地道な努力なくして
偉大な人間革命はない。
"足下に泉あり"
自らの課題に向かって
一つ一つ勝ち超えよう!
富木殿御消息 P949
『余人の中せんと候人候はば申させ給えと候、貴辺より仰を蒙り候へ、御指合にて候はば他処へ申すべく候』
【通解】
余人の中で引き受けようという人がいたら、その人にお願い申しあげたい。貴辺が引き受けてくれまいか、御返事をいただきたい。もしあなたにさしさわりがあれば、他の人に申しつけよう。
☆先生の指導
御書を拝すると、大聖人は、会場の提供者に、それはそれは、こまやかな配慮をされている。
ある会合を開く際、門下の都合が悪くなった。この門下が会場を担当していたと思われる。
それを聞かれた大聖人は、弟子の富木常忍にあてて、「(都合が悪くなった門下から)どなたか引き受けようという方がいれば、お願いしていただきたいとのことです。
あなたの都合はどうか、ご返事をください。(もしあなたに)お差し障りがあれば、他の人にお願いしましよう」と丁重に、心を砕いて依頼されている。
大聖人が御自ら、これほど、細かく気を配られた。私たちは、この大聖人の御心を深く拝して、会場を提供してくださる同志の方々に、真心と礼儀を尽くしていかねばならない。
〈寸鉄〉 2019年8月7日
池田博士の粘り強い平和行動が新たな地平開いた—総長。人間主義の旭日
自分と同じくらい人を大事にできたら人材は出る—恩師。激励の手緩めず
「法華経の題目は一切経の神・一切経の眼目なり」御聖訓。唱題の人は無敵
帰省・行楽のシーズン。長距離運転に焦りや疲れは禁物。余裕ある計画で
夏風邪に注意。嗽・手洗い・冷房の温度調整など賢く。油断なく炎暑対策を
☆希望ミーティング 充実の「未来部躍進月間」のために(下)
◇子どもと一緒に「知る」「感じる」「考える」夏に
家庭教育懇談会から「安心」広げ
〈出席者〉
高梨幹哉(教育本部長。元高校教諭)
川原恵子(教育本部女性部長。婦人部・主任女性部長)
斎藤実(人間教育実践記録センター部長。中学校校長)
山形陽子(女子青年教育者委員長。幼稚園教諭)
赤須清志(未来部長。アメリカ創価大学卒)
高梨 充実の「未来部躍進月間」とするために——教育本部と未来部の代表が語り合う「希望ミーティング」�では、主に学会の組織として、創価家族として未来部員とどう関わっていくかについて意見を交換しました。今回は、それぞれの家庭における関わりを巡って話を進めましょう。
川原 学会のお父さん・お母さん方は普段、とても忙しい分、この夏はぜひ、ゆっくりとお子さんと向き合う時間をつくってほしいですね。
斎藤 「子どもと一緒に」という点が、とても重要ではないでしょうか。池田先生が、語られていたことがあります。「夏休みは勉強も大事だが、家の手伝いなどに挑戦するのも大事なことだ。『あれもしよう』『これもしよう』と計画しても、計画倒れに終わることも多い。『何か一つ』やり抜くことが、子どもの自信につながる。夏休みに家族で旅行して、思い出をつくるのもよいことだが、親子でいっしょに何かに挑戦するのも尊い思い出になる」と。
◇読書に挑戦!
赤須 私は「読書」をお勧めします。自分の家族の話になってしまって恐縮なのですが……。自分の幼少期の記憶に一番残っていることは、母が毎晩のように「絵本の読み聞かせ」をしてくれた姿なんです。おかげで、本がとても好きになりまして。小学校に進んでからも母に連れられて、2人の弟も一緒に、近所の図書館に通い詰めました。自転車のカゴいっぱいに本を積んで、「早く家に帰って読みたいね」と笑顔で語り合った光景は忘れません。小学校時代に6000冊の本を読んだことは、大きな自信にもなりました。私は塾に通ったことは一度もないまま大学に進学したのですが、幼少期の読書経験が「学びの土台」となったように思います。
山形 お母さんご自身が本が好きで、一緒に読書に励んでおられた姿に、感銘を覚えます。やっぱり「本を読みなさい」「勉強しなさい」と口で言うよりも、親御さんが自らの姿で示すことが大切ですね。イソップ物語の「カニの親子」という寓話を思い出しました。カニのお母さんが子ガニに「どうしてお前は、そんなふうに横歩きばかりしているの。ちゃんと前に向かって歩きなさい」と注意すると、子ガニが「じゃあ、お母さんがまず、真っすぐ歩いてみてよ」と、返すという……。
川原 とても耳が痛い物語です(苦笑い)。親が思う以上に、子どもは親の背中をよく見ているんですよね。かといって「まず私がやらなきゃ!」と、背伸びをする必要はありません。「これを機に私も一緒に楽しもう! 成長しよう!」くらいの気持ちで、肩の力を抜いた方が、子どもたちも「楽しそうだな」「自分もやってみようかな」と、思うはずです。次元は異なりますが、信心の継承にも通じるのではないでしょうか。私も子育て真っ最中だった頃、学会活動から帰宅した時に心掛けていたことは、笑顔で「楽しかったこと」「感動したこと」を子どもたちに伝えることでした。
◇自然体験こそ
斎藤 夏休みならではという意味では、キャンプなどの自然体験の機会を、家族で持つこともいいでしょう。宿泊する時間がとれなくても、ぜひ、自然と触れ合うひとときを持ってほしいですね。森を散策したり、虫や魚を捕まえたり、満天の星を見つめたり、たき火をしたり……。日常生活では巡り合えない経験を通して、子どもたちの好奇心は刺激されます。思わぬアクシデントもあるでしょう。それでも頭を使い、試行錯誤を繰り返していくことで、子どもの「思考力」「判断力」も育まれます。小学校高学年から中学校にかけて学力が上がっていく子の話を聞くと、「小さい頃、家族でよくキャンプに行っていた」「自然の中で思い切り遊んでいた」と語る子が少なくありません。
