2015年2月16日月曜日

2015.02.16 わが友に贈る

◇今週のことば
「一文一句なりとも
かたらせ給うべし」
地道な対話の持続こそが
負けない自分をつくる。
希望の連帯を広げる。
2015年02月16日

聖人御難事 P1190
『月月日日につより給へすこしもたゆむ心あらば魔たよりをうべし』

◇人生の座標
勇気がある人は力強く、前へ前へ進んでいける。自分が描いていた「山」を登り、「谷」を下り、自分の目指す理想へ、希望へと向かっていける。まさに「勇気」の二字が「力」となっていく。

☆100文字の幸福抄
新たな社会の希望の活力は、
女性のソフト・パワーである。
女性の知恵が発揮されれば、
職場であれ、地域であれ、
創造性が漲り、調和が図られていく。
女性が安心して伸びやかに働ける社会を
皆で作っていくことが大切である。

☆第40回「SGIの日」記念提言 「人道の世紀へ誓いの連帯」(下)�
◇共通のプラスを一緒に生み出す
加えて、私が期待を寄せるのは、ここ十数年の間に積み上げられてきた3国間協力です。99年に環境分野での3国間協力がスタートして以来、他の分野でも協力が模索される中、今や18の閣僚級会議を含む「50以上の対話メカニズム」と、「100を超える協力プロジェクト」が存在するまでになりました。
さらなる発展を期すためには、政治的な緊張が高まった3年前から途絶えたままになっている、「日中韓首脳会談」の再開が強く望まれます。国連の新目標の採択を控えた今、できるだけ早い時期に、「日中韓首脳会談」を行い、緊張緩和の流れを確実にするとともに、「持続可能なモデル地域協定」の検討に着手してはどうでしょうか。
戦後70年を迎える本年、過去の教訓を礎に「不戦の誓い」を世界に向けて宣言した上で、国連の新しい挑戦を後押しする地域協力を通じて、崩れない信頼を築く出発点にすべきであると呼び掛けたいのです。
私がこれまで、中国の周恩来総理や韓国の李寿成元首相をはじめ、両国の指導者や識者と対話を重ねる中で共に展望してきたのは、日本と中国、また日本と韓国が友好を深め、地球益・人類益のために力を合わせて行動する姿でした。
数世紀にわたって対立してきたフランスとドイツの和解の道を開くために尽力したジャン・モネは、かつて欧州各国との協議の場でこう呼び掛けました。
「我々は共同作品を作るためにここにいるのだ。プラスを得るために交渉するのでなく、共通のプラスが我々のプラスなのだ」(『ジャン・モネ—回想録—』)
すでに3カ国の間には、2011年9月に設置された日中韓三国協力事務局=注6=があります。
その役割の一つに「潜在的な協力案件を探求し及び特定すること」とありますが、国連の新目標に関わるあらゆる分野で「共通のプラス」を生み出す活動を、幾重にも広げるべきではないでしょうか。
先述したように、SGIでは、仙台での国連防災世界会議の関連行事として、日中韓3カ国の市民社会の代表が集い、防災と復興における地域協力を模索する会議を行います。
同事務局の協力などを得て開催するものですが、国連の新目標を後押しする地域協力は、政治のレベルのみならず、草の根の民衆レベルでも積極的に裾野を広げてこそ、大きな実りをもたらすと確信します。
そこで、この裾野を広げるための提案を行いたい。
一つめの提案は、青年交流の拡大です。
フランスとドイツの戦後史を顧みる時、1963年のエリゼ条約を機に本格化した青少年交流の意義が、よく指摘されます。
「積年の敵意は深い友情に場所を譲ることができる」——これは、条約締結50周年に際し、フランスのファビウス外相とドイツのヴェスターヴェレ外相が共同で寄稿した一文に記された印象深い言葉です。
この言葉通り、これまで800万人以上の青少年が交流する中で、両国を結ぶ社会的な紐帯が形づくられてきたのです。
日中韓の間でも8年前から青少年交流事業が始まっていますが、戦後70年を機に規模を大幅に拡大することを呼び掛けたい。高校生や学生を対象にした教育交流や文化交流の拡充はもとより、国連の新目標や3国間協力に関する活動に、青年たちが積極的に携われるような「日中韓青年パートナーシップ制度」を設けてはどうでしょうか。
環境問題や防災など共通の課題をめぐって苦労を分かち合い、一緒に汗を流す経験は、若い世代にとって"自分たちの手で未来を切り開く"という何物にも替え難い人生の糧となるだけでなく、互いの国を将来にわたって結ぶ信頼の礎になると思うのです。
創価学会の青年部でも、85年に中華全国青年連合会(全青連)と交流議定書を結んで以来、30年間にわたって往来を続けてきました。昨年5月には、今後10年間に関する交流議定書に調印し、友誼の潮流をさらに高めることを約し合いました。
日本と韓国の間でも、九州青年部を中心に、さまざまな機会を通じて交流を広げてきました。顔と顔とが向き合う交流で育まれた青年のネットワーク以上に、「平和と人道の21世紀」を築く強靱な力はないと信じるからです。

