◇今週のことば
友の心に仏の種を蒔く
下種こそ慈悲の真髄。
「声も惜まず」と
勇敢に朗らかに語ろう!
幸福と平和の拡大へ。
2017年9月4日
兵衛志殿御返事 P1091
『千年のかるかやも一時にはひとなる百年の功も一言にやぶれ候は法のことわりなり』
☆女性に贈ることば 九月四日
私が小学校五年生の頃の秋でした。わが家が、風速三十三メートルほどの大きな台風に襲われたことがあります。
兄たちは、兵隊にとられて家にはいない。真っ暗な家のなか、幼い子どもたちの不安は募りました。しかし、その時です。
父が、厳として、「怖くない!」と言ったのです。母も、毅然 と、「お父さんがいるから、絶対に心配ないよ!」と。
この父母のひと言に、どれだけ、ほっとし、勇気がわいてきたことか。私は、今でも鮮烈に思い出します。
☆今日のことば365 九月四日
長い人生には、敗れることもある。しかし、一陣が敗れたからといって、人生全部が負けたということとは、意味が違うものだ。
敗れることは、人生にも、事業にもあろう。だが、根本的な勝敗は、一生涯を通してみなければ、論ずることはできない。
☆国立サンマルコス大学からの名誉博士号授与式での池田先生の謝辞 2017年8月24日
◇全人類の幸福と英知のために 一切の困難を乗り越え共に前進
一、私は今、かけがえのない人生の宝である、貴・国立サンマルコス大学との黄金の縁を噛みしめております。
私が貴大学を初めて訪問させていただいたのは、43年前、1974年3月であります。
まだ、わが創価大学は開学して3年。産声をあげたばかりの大学でした。ですから、1551年に創立され、南米最古の伝統を誇り、最高の学術探究と人材育成の歴史を刻まれてきた、名門・サンマルコス大学から、大いに学ばせていただきたいとの思いを込めての表敬でありました。
当時のゲバラ総長は、黒縁の眼鏡の奥に笑みを湛えつつ、明快に語られました。「大学の使命は精神的な価値の創造にあり、大学の思想が幾世紀に渡る文化を生むのです」と。
そして総長はじめ貴大学の先生方は、「わが大学は、親友たる創価大学と同じ目的を持つことを誇り高く宣言します」と迎え入れてくださったのであります。
私は感動しました。いな、心で感涙しました。大学とは、何と広々と、いかなる差異も超えて人類を結び合い、高めゆく精神の広場なのか、と。
尽きせぬ感謝を込めて、私自身、この大学と大学の平和創出の連帯を、さらに世界中に広げゆこう! と決意を新たにしたのであります。
1984年に再び貴大学を訪れた折、図書贈呈の式典が行われたのが、本日の会場「サロン・デ・グラードス」でありました。今ここに、大恩ある貴大学から名誉博士号を賜り、私は感慨無量であります。
誠に誠に、ありがとうございます。
◇今日の私は全て師の薫陶ありて
一、この光栄を、私は、何よりもまず、「戸田大学」の卒業生として拝受させていただきます。
戸田大学とは、軍国主義の弾圧を戦い抜いた信念の人間教育者・戸田城聖先生が万般の学問を授けてくださった、一対一の対話による個人授業のことであります。この8月24日で、戸田先生に師事してより満70年となります。(大拍手)
恩師は、こよなく青年を信じ、対話を通して、一人一人の若き生命に秘められた力を引き出し、「人間革命」という軌道へ導いてくださいました。今日の私があるのは全て、師の薫陶あればこそなのであります。
一、私には、貴大学の名総長として指揮を執られた偉大な教育者、ホセ・アントニオ・エンシーナス博士の至言が思い起こされます。
「教師は教授することを目的とするのではなく、学生が持つ自らの可能性を生かして、創造することを教えるべきである」と。
その触発の鍵も「対話」でありましょう。
貴大学を訪問した際、教員と学生、また学生と学生の心開かれた「対話」が重視されていることに、私は深い感銘を覚えました。
今、世界に差別と暴力が渦巻いている時代だからこそ、貴大学が体現されてきた、この「対話の文化」を強め、広げながら、民衆の創造的知性を解き放っていくことが、ますます大切ではないでしょうか。
一、さらに私は、貴大学からの栄誉を、貴国の模範の市民、模範の国民として献身する、ペルーSGIの宝友たちと分かち合わせていただきます。
貴大学の卒業生で、ペルーを代表する作家セバスティアン・サラサル=ボンディ先生は語っています。「知識人は、自らの思考を結実させることで、使命を果たすだけでなく、市民生活の営みと振る舞いの中で、その使命を果たさねばならない」と。
貴大学には、教授も学生も、民衆と共に歩み、人類の幸福と平和と英知という目標に向かって、一切の困難を乗り越えていくべきであるという断固たる気概が受け継がれているのであります。
◇誉れの栄冠を世界の後継に
わがSGIも、貴大学のキャンパスで「環境展」や「法華経展」を開催させていただくなど、草の根の平和・文化・教育運動に惜しみないご協力を賜っていることに、あらためて心から御礼を申し上げます。
今後も、敬愛する貴大学とご一緒に、いやまして誠実に、愛するペルー社会へ貢献していければと、私は願ってやみません。
とともに私は、この栄冠を、ペルーをはじめ、世界の後継の青年たちに託させていただきます。
一、私が胸に刻んできた貴大学の校歌には、高らかに謳い上げられています。
「栄光のサンマルコス大学、前進を!/誰人も汝に勝つことはできない/ゆえに汝は 常に前列にいる/さらにこれからも」と。(拍手)
その通り、貴大学は、史上初めて教員と学生の選挙によって選ばれた、カチャイ総長の卓越したリーダーシップのもと、一段と前進を加速され、創造的変革を力強く推し進められております。
この貴大学に漲る前進の息吹こそ、青年の誉れでもありましょう。
貴大学の名誉教授でペルーの著名な作家として活躍されたアウグスト・タマヨ先生も、「青年一人一人に新しいことを手掛ける意気込みがなければならない」とエールを送りました。
若き創価の世界市民たちが、まさしく、この新たな価値創造の意気込みに燃え、貴大学の英才たちと手を携えて、人類の希望の未来を開いてくれることを、私は大確信しております。
◇深い使命と自らの価値の自覚を
私も、貴大学との黄金の絆を誇りとして、一生涯、貴国の青年の勝利と栄光の道を開いていくことを、ここにお誓い申し上げます。
その心を、貴大学の校歌に託させていただきます。
「サンマルコス大学を母校とするわれらは/常に団結し、偉大な、深い使命のもとで/自らの価値を自覚して/頭を高々と上げていこう!」と。(拍手)
美しき母校愛にあふれる貴大学のいよいよの大発展とともに、本日ご列席の皆さま方のますますのご健勝を、心よりお祈り申し上げ、私の謝辞とさせていただきます。
ムーチャス・グラシアス!(スペイン語で「大変にありがとうございました!」)