赤須 「思考力」「判断力」は、2020年度の大学入試改革を通して、ますます求められてくる力でしたね。ともすれば私たち大人は「学ぶ」というと、何かしらの物事を「知る」ことに重きを置きがちです。もちろん、それも大事でしょう。けれど、今の子どもたちがそれ以上に必要としていることは、「遊び」や「自然体験」を通して得られる感動であったり、気付きであったりするのではないでしょうか。
山形 私も、そう思います。友達と遊んだり、自然の中で体を動かしたりした経験が豊かな子ほど、自分の思いや考えを「表現する力」も、豊かになるように感じています。
高梨 そうですね。自然に触れるという観点で思い出すのは、アメリカの著名な生物学者レイチェル・カーソンの言葉です。彼女は「知る」こと以上に「感じる」ことの重要性を訴えていました。少し長くなりますが引用させてください。
「たとえば、子どもといっしょに空を見あげてみましょう。そこには夜明けや黄昏の美しさがあり、流れる雲、夜空にまたたく星があります。子どもといっしょに風の音をきくこともできます。それが森を吹き渡るごうごうという声であろうと、家のひさしや、アパートの角でヒューヒューという風のコーラスであろうと。そうした音に耳をかたむけているうちに、あなたの心は不思議に解き放たれていくでしょう」
「台所の窓辺の小さな植木鉢にまかれた一粒の種子さえも、芽をだし成長していく植物の神秘について、子どもといっしょにじっくり考える機会をあたえてくれるでしょう」(上遠恵子訳『センス・オブ・ワンダー』佑学社)
川原 忙しい毎日であっても、心にほんの少しでもみずみずしさを持って身の回りの風景と接すれば、もっと、子どもたちと感動を分かち合えるのかもしれません。御書に「餓鬼は恒河(ガンジス川)を火と見る。人は水、天人は甘露と見る。水は一つのものであるが、果報にしたがって見方はそれぞれ別なのである」(1050ページ、通解)とありますが、私たちの信心も、自らの境涯を高めることによって、物事の捉え方・感じ方を豊かにしていく実践だともいえるでしょう。
◇相談できる場
赤須 未来部育成といっても、根本は自身の境涯革命なんですね。その上で担当者の方々からは、「現代の子どもたちと関わっていく上での具体的なアドバイスがほしい」といった声も、よく聞かれます。
山形 親御さんも同じです。子育てに関する知識はインターネットや本などにあふれてはいるのですが、どれも一般論に終始している場合が多いというか、「私が今、わが子のことで悩んでいる問題への答えではない」というか……。
川原 親御さん自身の気持ちが、いっぱいいっぱいで、子どもと向き合う心の余裕が持てず、誰かに相談するという発想までに至らない——というケースも少なくないように思います。
高梨 親御さんたちのそばに、未来部担当の方々が活動するその地域に、「子育て」や「未来部育成」の悩みについて、何でも語り合い、励まし合える「安心の場」が、今ほど求められている時はありません。地元の学会組織のリーダーの理解のもと、未来本部と教育本部が連携して行う「家庭教育懇談会」(通称「家庭コン」)を開催する意義も、そこにあります。
斎藤 神奈川のある地域では圏ごとに「家庭コン責任者」を設け、かれこれ15年にわたって開催し続けていると聞きました。その結果、大学進学者が飛躍的に増加し、アメリカ創価大学に進学したメンバーもいるそうです。何よりも、親御さんたちが目に見えて元気になり、「よし! 子育ても、学会活動も、また頑張ろう!」と心が軽くなって帰宅できることが「家庭コン」の魅力だと、その地域のリーダーは語っていました。
川原 「家庭コン」は、地区婦人部長さんや支部婦人部長さんなど、「正役職」の方々からも、とても好評です。いつも同志を支え励ます側なので、誰かに相談したり、質問したりする機会が、とても貴重なんですよ。だからといって、決して一方通行ではありません。悩みを打ち明け合うことで、どうすればいいかを互いに考え、共に学び、励まし合う——それが「家庭コン」です。
赤須 文部科学省が打ち出した新しい学習指導要領には、自ら問題を見つけて解決する力を育成する「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)が、導入されていますね。東西の創価高校でも、文部科学省の教育事業「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」の取り組みの中で、この"深い学び"を実践しています。「家庭コン」は、私たち大人にとっての「学びの場」であると同時に、エンパワーメント(内発的な力の開花)を促す場ともいえるのではないでしょうか。
高梨 池田先生は「創価学会の『学会』というのも『学ぶ会』です。『学ぼう』という心で、みんな集っているんです」と語られています。宝の子どもたちのため、私たち大人が子育ての知恵を学び合い、励まし合う——この学会の良き伝統を、風土を、今夏の未来部躍進月間を通して、一層、輝かせていきましょう!