◇自治体同士での姉妹交流を倍増
二つめは、国連の新目標の達成期限となる2030年に向けて、「日中韓における自治体の姉妹交流の倍増」を目指すことです。
思えば40年前、周総理にお会いした時、双方の最大の関心事は、いかに両国の民衆の友好を深めるかという一点にありました。
国交正常化提言(68年9月)で私は、「国交の正常化とは、相互の国民同士が互いに理解しあい交流しあって相互の利益を増進し、ひいては世界平和の推進に貢献することができて、初めて意義をもつ」と訴えましたが、周総理も、民衆と民衆が心から理解し合い、信頼し合う関係になってこそ真に友好は結ばれると考えておられたからです。
その信念の背景には、若い頃に留学を通して日本で1年半にわたって生活した時の経験があったのではないかと思われます。
中国からの留学生とも交流していた思想家の吉野作造は、約100年前、周総理が留学する前年(1916年)に、険悪化する日中関係を見据えつつ、次のように述べていました。
「国民的信任尊敬の関係があれば、時々個々の政治上経済上の問題に付て反目や誤解やがあっても、それは恰も風のまにまに起る大海の上の漣波の如きものであって、其底を流るる所の親善の関係と云うものには何等の動揺を見ないのである」(『吉野作造選集8』)
私の年来の信条も同じであり、国籍は違っても互いを大切に思い、幸せを願う心の交流を幾重にも根付かせていく中で、友好の大樹はどんな風雪にも耐え、豊かに枝葉を茂らせて、未来へと受け継がれていくのではないでしょうか。
これまで、日中では356、日韓では156、中韓では151にのぼる自治体の姉妹交流が結ばれています。今後さらに姉妹交流を拡大し、一対一の友情の絆を育む潮流を共に高めていくべきだと思うのです。

◇国籍は「世界」
以上、三つの柱に基づいて提案を行いましたが、国連の新目標をはじめ、多くの課題に取り組む最大の原動力となるのは「民衆の連帯」にほかなりません。
思えば40年前の1月26日、グアムでSGIが発足した時、私の胸に去来していたのは、"地球上から悲惨の二字をなくしたい"との戸田第2代会長の熱願であり、「地球民族主義」のビジョンでした。
発足の場となった会議で行った署名の国籍欄に、私が「世界」と記したのも、師の思いを果たす誓いを込めてのものだったのです。
会議では、51カ国・地域から集まったメンバーとともに採択した宣言で、SGIの基本精神を次のように確認し合いました。
「平和創出のために、政治や経済の絆より強いものは、生命の尊厳に目覚めた民衆と民衆の心と心の連帯である」
「永続的な平和は、人類のすべてが幸福を享受し得て、初めて実現する。したがって、われわれは、人類の幸せと、その未来の存続に『何をもって貢献できるか』という慈悲の理念を、今後の新しい思想の因子としていくことをめざしていく」
192カ国・地域に活動の輪が広がった今も、その精神は変わりません。
今後も、対話と友情の拡大を基盤に、「核兵器と戦争のない世界」の実現をはじめ、悲惨の二字をなくす挑戦に全力で取り組み、すべての人間の尊厳が輝く世界への道を切り開いていきたいと思います。