人間革命の信心だ。
わが胸中に希望の未来を
"なりたい自分"を
自由自在に描き出そう!
真剣な祈りを込めて!
南条兵衛七郎殿御書 P1497
『大悪魔は貴き僧となり父母兄弟等につきて人の後世をば障るなり、いかに申すとも法華経をすてよとたばかりげに候はんをば御用いあるべからず』
【通解】
大悪魔は貴き僧となり、父母・兄弟等にとりついて、人の後世を妨げるのである。どのように言っても、法華経を捨てよと欺こうとするのを用いてはならない。
〈寸鉄〉 2019年8月30日
青年研修会が開幕!65カ国・地域270人の若き主人公と共に我らも勇躍
列島に対話の花咲かせる座談会。体験あり決意あり。皆が輝く触発の会座
「仏種は縁に従って起る」御書。さあ友情拡大へ。小さな出会いが人生の宝に
苦難があって初めて我々の善は実となる—哲人。激闘が若人の人格を磨く
災害時の食料・日用品を備蓄する家庭半数以下。教訓胸に刻みチェック!
☆開学20周年へ 未来を開くアメリカ創価大学 第3回 "希望大陸"の人材たち
◇アフリカに昇る人間教育の太陽
「アフリカの奇跡」と呼ばれる急激な経済発展を遂げた東アフリカのルワンダ。
この国のある高校で今、アメリカ創価大学(SUA)が"話題"になっている。
首都キガリから南へ車で約1時間、ガショラという地域に立つ女子高校「ガショラ・ガールズ科学技術アカデミー」である。グローバルリーダーの育成を目指し、2011年に開校した進学校だ。
SUAでは現在、同校を卒業した3人の学生が学んでいる。
きっかけは5年ほど前にさかのぼる。同校の生徒がインターネット検索でSUAの存在を知り、受験を決意。だが、SUAという大学の名を知る教職員は一人もいなかった。そこで教職員の代表が、進学に値する大学かを見極めようと、SUAを視察。以来、充実した教育環境が整うSUAへの進学を生徒たちに熱心に勧めるようになった。
「高校の先生たちは、"平和を築く世界市民の育成"というSUAの理念に心から感動していました。私たちの高校と同じ理想がSUAにあると聞き、とても魅力を感じました」
3人のうちの一人、レベッカ・ウムトニさん(2年)は振り返る。
多数派民族のフツと少数派民族のツチなどが暮らすルワンダでは、1994年に民族紛争が勃発。フツの政府軍や民兵がツチの人々らを次々と殺害した。この「ルワンダ虐殺」の犠牲者は約3カ月間で80万から100万人といわれ、ウムトニさんの親族も巻き込まれた。
学校では、憎しみ合う民族同士が一緒に学んでいた。双方にトラウマがあり、虐殺の話になると皆が沈黙した。
「私たちの世代が分断を乗り越え、平和を築かなければならない——それをずっと考えてきました。SUAなら、そのために必要な知識、スキル、そして友情の大切さを学ぶことができると確信しました」とウムトニさんは力説する。
リンダ・ムテシさん(2年)も、平和への問題意識をもってSUAに入学した一人だ。
女子高校時代、国連の会議をシミュレーションする「模擬国連」に所属。ルワンダ虐殺の背景にある複雑な問題を知るにつれ、国際関係学に興味を抱いた。
ルワンダは多言語国家であり、現在の教育言語は英語である。高校で英語を中心に学んだムテシさんは、SUAの「外国語教育の重視」に強く引かれたという。
SUAでは、学生全員が日本語、中国語、スペイン語、フランス語のいずれかを学び、3年次に1学期間、その言語圏の地域に留学する。
ムテシさんは言う。「SUAでフランス語をマスターします。将来は外交官になり、祖国の発展に貢献したい」
◇創立者の心継ぎ
創立者の池田先生は、南アフリカのマンデラ元大統領をはじめ、アフリカを代表する名だたる識者たちと友好を深め、折々に「21世紀はアフリカの世紀」との信念を語ってきた。
SUAの卒業生の中には、この創立者の思いを受け継ぎ、アフリカ諸国で社会のために汗を流す友がいる。
ミツアキ・ヒライさん(5期)は、国連児童基金(ユニセフ)のジンバブエ事務所に勤める。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校で公衆衛生の修士号、ジョージ・ワシントン大学で博士号を取得。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)で2年半働いた後、今の仕事に就いた。
ジンバブエに派遣された直後の本年3月、サイクロン(強い熱帯低気圧)が発生。水没した被災地に足を運び、飲料水の確保・配給をサポートしてきた。
ヒライさんは学生時代、ウガンダやケニアでエイズ予防などのボランティア活動に取り組んだ経験がある。以来、「人間の幸せとは何か」を深く考えるようになったという。
