一人一人と友情を結び
善性を引き出すのが
広宣流布の戦いだ。
我らの草の根の対話で
生命尊厳の心を世界に!
乙御前御消息 P1219
『女人は夫を魂とす・夫なければ女人魂なし、此の世に夫ある女人すら世の中渡りがたふみえて候に、魂もなくして世を渡らせ給うが・魂ある女人にもすぐれて心中かひがひしくおはする上・神にも心を入れ仏をもあがめさせ給へば人に勝れておはする女人なり』
☆女性に贈ることば 七月八日
いかに現実が多事多難であろうとも、ここから離れて、幸福の大地はどこにもない。
ゆえに断じて、今、自分がいる場所で勝つことだ。
☆今日のことば365 七月八日
星と人生−−そこには限りないロマンがあった。
特に上古の人々は星座の輝きを見て、そこに神話の調べを聞いた。
それはあるいは、大宇宙の懐に抱かれた人間の存在を考え、変転きわまりない日々を止揚しようとしたのかもしれない。
☆地域を歩く 茨城県・利根町 2017年6月27日
◇豊かな"幸齢社会"を
利根川沿いの県道11号線を下流に向かって行くと、青々とした水田の先に"住宅群"が現れた。一帯は、田んぼと閑静な住宅街が混在している。
ここは茨城県の利根町——県南部に位置するこの町は、元々は純農村地域だった。都心から40キロ圏内という立地から、昭和40年代後半以降に次々とニュータウンが整備され、都内で働く人々が移り住んできた。
それから50年が経とうとする今、かつて家を購入した人たちも年齢を重ね、町の高齢化率の高さは、県内の市町村の中で1、2を争う。にもかかわらず、要介護認定率は県内で最も低いという。
「学会でも、仕事をリタイアし、平日の昼間に活動できるようになった壮年部の敢闘会(太陽会)の活躍は、この地域で目覚ましいものがあります」(星出康拡本部長)
その壮年たちの"元気の秘訣"を探りに、町の中へと歩みを進めた。
◇
住宅地の中心部。目指す建物に到着すると、入り口に「フリフリグッパー体操」と書かれた2メートル以上はありそうな立て看板が目に入った。
中に入ると、受付で役員が「こんにちは!」と"出席カード"を集めていた。奥の多目的室には、おそろいの白いポロシャツを着た20人ほどが談笑している。聞けば、ほとんどが65歳以上で、70代や80代もいるという。これから健康体操を行うそうだ。
高齢化の進む利根町は、「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されない期間)を延ばすことに、町を挙げて取り組んできた。
◇信心に"定年"なし 挑戦に"手遅れ"なし
利根町は2001年、国が進める認知症予防対策の研究プロジェクトに参加。その際、茨城にある筑波大学の教授が考案したのが、「フリフリグッパー体操」である。
やり方は簡単。音楽に合わせて足踏みをしながら腰を左右に"フリフリ"動かし、同時に手拍子をしながら、腕を大きく開いて閉じる"グッパー"運動を繰り返す。
「町でこの体操を知らない人はいません。誰でもできる手軽さが、受けてるのかもしれません」と語るのは、市川英夫さん(副支部長)。町内各地で体操を推進・運営するボランティア団体の代表である。
市川さんは2009年に、60歳で電子部品メーカーを定年退職した。
「仕事が無くなると、学会活動以外やることなくて(笑い)。初めは自分の健康のためにも、体を動かそうと思って始めました。自分より年上の方が、元気に体操しているのを見ると負けてられないなって思います」
現在、地元自治会の役員も頼まれ、会長代行を担う。
「敢闘会の中には、趣味を生かして、地域でサークル活動などをしている人が多くいますよ」
市川さんに紹介された壮年部員の自宅を訪ねてみると、4人の壮年が集まってくれていた。
75歳になる深田嘉男さん(支部壮年長)はギターを弾いたり、仕事で培った英語や中国語を使って留学生と交流したりしている。
