2019年8月19日月曜日

2019.08.19 わが友に贈る

◇今週のことば
「一日の命」は
全宇宙の財宝にも勝る。
勝負は朝の勤行だ。
きょうも題目の獅子吼で
充実の「心の財」を!
2019年8月19日

持妙法華問答抄 P465
『持たるる法だに第一ならば持つ人随つて第一なるべし、然らば則ち其の人を毀るは其の法を毀るなり』

【通解】
持たれる法さえ第一ならば、持つ人もまた第一なのである。そうであれば、その人を毀るのは、その法を毀ることである。

〈寸鉄〉 2019年8月19日
「信心にあかなくして所願を成就し給へ」御書。広布の同志と日々、前進。
教学2級試験へ研さん進む。行学錬磨の尊き青春。皆で求道の若人にエール
国連・世界人道デー。平和と幸福の連帯拡大を。われらは草の根の対話で
信号機のない横断歩道での事故増加。車の一時不停止等で。規則順守徹底
猛暑等による脱水症状で心筋梗塞のリスク増と。小まめな水分補給で予防

☆私がつくる平和の文化 第8回 「平和の文化」を育む教育
インタビュー 昭和女子大学理事長・総長 坂東眞理子さん
「私がつくる平和の文化」第8回のテーマは「『平和の文化』を育む教育」。登場していただくのは、『女性の品格』などの著者で、昭和女子大学理事長・総長の坂東眞理子さんです。教育を通じて「平和の文化」を育むため、一人一人に何ができるかを聞きました。(構成=小野顕一、歌橋智也)

——「平和の文化」を広げるには、あらゆる場での「教育」が重要です。

坂東 おっしゃる通りです。意見が対立した時、自分とは違う意見にも耳を傾ける。暴力を使わずに対話で乗り越えていく。そうした能力を、子ども時代から家庭や学校の中で育てていくことは本当に大切です。それが、ひいては戦争を防ぐことにも繋がります。
日頃から、「あなたはそう思っても、○○ちゃんはこう思っているよ。どうしたらいいんだろうね」と、親が一緒に考えてあげる。例えばテレビでいじめのニュースを見た時は、「周りの人は、何をしてあげられるだろうね?」と語り合いながら、"これでいいのかな?"と自分の問題として捉えられるようにすることが大切だと思います。

——親子の関わりの中で非暴力の土台を築くのですね。

坂東 ただ、今の時代、こうした関わりを親だけに期待するのは困難です。かつては祖父母、ご近所との関わりも深く、コミュニティーが機能していましたが、現代は親子が孤立しがちです。子育てに行き詰まり、親が子どもを虐待してしまう事件も増えています。家庭内の暴力をなくすには、周りの目やサポートが必要なのです。
だから私は、子育て中の親御さんによく、上手に助けを求める「求援力」が必要だよと語っています。親が助けを求める姿を見せていれば、子どもも「苦しかったら我慢しなくていいんだ」と安心するはずです。

——地域には、どのような関わりが求められますか。

坂東 「あの人、孤立しているんじゃないかな」と気付く感度。他人の痛みに「共感」できる能力。今の社会は、この「共感力」が一層必要になっていると思います。
地縁や血縁が弱くなっている現在、私は、心の通う新しい人間関係を、意識してつくれるといいなと思っています。それを「志縁」と呼んでいます。「支援」の意味も込めています。
地域の団体や同郷の集まりなど、大人たちが職場や社会の肩書を気にせず、「困った時はお互いさま」と思える居心地のいい場所、緩やかなネットワークです。そこに子どもたちも連れてくる。親が複数の居場所を持っていれば、子どもの世界も広がる。小さいうちから、いろいろな考え方を持っている大人と接する機会もできます。
創価学会の皆さんは、新しい「志縁」の場をつくり、互いに愛情をもって接しておられます。ぜひ温かいコミュニティーを育てていただけるよう期待しています。

——最近、70代にエールを送る本を出版されました。

坂東 今、私は自分の同年代に、「褒める力で社会を変えよう」と呼び掛けています。褒めることにはお金が掛かりません(笑い)。そして、孫のいない高齢者も多いので、周りにいる「他人の孫=他孫(たまご)さんを育てましょう」と。
最初は「あの子、元気にしているな」と気に掛ける。そのうち顔と名前が一致し、柔らかい人間関係ができる。その子たちを愛情をもって見守り、もし一生懸命やっているところを見つけたら、褒めてあげる。第三者の大人の言葉は子どもに自信を与えます。

——何歳になっても、人を育てることに貢献できるということですね。

坂東 そのためにも、一生涯、自ら学び続けることが大切です。日本人は「勉強」というと、「就職の役に立つから」「資格を得るため」と、実利を追うためのものと考えてしまう。しかし、学習することの一番の目的は、「なるほど、そういう世界や、考え方もあったんだ」と、自分の視野を広げることではないでしょうか。そこから、違った価値観を持っている人のことも包容できるようになる。「平和の文化」に繋がっていくのです。

●一歩踏み出す勇気を

——今後、社会はますます多様になります。大切なことは?