水道も電気もないウガンダの農村では、ある家族が、一本のろうそくの火を囲んで夕食を取っていた。だがそこに、わびしさはかけらもなく、明るい笑い声に包まれていた。
ケニアでは小・中学校を巡り、病気予防の"手洗い運動"を広めた。どの地でも、身を乗り出して耳を傾け、積極的に発言する子どもたちがいた。学びへの意欲と感謝の心にあふれていた。
「現地の人々の誠実さ、明るさに、元気をもらう毎日です。"アフリカの世紀"とは、"アフリカの人々の人間性に学ぶ世紀"だと感じています」
今後は、地元のNGO(非政府組織)団体とも協力し、病院の水衛生の環境改善などに携わる予定だ。
「"健康は水から"です。アフリカの人々の大切な命を守れるよう努めていきます」
◇
2016年、アフリカの移民と国内避難民の帰国や社会復帰をサポートする、欧州連合(EU)と国際移住機関(IOM)の共同プログラムが始動した。
SUA2期のミツエ・ペンブロークさんは同プログラムの職員。ケニア・ナイロビのオフィスを拠点に、アフリカ東部地域(ジブチ、エチオピア、スーダン、ソマリアなど)を担当する副コーディネーターとして、各地に避難していた人々を支援する。
1児の母でもあり、子育てと仕事の両立に奮闘する日々だ。
コロンビア大学でソーシャルワーク分野の修士号を取得後、NPO(非営利団体)でアフリカ・マラウイの教育・開発支援に従事した。その後、IOMの職員としてソマリア担当を経て、昨年から現職に就いた。
一方、IOMのソマリア担当の後任には、SUAの後輩であるユウコ・トミタさん(5期)が就任。日頃から連絡を取り、励まし合っている。
アフリカが抱える諸問題は、一朝一夕に解決できるものではない。厳しい現実を前に、"自分に何ができるのか"と失望する時もある。だが、そんな心を打ち破ってくれるのは、たくましく生きるアフリカの人々の姿だという。
「ソマリアでは、30年近くも内戦が続いています。頻繁にテロがあり、街が破壊されます。ですが翌日になると、多くの人が黙々と街の再建に汗を流します。皆、何があっても負けず、声を掛け合いながら忍耐強く進んでいます」
移民・国内避難民支援といっても、それぞれ状況が異なり、個別のニーズに即した対応が必要となる。ゆえにペンブロークさんは、可能な限りカウンセリングの時間を設け、一人一人に寄り添った支援を推進できるよう、責任ある立場で適切な手を打っている。
「池田先生は、本年のSGI提言の中でも、『人間中心の多国間主義』の人道支援を訴えています。先生の提言の実現に仕事で携わることができ、大きなやりがいを感じています。"アフリカの世紀"を開くため、同窓のメンバーと共に力を尽くしていきます」
◇マータイ棟
池田先生は2005年2月、アフリカ人女性初のノーベル平和賞受賞者であるケニアのワンガリ・マータイ博士を、東京の聖教新聞本社で歓迎した。
「15年前、この場所で私は『アフリカの人権の父』であるマンデラ氏を、多くの青年と共に、お迎えしました。きょうは、『アフリカの環境の母』であるマータイ博士を、多くの青年と共にお迎えすることができ、これほどの喜びの歴史はありません」
会見では、SUAにマータイ博士の名を冠した「イチジクの木」を植樹することを提案し、「将来、創価大学とアメリカ創価大学に訪問を」と念願した。
博士は2011年に逝去し、SUA訪問は実現していない。だが、開学10周年に当たるこの年、SUAに4階建ての新教育棟が完成し、「マータイ棟」と名付けられた。
「『マータイ棟』と刻まれた校舎を見て、私も親族もとても驚きました。SUAには『ガンジー棟』もあります。歴史的な偉人と並んで、ここまでアフリカの女性がたたえられていることに誇りを覚えました」
マータイ博士と同じケニア出身のエリザベス・ムトニさん(4年)は述懐する。
大学1年の時、SUA伝統の「インターナショナルフェスティバル」でショックを受けたことがある。世界の多様な文化のパフォーマンスや模擬店が並ぶ中、アフリカのものが一つもなかったのだ。
その後、SUAでアフリカ文化の価値を再発見することを目的としたクラブ団体「黒人学生ユニオン」を発足。定期的に集まりながら、アフリカの歴史や文化を学び合っている。
将来は、企業コンサルタントとなり、アフリカの起業家たちをサポートしたいというムトニさん。
「SUAほど、学生が主体となって学べる大学はありません」と笑顔を輝かせる。
◇
SUAでは現在、世界各地から集った約400人が学んでいる。このうち15人が、ガーナ、ウガンダ、ルワンダ、エチオピア、ザンビア、ケニア、モロッコからのアフリカ人学生だ。
「21世紀はアフリカの世紀」との創立者の信念が脈打つSUAは、"希望大陸"の逸材たちが集まる新時代のキャンパスへと発展している。