◇今週のことば
祈りとして叶わざるなく
福として来らざるなし。
強盛な信力・行力で
無限の仏力・法力を!
あの友も幸の連帯に!
2017年11月12日
草木成仏口決 P1339
『一念三千の法門をふりすすぎたてたるは大曼荼羅なり、当世の習いそこないの学者ゆめにもしらざる法門なり』
☆女性に贈ることば 十一月二十七日
苦労し、頑張った分だけ、喜びも倍になる。それが人生の道理です。
最初は誰でも、なかなか思い通りにはいかないものです。しかし、あきらめずに挑戦を続け、壁を乗り越えていけば、それが自信へと変わっていく。思いもかけなかった自分の力に気づくことができる。
☆今日のことば365 十一月二十七日
僕は 地上の楽園には
しばしば嘘がある故に
それのみを欲しない
胸中の楽園を構築しながら
今日も生きぬく
☆11・18「創価学会創立記念日」特集(下) 教育 2017年11月19日
世界を担う未来をつくる
学園創立50周年 東西高校の挑戦
インタビュー
1930年(昭和5年)11月18日、創価学会初代会長・牧口常三郎先生は、第2代会長・戸田城聖先生と共に『創価教育学体系』第1巻を発刊した。その教育哲学は池田先生が創立した創価学園に受け継がれ、学園は本年、創立50周年を迎えた。今、創価高校、関西創価高校では「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」(注)など、未来の国際社会を担うリーダーを育成するための教育に取り組んでいる。11・18「創価学会創立記念日」特集�「教育」では、そうした実践を間近で見てきた識者に、創価教育の実像について聞いた。
(注)スーパーグローバルハイスクール(SGH) 国際的なリーダーの育成を図ることを目的とする、文部科学省の教育事業。東西両高校が指定校となっており、関西創価高校の取り組みは本年、平成27年度に指定を受けた56校を対象とする中間評価で、最高評価に認定された。
桃山学院教育大学(来年度発足) 学長 梶田叡一氏
●「生きる力」育む先達の役割を
学校教育の場において、人間教育をただの「スローガン」に終わらせず、具体的な形で実践することは、そう簡単ではありません。
私は、50年ほど前に、牧口先生が提唱された、価値創造を柱とする人間教育の思想を知りました。自宅には、牧口常三郎全集もそろえています。そして、牧口先生、戸田先生が据えられた土台を、創価学園の創立者である池田先生が具体的な形で継承しておられる、と理解しています。
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現在の学習指導要領の改定にも携わってきましたが、私は教育において、人間そのものを育てる、という観点を最も大切にしています。「人間としての生」を生きる力です。より具体的には「我々の世界」を生きる力、「我の世界」を生きる力、この二つをどう育むかということです。
「我々の世界」を生きる力とは「世の中で生きていく力」です。社会で他者と手をつなぎ、他者から承認され、他者と支え合って生きるための知識・理解・技能を得ることです。
「我の世界」を生きる力とは、「自分自身と対話しながら、自分だけの固有の世界を生きる力」です。自身の実感や本音をよりどころとして、自らの存在を自分で認め、受け入れ、内面的な充実や満足を大事にすることです。この力を獲得する中で、「我々の世界」を生きる力も深まるのです。
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私は、創価学園とお付き合いして久しいですが、その理念と実践に触れるほど、創価教育は「生きる力」を養う教育であるということを感じます。何よりも特徴的だと思うのは、その「熱」です。概して、生徒が物事に取り組む、一生懸命な「熱」がある。一人一人の心に火がついている。
なぜ、そうなるのか。それは、先生方が「熱」を持っているからだと思います。私はSGHに関連して関西創価高校を訪問し、授業の様子を拝見したり、先生方と話したりする機会がありますが、先生方に「学ぶ姿勢」がある。学校は、常にさまざまな課題があるものですが、それをどう乗り越えるか、どう工夫を重ねるかという姿勢があります。