80歳の川端道信さん(副本部長)は、卓球とハーモニカのサークルに所属。76歳を迎えた浅野好巳さん(副支部長)は別のハーモニカのサークルで会長を務めている。3人は大きな会合があると即席のバンドを結成し、合奏を披露することもあるそうだ。
4人目の齊藤栄さん(副創価長〈副ブロック長〉)は深田さんらの励ましを受け、学会活動に参加するようになったという。「敢闘会に誘われていなければ、ずっと家に引きこもっていたかもしれません」と語る齊藤さんに、敢闘会の魅力を聞いてみた。
製造会社で主に設計業務を担当していた齊藤さんは、59歳で肺がんを患った。治療に専念する中、60歳の定年を迎えた。手術を終え、退院した齊藤さんを、深田さんらがたびたび訪問して励ましてきた。
「仕事のない空虚感と術後の不安を抱えていたので、何度も会いに来てくれたのがうれしかった。敢闘会の会合に行くと、同じような悩みを持つ人、いろんな仕事をしてきた人がいて、とても励みになります。特に、身近に何でも相談できる人ができたというのが、ありがたい。以前は、"このままどうなるのかな"という漠然とした不安がありましたから」
深田さんが「最初に比べると、ずいぶん元気になったよね」とうなずくと、「そうかなぁ」と照れる齊藤さん。
「元気になっていく齊藤さんを見ると、こっちも元気になるよ」と深田さん。「齊藤さんは今年67歳でしょ。60代なら、まだまだ若い。これから何だってできるよ。私たちから見れば、青年部みたいなもんだ。いや、未来部かな(笑い)。"敢闘会未来部"だね!」
すかさず齊藤さんが「未来部はないでしょ」と言うと、その場に笑いがはじけた。
昨年は、任用試験にも合格した齊藤さん。
「自分の中に芯ができた感じがします。"どう生きるか"など、これまで深く考えたこともなかった。『教主釈尊の出世の本懐は人の振舞にて候けるぞ』(御書1174ページ)の御文が好きです。何ごとも、自分の行動に気を配るようになりました」と語った。
ハーモニカサークルで高齢者施設を慰問する浅野さんに、地域貢献への思いを聞いた。
「退職後、地元に恩返しをする思いで、積極的に地域の人と交流することを心掛けてきました。社会福祉協議会の集まりで、町民が少しでも長く幸福に暮らせるよう、町の福祉向上について語り合ったこともあります。町に出て行動してみると"地域の発展に貢献したい"という人とたくさん出会えました。皆さんからたくさんの触発を受けるのが楽しいです」
川端さんがうなずく。
「そうそう。いろんな人と会うことが、私たちの元気の源だよね! 今、こうして誰とでも心を通わせることができるのは、学会活動の薫陶のたまものだと思うよ」
今月21日、布川支部の敢闘会の集いに参加した。雨にも負けず、8人が集っていた。
初めに20分間の唱題。息の合った力強い声が部屋に響く。次にモバイルSTBの番組を視聴し、聖教新聞の「わが友に贈る」を全員で唱和した。
「広布に生きる人生は/毎日が新しい出発なり。/前進だ! 挑戦だ!/『今』この瞬間から/みずみずしい決意で!」
その通りだとばかりに皆がうなずく。
互いの近況を報告し合った後、最後に今年80歳を迎える細田尚孝さん(副本部長)が、サックスで見事な演奏を披露した。パソコンを操作し、伴奏用の音源を作ったりもしているという。
「私は71歳で、これ(サックス)を買いました。挑戦に手遅れはない。どうせやるならと、週に1回、音楽教室に通って、演奏指導を受けています。介護施設などでも吹きますが、喜ばれるたびに、新たな出会いが広がります。それがうれしい」
池田先生は、小説『新・人間革命』につづっている。「かつては、定年後の生活を"余生"ととらえる人が多かった。しかし、これからは、長年培ってきた力をもって、地域に、希望を、活力を与える"与生"であらねばならない」
敢闘会のメンバーの姿は語っている。物事を始めるのに、遅すぎるということはない、と——。