2017年5月6日土曜日

2017.05.06 わが友に贈る

「賢者はよろこび
愚者は退く」御聖訓。
いかなる困難な壁も
喜び勇んで立ち向かう。
その人が真の勝利者だ!

日厳尼御前御返事 P1262
『水すめば月うつる風ふけば木ゆるぐごとくみなの御心は水のごとし信のよはきはにごるがごとし、信心のいさぎよきはすめるがごとし』

☆女性に贈ることば 五月六日
木も大きな花を咲かせ、皆の心を楽しませてくれる。
人間も、何か人のためにならねばならない。

☆今日のことば365 五月六日
ちょうど、人生は、マラソンのようなものである。はなばなしく、五千メートルまでトップを走っていても、倒れてしまっては意味がない。九千九百メートルまで一番で拍手を送られていても、そこで失格すれば負けである。最後まで走りつづけた人だけが、人生の勝利者といえる。一番、二番ということは問題ではなくて、ゴールを目ざして、最後までがんばりきることである。

☆誉れの学園 世界市民を育む創価教育 第11回 語学の翼 2017年4月26日
◇多様性を尊重する"心の国際人"
東京・小平市の創価学園が開校した年(1968年)の12月、栄光寮の会食会が開催されている。「アフリカの人種問題を解決したい」と決意を語る生徒に、創立者・池田先生は、こう助言した。
「語学を勉強しなさい」「それができる裏付け、実力があり、理想を実現できる武器がなければならない。その武器は何か。絶対条件として、これは語学なのです」
先生の指針を基とする「語学習得」への果敢な挑戦は、創立以来の伝統となった。
今日の学園生は、語学を「学びの目的」ではなく、「学びのツール(道具)」として駆使しながら、英字新聞コンテストや模擬国連の国際大会、英語ディベートの全国大会などでも高い評価を受けている。
今月、長崎で開かれた、日米露3カ国の高校生による核兵器廃絶問題に関する国際会議「クリティカル・イシューズ・フォーラム」(主催=ミドルベリー国際大学院モントレー校ジェームズ・マーティン不拡散研究所)には、2年連続で、東京高と関西高の生徒が日本代表で出場。特定のテーマに基づき、研究成果を英語で発表し、米露の生徒とも意見を交換した。

