力しなければ解決できない問題も起きてきた。だから先進国も途上国も一緒に、世界中で「誰も置き去りにしない」と約束したんです。

◇地球が我々の家
ですが、いくら素晴らしい理念を掲げても、大事なことはそれを「いかにして実現するか」です。だからSDGsでは家庭や地域、職場、政府が、みんなで力を合わせて問題を解決していきましょう、と強調しているんです。
今の時代、私たちは世界で起きていることに無関心では生きていけません。最近は、「中国がくしゃみをすると、世界が風邪をひく」といわれます。ブラジルでコーヒー豆が不作になれば、日本のコーヒーも値上がりする。中東の内戦で発生した難民問題がヨーロッパを揺るがしている。日本は、少子高齢化で働く人が足りなくなって、外国の方に仕事をお願いせざるを得なくなっている。
世界の人々が自立心を持ちながら、お互いに支え合い、経済的に「相互依存」するしかない。「地球が我々の家なんだ」と考えざるを得ない時代になっているのです。

◇家庭から始まる
紛争が続くシリアなどの現状を見ると、まずは平和が来なければ「開発」などできません。だけど、平和になっても「持続可能な開発」ができるとは限らない。
それぞれの国や地域で、優先すべき課題は違います。それに、食べる物、着る物、暮らし方、何が好きか、みんな違います。それを理解しないで、上から「これをやれ」と無理やり押し付けても、誰もやりません。だから僕は国際会議に行っては、「平和の文化」がなければ「持続可能な開発」はあり得ない、と強調しています。「平和の文化」とは、各地域に住む人々の多様性・自主性を尊重し、一人一人の日常生活が、常に平和の方向へ動くようになることだからです。
さて、SDGsの推進といっても日々の家庭生活から始まります。僕の住んでいる武蔵野市では、家庭教育としてゴミの減量、分別、リサイクルに力を入れています。親御さんが意識を高く持っていれば、それがお子さんたちの言動にそのまま表れますよね。
池田先生の提言は全部読ませていただいています。また創価学会は、環境展示や中高生のSDGsフォトコンテスト(別掲)などにも取り組んでこられた。今後は、もっと視覚や感性に訴える新しい啓発運動を考えられたらいいと思います。僕も長年、若者に呼び掛けて環境問題のミュージカルを一緒にやっています。
テーマは、「青い地球は誰のもの?」。皆さん、地球は誰のものだと思いますか。そう、「自分たちのもの」です。また、未来の世代から借りているものです。みんながそう思えば、もっと大切にできるのではないでしょうか。

ひろの・りょうきち 1931年、静岡県生まれ。成蹊大学教授、政策研究大学院大学の客員教授等を歴任。諸外国で大学院客員教授の他、国連経済社会理事会議長、またアジア開発銀行、国連開発計画等の国際機関で局長として勤務。外務省ODA懇談会委員、国際開発学会会長、日本評価学会副会長等を務める。日本ユニセフ協会理事など多数の諮問委員も担う。

●持続可能な開発目標(SDGs)
国連加盟国が2030年までに達成すべき目標として採択したもの。貧困や飢餓の撲滅、不平等の解消、教育の確保、気候変動への対策など17分野の目標、169のターゲットを設定。

池田先生の指針から
今、必要な「地球人意識」。
それは、遠いどこかにあるのではない。
コンピューターの画面の中にあるのでもない。
人間として人間のために"胸を痛める心"の中にあるのだ。
「あなたが苦しんでいるかぎり、私も苦しむ。あなたが、だれであろうと! あなたの悩みが何であろうと!」と。

池田大作

(『君が世界を変えていく』から)

未来部「SDGsフォトコンテスト」から
中高生が「持続可能な開発目標(SDGs)」を身近に意識して撮影した写真を、池田先生の言葉とともに紹介します。

●『明日をみつめて』から
多くの資源を消費し、豊かな生活をしている一部の人びとの陰で、世界の多くの人びとが飢えにさいなまれ、「人間の尊厳」を侵されている。(中略)悲惨な現実を知りながら、実際の行動を起こさずにいることは、臆病との謗りを免れまい。

●『青春対話』から
仏法の真髄においては、一本の草も木も、石ころや塵でさえも「仏」の生命をもっていると見るのです。これ以上の「生命の尊厳」の哲学はない。

●『青年抄』から
世の中には、「自分一人では何も変えることはできない」という諦めの風潮がある。そんなことはない。一人が変われば、一人一人が行動すれば、必ず、周囲に、そして世界に、大きな影響を及ぼしていける。