教学試験に挑む友も
受験者を支える友も
皆が「行学の闘士」!
仏法は最高峰の哲学だ。
誇りに燃えて研鑽を!
乙御前母御書 P1223
『今御身は女人なりごんじちはしりがたしいかなる宿善にてやをはすらん、昔女人すいをとをしのびてこそ或は千里をもたづね石となり木となり鳥となり蛇となれる事もあり』
☆女性に贈ることば 七月十九日
「心こそ大切なれ」
真実の幸福と勝利は、あなた自身の胸中で決定されるのだ。
☆今日のことば365 七月十九日
地球が七割を占める海−−この膨大なる資源の宝庫は、地上の貧困を埋めて、なおあまりあるものであろう。魚類や海藻などの水産資源ばかりではない。大陸ダナに秘められた豊富な地下資源の開発等、現代の科学技術の発達が、そのまま、明日への人類の課題に向けられた時、どれほどの価値と喜びを生ずることであろう。
☆明日を求めて 池田先生の対話録� 第39回 アメリカの経済学者 サロー博士 2017年7月14日
◇まず「自分」が変われ。自身の変革から社会の変革は始まる
「博士が日本の総理大臣であったら、まず、どんな経済政策に着手しますか?」
池田先生が尋ねると、サロー博士は即座に答えた。
「指導者の使命は、『国民に変化を受け入れるよう説得する』ことです。しかし、その前に、『まず自分が変わる』ことが先決です。しかし、日本のリーダーは、自分は変わりたくないと思っている。変化はトップからやるべきです。政策は、それからです」
「全く、その通りです。全体が変わるためには、上が変わる以外にない。私の恩師も『下じゃない。上だ。幹部だ。幹部で決まる。指導者が自分を変えるしかないのだ』と遺言しました」
現代経済学の最先端をリードするサロー博士との初会見は、1999年1月25日。
約3時間の対談は、世紀を総括しつつ、「仏法と経済」を巡って縦横に交わされた。
経済学の観点から、"歴史上、現代ほど興味を引かれる時代はない"と語るサロー博士。
かつては「資源」が富を生み出してきたが、90年代からは、「知識」が富の源泉となった。博士はそれを「知識主義経済」と呼び、蒸気機関を動力源とした「第1次産業革命」、電気・通信による「第2次産業革命」に続く、「第3次産業革命」と位置付けていた。
しかし、そうした日進月歩の技術革新にもかかわらず、誰も「どこにたどり着くのか」目標点を見いだせていない。"我々は今、革命の中にいる"——それが博士の時代認識であった。
◇
サロー博士の名を一躍知らしめたのが、80年に出版した『ゼロ・サム社会』である。
「利益」と「損失」を合わせれば「ゼロ」になる。
勝者の陰には必ず敗者がいることを訴え、「敗者のいない社会」を建設するために、社会的合意を形成し、政策を行うべきだと博士は主張。その理論は、アメリカの経済政策に大きな影響を与えた。
博士は「どんな学問の成果も、一般の市民に理解できなければ、真の価値はない」と言う。
学生時代、学費を捻出するため、危険と隣り合わせの銅山でのアルバイトにいそしんだ。
共に働く作業員が、教育を受ける機会を得られなかったにもかかわらず、鋭い視点から世界を洞察していることに、博士は驚く。苦学を重ね、マサチューセッツ工科大学教授となった後も、ボストンの貧困地域に居住するなど、社会の最前線に身を置いた。
そうした経験が、机上の学問に終始しない、「実社会に貢献する経済学」に結実していた。
『ゼロ・サム社会』を執筆した当時、アメリカ国内は、オイルショックによる急激なインフレで、"沈没する船"に乗っているかのような失望感が広がっていた。
サロー博士は「それでも、『なぜ、船が沈んでいるのか』という理由さえ分かれば、大した問題ではないのです」と指摘する。
そして、「危機が来る前に、それを阻止するよう、変革を実行するのが真のリーダーなのです」と。
「全く同感です。誰よりも早く先手を打ってこそ指導者です」と池田先生が応じた。
先行きの不透明な未来だからこそ、「挑戦の勇気」「目標となるビジョン」が不可欠となる。
"社会を前進させるビジョンを残さず、ビジョンの実現ができなかった指導者は、その地位を去った後に記憶される価値はない"
この、サロー博士の指導者観を受け、池田先生は語った。
「『その地位を去った後に記憶される価値』がある指導者が、どれだけいるのか。それが社会の未来を決めます」
対談は、同じ99年の10月30日にも東京・新宿区内で行われた。
2度の語らいで、先生は、人々の関心を代弁するように、バブル経済への視点や21世紀への展望、資本主義の功罪などを問うた。一方、博士は、先生が論じる仏教の財産観やアショーカ大王の平和経済学、地球的利他主義といった仏法の視座に、じっと耳を傾けた。
博士は、経済の不確実性の時代には、原理主義の宗教が台頭すると指摘。伝統的宗教と現代経済を効果的に統合させるべきと述べ、池田先生に語った。
「仏教が21世紀に果たす役割は『対話』だと思います。『平和のための対話』の精神を世界に紹介していくことだと思います」
◇
サロー博士を迎えた聖教本社のロビーには、池田先生が撮影したヒマラヤの写真が。博士が、その前で足を止めた。
経済学者として活躍する傍ら、サロー博士は、ヒマラヤへの登山や北極の探検、サウジアラビアの砂漠を自動車で走破するなど、冒険家としても著名である。
「人類にとって、『本当の意味での富』とは何でしょうか」
池田先生の問い掛けに、博士は間髪を入れず答えた。
「『冒険心』、そして『探求心』だと思います」
「『努力』しなければ『自分がどこまで行けるか』わかりません。ですから、新しい未知の世界を探検する『冒険心』が必要です。『冒険心』なくして、自己の限界を知ることはできません」
かつて産業革命を成し遂げた原動力も、強き「探求心」であり、挑戦の魂であった。その発展の方程式は、今も昔も変わらない。
いかなる厳しい逆境も、一人立つ挑戦ある限り、未来はおのずと開かれていくに違いない。
そこに、人類の「本当の富」を生かす道がある。
レスター・C・サロー アメリカを代表する経済学者。1938年、アメリカ・モンタナ州生まれ。オックスフォード大学で修士号、ハーバード大学で経済学博士号を取得。ジョンソン大統領の経済諮問委員会スタッフ・エコノミスト、ハーバード大学経済学部准教授を経て、マサチューセッツ工科大学教授。同大学院スローン・スクール(ビジネス・スクール)校長等を務めた。アメリカが抱える経済問題(エネルギー、インフレーション、経済成長、環境、所得分配などの諸問題)を分析した『ゼロ・サム社会』(1980年)を発表し、アメリカの経済政策に多大な影響を与えた。2016年3月、77歳で死去。