2019年9月30日月曜日

2019.09.30 わが友に贈る

◇今週のことば
さあ、対話の秋だ。
「動く」「会う」「語る」
命の躍動はここにあり。
きょうも聖教を開いて
幸の語らいを爽やかに!
2019年9月30日

さじき女房御返事 P1231
『この功徳は父母祖父母乃至無辺の衆生にもをよぼしてん、ましてわがいとをしとをもふをとこは申すに及ばずと、おぼしめすべし、おぼしめすべし』

【通解】
法華経に供養する功徳は、あなたの父母、祖父母、さらに限りない多くの衆生にも及ぼされていくことでしょう。
まして、あなたがいとおしいと思う最愛のご主人に、功徳が及ぶことはいうまでもないと、思っていきなさい。思っていきなさい。

〈寸鉄〉 2019年9月30日
池田博士が唱える『人間革命』が最重要—元会長"一人"から世界が変わる
御書「一字一句をも之を聞きし人仏にならざるはなし」。対話の旋風今こそ
青春の誓い貫く人が人間として偉大—恩師。慢心、臆病、欲深きは結局敗北
台風便乗の悪徳商法が多発。不審な勧誘には注意。冷静に確認・相談・通報を
交通事故死0目指す日。日没早まる時期。早めの点灯と反射材等で命守れ

☆千葉日報特別寄稿 人間中心の多国間主義で信頼とi心の未来を! 2019年9月23日
◇温暖化対策へ各国協力を きょう気候行動サミット
相次ぐ異常気象。多発する紛争と難民の急増。8億人以上が苦しむ飢餓。世界中で国境を越えた危機が深刻化する一方、「自分たちの国には関係ない」といった自国第一主義が広がり、国際的な支援が不足している。きょう23日、国連本部で地球温暖化問題を各国首脳が議論する「気候行動サミット」が行われるのを機に、池田大作創価学会名誉会長は本紙に特別寄稿。地球的課題の克服とともに、深刻な脅威に直面する人々を守るため「『人間中心の多国間主義』のアプローチを、すべての国が選び取るべき時代が来ている」と世界各国の連帯と意識の転換を呼びかけた。
世界では今、グローバルな課題が山積する中で、これまで考えられなかったような危機の様相がみられます。
特に顕著なのは気候変動の問題です。
今年に入ってからも、ヨーロッパ各国を猛烈な熱波が襲ったほか、日本でも集中豪雨による水害が相次ぎました。
このたびの台風15号も、千葉県各地に記録的な暴風などによる甚大な被害をもたらしまし
た。被災された方々の打ち続くご辛労に心からお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧を祈っております。
こうした気候変動に伴う問題を討議するため、きょう23日、各国の首脳らが国連本部に集
い、気候行動サミットが開催されます。
国連のグテーレス事務総長が「われわれはいま世界で起きていることが地球と人類にとっ
ていかに危険かを理解しなければならない」と警鐘を鳴らすように、各国が立場の違いを超えて共に行動することが急務となっているのです。
気候変動の問題に加えて、深刻の度を増しているのが難民問題です。紛争や迫害などによって住み慣れた場所からの避難を余儀なくされた人は、7000万人に達しました。
また、飢餓に苦しむ人々も8億人以上にのぽりますが、これらの人道危機に対する国際的な支援は十分なものとはなっていません。
世界全体の軍事支出が1兆7000億ドルを超え、人道支援に必要な額の約80倍にも達す
る一方で、多くの人々が生命の危険にさらされ、尊厳を脅かされる状況が続いているのです。
ともすれば、難民や飢餓の問題にしても、そのような悲惨な状況に直面していない場合、
"自分たちの国には関係がない"とか"自分たちの国の責任ではない"と考えてしまう傾向がみられます。
しかし、気候変動の影響に無縁のままでいられる国が存在しないように、他のグローバルな課題についても意識の転換を図っていくことが強く求められるのではないでしょうか。

◇自国第一では対応不能 時代転換へ新たな挑戦

東洋の精神水脈の一つをなしてきた仏教には、この意識転換を考える上で示唆的な話があります。釈尊の「四門山遊」の説話です。
古代インドの時代に王族として生まれた釈尊は、社会的な立場と物質的な豊かさに恵まれ、不自由のない環境の下で青年時代を送りました。
しかし、ある時、城門から出た釈尊が目にしたのは、病気や老いを抱えて苦しむ人々や、道端で亡くなっている人の姿でした。
釈尊が胸を痛めたのは、生老病死の悩みもさることながら、多くの人がそれを"今の自
分とは関係のないもの"と捉えて、「老い」や「病気」や「死」の苦しみに直面している人たちを厭う気持ぢを抱いている姿でした。
釈尊が洞察したその心理は、現代の世界において紛争や飢餓で苦しんでいる人々に対し、"自分が直面する問題ではないから"と意識の外に置いてしまう心理と、底流においてつながっているのではないかと思えてなりません。
自国第一主義に象徴されるようなナショナリズムが広がれば広がるほど、排他的な助きが強まることになり、経済的な利益を至上視するグローバリズムが進めば進むほど、弱肉強食的な世界の傾向が強まってしまいます。
そうではなく、深刻な脅威に直面する人々を守ることに主眼を置いた「人間中心の多国間主義」のアプローチを、すべての国が選び取るべき時代が来ていると私は呼びかけたいのです。
安全保障を巡る歴史を遡れば、"城壁を堅固に築けば、自分たちは安全である"との思想がみられます。その考えは現在も、"軍事力で防御された国境の内側にいる限り、安全は確保できる"といった形で受け継がれてきたといえましょう。
しかし一方で、気候変動をはじめとする地球的な課題の多くは、国境を超える形で被害が及ぶものとなっており、新しいアプローチでの対応が欠かせないのではないでしょうか。
こうした中、中南米諸国が昨年、「エスカス条約」という画期的な環境条約を採択しました。
中南米諸国は、ハリケーンによる災害や海洋の酸性化の問題を抱えていました。そこで、条約を通じて地域協力の強化を図るとともに、環境問題に取り組む人々を守ることを義務づける「人間中心」の方針を打ち出したのです。
加えて、グローバルな規模でも注目すべき動きが始まっています。
国連環境計画が2年前に始めた「クリーン・シー・キャンペーン」で、海洋汚染を起こすプラスチックごみの削減を目指す運動です。現在までに50力国以上が参加し、対象となる海岸線は世界全体の6割を超えるまでになりました。
これまで"海岸線を守る"というと防衛的な観点が前面にあったといえます。
しかし今やそこに、"国の違いを超えて海洋を保護し、生態系を共に守る"というまったく新しい意味合いが生じつつあるのです。
人道危機や環境の分野で国家の垣根を超えて協力し合う経験を重ねることは、信頼と安心の関係を広げるための礎となるはずです。その先には、軍事支出の世界的な増加に歯止めをかける道も開けてくるのではないかと考えます。
きょう国連本部で開催される「気候行動サミット」を機に、時代転換に向けた挑戦が大きく前進していくことを切に願うものです。