学園の創立は、日本で海外渡航が自由化された3年後であり、当時の日本人出国者は年間約27万人〈以下の統計数は、「日本政府観光局(JNTO)」のウェブサイト〉。外国人訪日者の数も年間約48万人であったが、国際化の進展に伴い、日本社会も変容している。
昨年、海外に渡った日本人は1700万人を超え、外国人訪日者数は、2400万人以上。今後、海外に出ずとも、外国人との交流の機会は、増え続けるだろう。
その一方で、こんな指摘もある。単一民族に近い日本人には、外国人を「よそ者」として排他的に見る一面がある、と。国内の国際化に日本人の心が追い付いていないのでは、と危惧する声も少なくない。
未知の国際化時代に突入する日本人が、備えるべき能力は何か。日本国際理解教育学会の多田孝志元会長は、こう論じる。
「文化の多様性への関心をもち、異文化をもつ人々との相互理解を図り、相互浸透を受け入れ、彼らと積極的に交流し、共生できる人間の育成が必要となり、教育への期待となっている」(『グローバル時代の国際理解教育』明石書店)と。
語学はもとより、「共生の精神」を育むことが、時代の要請であるといえよう。
約30年前、池田先生は学園生に、「大事なことは語学を身につけながら、同時にその国の人の考え方を知り、心を学んでいくことである」と呼び掛けている。
世界に羽ばたく"心の国際人"の育成へ、語学と人間性の"両翼"を鍛えるとの先生の教育方針は、すでに、80年代に示され、学園の授業に反映されてきた。
東西の学園では、多様な国の人々との触れ合いを重視し、先生の理念を体現している。
その第一の例は、多言語授業である。
東京高の学校設定科目「国際理解」では、韓国、スペイン、ドイツ、中国、ロシア、フランスの6言語の授業が、3年生の選択科目として開設され、大学での本格的な語学学習への導入的な役割も果たしている。
1、2年生の学習意欲にも応じ、全学年を対象として、放課後には、6言語を学ぶ研究会が活動している。5言語を教えるのは、その言語を母語とする外国人講師だ。ウラジオストク出身のロシア語講師は、学園生との出会いの印象をこう語った。
「私が教員になる前、初めて創価学園の授業を見学した時、初対面で緊張していたら、学園生が気さくに声を掛け、温かく迎えてくれました。"この子たちの心には国境の壁なんてないんだ"と感動し、このように豊かな人間性を育てる創価学園の教員になりたいと思ったのです」
授業では、各講師が出身国の社会事情や生活習慣、独自の文化などについて、自身の体験を交えながら、生徒に紹介する。
そうした経験を踏まえ、学園生が発信する言葉は具体性を帯び、説得力を増す。
昨年、人民中国雑誌社、中国駐日大使館等が主催した「全日本青年作文コンクール」では、東京高の生徒が、日中友好の思いをつづり、優秀賞に輝いた。中国への研修旅行に招待され、生徒の作品は「人民中国」誌に掲載される。同じく昨年に行われた、韓国の延世大学等が主催する、第25回「外国人ハングル白日場大会」でも、東京高の生徒が優秀賞を受賞している。
第二の例として、創価大学の留学生との交流授業が挙げられる。東西の創価小・中・高校の6校全てで行われているものだ。
東京創価小学校(小平市、国分寺市)は、4、5年次に留学生と交流する。
教員が、「どうして留学生の人たちは、創価小学校に来てくれるのかな?」と問い掛けると、児童から「日本語や日本文化を学ぶため」など、多くの意見が出る。
そして、児童は、留学生の側に立って、どう迎えれば喜んでもらえるかと考え、日本語や漢字の穴埋めクイズを作るなど、創意工夫の"おもてなし"で歓迎する。
児童の中には、留学生に日本語が伝わらず、小さな体を懸命に動かし、身ぶり手ぶりで、思いを表現している子がいた。
留学生も全身を耳にして、児童の思いを受け止める。伝えたい、分かりたいと、向き合う中で、相互理解の心が育つのだ。
この出会いの2週間後には、5年生の児童たちが創大を訪問。今度は、留学生たちが児童を迎え、出身国の文化を紹介し、創大のキャンパスを案内してくれる。
関西創価高校(大阪・交野市)では、留学生と共に小グループをつくり、英語のポスター制作を行っている。留学生が母国の社会問題からテーマを抽出し、学園生と英語で議論。課題の分析と解決案をポスターにまとめ、評価し合っている。
これまで、約10度、学園生との交流会に応募し、参加してきたインドからの創大留学生アローラ・トゥシタさんは語る。
「学園生の特色は、外国人へのオープン(開放的)な姿勢だと思います。私が困らないようにと、こまやかな配慮をしてくれる学園生を見ていると、私をインド人としてではなく、『一人の人間』として大切にしてくれているんだと実感します。また、学園生の英語の学習に対する熱心さ、異文化への関心の高さは、通訳を目指す私に、触発を与えてくれるのです」
トゥシタさんは、交流会の後も学園生と友好を深めている。その中には、トゥシタさんとの出会いを契機にインドへの留学を決意し、今秋、交換留学生として、デリー大学に向かう関西高の卒業生もいる。

なぜ、学園生の心には、多様性を尊重しようとする思いが芽生えるのか。それは、常に「創立者」の振る舞いを、自身の行動の規範としているからであろう。
東西冷戦の時代にあって、池田先生は、中国やソ連など共産主義国にも渡り、平和と友好に向けた人間外交を貫いた。あらゆる差異を超え、人間と人間を結びゆく先生。その信念と行動は、世界市民を目指す学園生にとって、最高の「教科書」である。

◇池田先生の指針
たとえば、優れた外国の本の登場人物と対話をかわし、"友だち"になる。そうすれば、その国の「心」を深く知った人ともいえる。また世界中の人々に通じる普遍的な「人間性」を磨いたことにもなる。
その人は、たんに語学力を鼻にかけ、さも国際通のように見せかける傲慢な人になるより、よほど"心の国際人"であるといえまいか。
もちろん、語学は絶対に必要である。大事なことは語学を身につけながら、同時にその国の人の考え方を知り、心を学んでいくことである。
(1989年10月10日 関西創価小・中・高校合同第8回健康祭)