そして、その根底には、牧口先生や戸田先生の生き方を受け継がれた池田先生の生き方、人間としての在り方が"実物見本"として存在しています。今、教育の現場でアクティブ・ラーニング(自ら課題を見つけて解決する力を育成する、主体的・能動的な学習)が注目されていますが、そのために大事なのは教員と生徒が共に学んでいく"教育共同体"をつくることです。創価学園は、まさに、それを実践しているのです。
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教育の目的は「生きる力」の養成、つまり、人生の中で起こることに意味を見いだしていく力の養成にあります。価値創造です。それは、学校を卒業して20年、30年と現実の中で苦労して、初めて本当に身に付くものなのかもしれませんが、創価学園の生徒は学校生活の中で、そうした生き方の価値と基本を学んでいるのでしょう。
人間をつくる——それは創価学園だけの課題ではなく、日本中の学校の課題です。だからこそ、創価教育の実践は全国のモデルになっていくと思いますし、そうした先達の役割を着実に果たしていってほしいと考えています。
公益社団法人 日本ユネスコ協会連盟 顧問(元理事) 米田伸次氏
●全校に広がる"共に変わる"実践
関西創価高校の、SGHの運営指導委員として、同校の取り組みや学業の様子に触れてきました。関西創価の取り組みは本年、SGHの指定校の中で、最高の評価を受けています。
私が同校の実践を評価する点は五つほどにまとめられます。
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一つ目は、建学の理念を教育実践の基本にしっかり据えておられるということです。
創価学園には「生命の尊厳」を第1に掲げる「学園の五原則」、池田先生が提言された「他人の不幸のうえに自分の幸福を築くことはしない」との理念があります。
SGHの取り組みにおいては、こうした理念のもと、文部科学省が掲げる「グローバル・リーダーの育成」という目的を「世界市民の育成」と捉え直し、「同苦の心」や「問題解決への創造力」「対話力」を養うことなど、独自の目標を定めて実践されています。
二つ目は、全校的なSGHの実践を行っていることです。
関西創価高校は本年、ユネスコの「持続可能な開発のための教育(ESD)」を実践する「ユネスコスクール」に加盟されました。ESDは、未来にわたる地球的課題に取り組む人づくりの、国際的な教育システムですが、持続可能な社会をつくる人間の「生き方の変革」を大切にしています。関西創価高校は全校で「模擬国連」の取り組みを行うなど、一部の生徒だけではなく学校全体で、この「生き方を変革する学習」を進めています。
三つ目は、学校外の団体や大学、地域などと連携して学習を進めていること。四つ目は、狙いに即した独自の効果的・先駆的な学習方法を取り入れていることです。
「環境・開発・人権・平和」の四つの分野について協働学習を行う「GRIT」(地球的課題の調査と探究の時間)など、学校の内外で学びを深める場をつくっている。広島を訪れての平和教育や、東北で東日本大震災のことを学ぶプログラムなどもそうです。
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そして五つ目は、こうした取り組みによって、生徒が確実に変わっている、という点です。
あらゆる教育は、生徒の変容が目的でなければなりません。生徒や我々を取り巻く国際社会は今、急激に変化しているからです。
さらにいえば、ESDの考え方は、生徒をそうしたグローバル化に「適応」させるというよりも、持続可能な新しい社会を築くための人をつくる、教育の「創造」という点にポイントがあります。
そうした「生き方の変革」を実現していくためには、子どもを変えようとするのではなく、教員など周囲の大人も一緒に変わっていくという姿勢が重要です。
この点、創価学園は、牧口先生の創価教育学の源流のもと、校長や教員がESDの理念を真剣に受け止め、自ら生徒と共に変わろうとする実践があるから、生徒の変容を実現できているのではないでしょうか。
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私はこれまで、SGHとユネスコスクールの教育実践を多く見てきましたが、特に私学では、建学の精神を大切にしているところが、素晴らしい実践をしていると感じています。創価学園は、その典型的な例でしょう。
私は、今後のさらなる発展への期待も込めて、確実に日本の教育をよい方向に引っ張っていくであろう創価学園、創価教育に、大きな夢と希望を抱いています。