坂東 人と人、国と国にもいえることですが、相手の文化や価値観を知り、尊重することです。無理に相手に合わせる必要はありません。こういうことを大事にしているんだなと、自分と異なる考えを受け入れる。それが共生社会を築くポイントです。
もう一つは「自分で考える力」です。社会に出れば答えが一つということはありません。多様な世の中になれば、いろんな考えの人と出会うでしょう。だから、常に一つの考えに縛られず、「これもありかな?」と模索し続けてほしい。また、自発的に「もっといいやり方はないか」と考え、提案する力を身に付けることだと思います。

——「平和の文化」を育むため、私たちが心掛けるべきことは何でしょうか。

坂東 人の生き方として、ただ他人に迷惑を掛けず、マイナスをつくらなければいい——それだけで完結する人生は、寂しいと思います。
「頼まれてもいないのに」「別に私がしなくても……」ではなく、ささやかでもいい、何かプラスになること、誰かの役に立つことができないか。そう思って周囲を見渡せば、さまざまな困難に向き合っている方たちが大勢います。勇気を出して直接触れ合えば、必ず手応えがあり、「他人ごと」が「自分ごと」になるはずです。
人間は、常に少し難しい目標を設定し、挑戦することで、生涯、成長できます。失敗するのが怖いからと、100ある力のうち70、80くらいで良しとしたら、使わない筋肉がどんどん衰えていくように、頑張る力も衰えていきます。だから常に、自分がハッと気が付くような経験に挑戦することが大事です。
一人一人が利他の心を持って、「一歩踏み出す」ことだと思います。

ばんどう・まりこ 昭和女子大学理事長・総長。富山県生まれ。東京大学を卒業後、1969年、総理府(現・内閣府)に入省。内閣総理大臣官房参事官、豪ブリスベン総領事、内閣府男女共同参画局長などを歴任。2004年に昭和女子大学女性文化研究所長となり、同大の学長を経て、現職。『女性の品格』『親の品格』『70歳のたしなみ』など著書多数。 

池田先生の指針から
学ぶことは、生きることです。
生きることは、学ぶことです。
そこに、生命の成長があり、人生の幸福があります。
あえていえば、「人は、自らを教育するために生まれてきた」のです。
(「わが教育者に贈る」第3回 地域社会に教育の陽光を〈下〉から)

教育は、「すべての暴力」を封じこめる英知の開発でなければならない。
人間と自然の「かけがえのなさ」を、頭で、心で、肌で、全身でつかんでいる人間を育てなければならない。
そういう教育こそが、平和への根本軌道を建設する「文明の大闘争」ではないだろうか。
(『希望の世紀へ 教育の光』から)

人の「痛み」を想像する
教育者として「平和の文化」を育む青年を取材しました。

「平和って、人を思いやることから始まると思うんです」
そう語るのは、栃木県大田原市内で小学校の教員を務める加納照久さん。加納さんの一家では、祖父・十三男さん(故人)や祖母・寿美子さんの戦争体験が、孫の照久さんまで三代にわたって語り継がれてきた。
「特に祖父は、一家団らんで戦争のドラマを見た時など、『実際はもっと悲惨だ。戦争はきれいごとじゃないぞ』と、実体験を通して語ってくれました」
幼い加納さんは、祖父の膝の上で話を聞き、日常的に平和が語られる輪の中で育った。ゆえに、「戦争も平和も、どこか遠くにあるのではなく、人がつくり出すもの、と思うようになりました」。
大学に進学した加納さんは、卒業論文のテーマを寿美子さんの戦争体験にした。「祖母の経験を残さなければと思ったのです」
寿美子さんは14歳から学徒動員され、「風船爆弾」の工場で働いた。
風船爆弾とは、和紙で造った気球に爆弾をつるし、敵地まで飛ばして投下する秘密兵器だった。寿美子さんたちはそれが兵器だとは知らされず、国の役に立つものだと信じ、毎日90センチ四方の和紙を糊で貼り合わせる作業に徹した。検査は厳しく、何度も怒られたが、重労働にも耐えた。1945年8月15日、敗戦を告げる玉音放送を聞いた——。
純粋な少女たちを兵器造りに駆り立て、かけがえのない青春を奪った戦争。当時を振り返って寿美子さんは語った。「勉強したくてもできなかったことが、一番悔しかったの」
その言葉を聞いて加納さんは思った。「今は自由で恵まれた時代になった。自分の生き方を選べるからこそ"何のために生きるか"が大事だ」
教員になった今、その思いを子どもたちに伝えようと、世界各地の紛争や自然災害、国内の出来事など、さまざまなニュースを題材に語り合っている。その時、こう呼び掛けている。
「そこにいる人たちの日常がどうなってしまうか、想像してほしい」
先日は高齢者の起こす交通事故について考えた。「被害に遭った人の気持ちになって」「みんなのおじいちゃん、おばあちゃんも運転するよね。今、車がなくなったら生活はどうなる?」
一つの出来事を自分のことに置き換える。人の痛みを想像し、当事者意識を持つ。そうすれば、物事の見方は深まっていくと加納さんは考える。「たとえ経験していなくても、真剣に思いを寄せれば自分の血肉になる。そうした生き方が平和をつくると思うんです」