2022年2月5日土曜日

2022.02.05 わが友に贈る

さあ「励まし週間」だ。
一人一人の声に耳を傾け
友の力を引き出そう!
自他共の幸福を広げる
歓喜の劇を朗らかに!

立正観抄 P529
『教弥弥実なれば位弥弥下し』

【通解】
教法がいよいよ実教であるならば、救われうる衆生の位はいよいよ低い。

名字の言 創大生が手掛けた「ポップ」 2022年2月5日
書店員がお薦めの一書を紹介する手書き広告を「ポップ」という。思わず手に取りたくなるキャッチコピーや、意匠を凝らしたものだ▼東京・八王子駅前の、ある書店には今、創価大学生が手掛けたポップが並ぶ。町おこしの一環で協働した取り組みである。「シュリーマンと一緒に江戸、そして八王子を旅しませんか」「日常にギリシャの味を」「ナイチンゲールが抱いた罪の意識とは」……。店員から「熱量がよく伝わる」などの声が寄せられ、販売促進にも貢献していると聞く▼青年には良書に親しんでもらいたい——創大創立者の池田先生が心を砕いてきたのも、この点にある。"良い本は心のごちそう""古今東西の偉人と出会える旅"など、心に響く言葉で読書の醍醐味を伝えてきた。大学図書館には、池田先生が寄贈した約7万冊の「池田文庫」がある▼「書物の新しいページを一ページ、一ページ読むごとに、わたしはより豊かに、よりつよく、より高くなっていく!」(佐藤清郎訳)とは、ロシアの文豪チェーホフの言葉である。一流の書と格闘した分だけ、人格や見識も磨かれよう▼多忙な中でも心に読書の暇をつくりたい。その挑戦が、わが人生という"一冊の物語"を一段と面白くする。

寸鉄 2022年2月5日
御書「妙法蓮華経の五字を唱うる功徳莫大なり」。強き信行に仏力法力厳然(新19・全13)
男子部が誓いの飛躍月間 大学校生を先頭に疾駆!君よ新時代の勇将と育て
釈尊は"自分から話し掛ける人"。皆で希望の対話の拡大を!まず電話一本
冬でも乾燥による脱水症状の恐れ—医師。適度な水分補給などで賢く予防
「コロナ鬱」の解消には雑談も有効と。短くとも。孤立化防ぐ工夫、共々に

〈社説〉 2022・2・5 北京冬季五輪が開幕
◇心の交流通じて世界の連帯を
第24回冬季オリンピック北京大会が開幕した(今月20日まで)。平昌と東京に続き3大会連続で東アジアでの開催である。
さらに、北京はオリンピック史上初の夏季・冬季両大会の開催地となる。昨年9月に発表された公式モットーは「Together for a Shared Future(一起向未来=未来に向かって一緒に)」。人類の未来を共有するため、世界的な課題を共同体として克服するという意義が込められている。
コロナ禍で深まる人々の分断や孤立など、人類が直面している困難な状況を踏まえ、世界が協力し合うことの必要性を示していると言えるだろう。
古代オリンピックでは、競技祭の時期にギリシャの都市国家(ポリス)間の戦争を止める「聖なる休戦」が設けられたという。近代オリンピックも、こうした伝統をよみがえらせ、「平和の祭典」を掲げてきた。
今、危機の時代にあって、改めて原点の精神を思い起こすとともに、スポーツの最高峰の熱戦を繰り広げる、選手たちのひたむきな姿にエールを送りたい。
今大会では、冬季大会史上最多の15競技109種目が実施され、ボブスレー女子一人乗り(モノボブ)など七つが新種目に。混合種目が四つ増えたことで、女子選手の参加率は平昌大会を超え、史上最高の約45%となる。SDGsが目指す「ジェンダー平等推進」の面からも国際社会へ積極的影響を広げるはずだ。
また、コロナ禍で厳しい制限が続く環境下ではあるが、選手同士が交流を深めるための工夫も凝らされている。
例えば、公式ウエアのインナーグローブの手のひらには「ハート」のデザインが。あいさつする際に相手に見せることで、接触を避けながら、ぬくもりある心の交流を可能にするという。
今大会でも、五輪憲章にうたわれるように、国境を超えて、若き友情の連帯、フェアプレーの精神の輪が広がっていくだろう。
池田先生は「友情を結び合っていくなかに、激動する世界に平和の火を点ずる道がある」と。
世界がコロナ禍と戦う中で開催される北京冬季五輪。純白の雪上や氷上に、幾重にも友好と連帯の名画を描きゆくことを期待しつつ、「平和の祭典」の成功を祈りたい。

☆第47回SGI提言� コロナ危機からの再建の課題
◎「働きがいのある仕事」を若い世代に人々に希望を灯す経済の創出を

◇将来に不安を持つ学生たちが増加
第三の柱として提起したいのは、若い世代が希望を育み、女性が尊厳を輝かせることのできる経済の創出です。
今回のコロナ危機で世界経済が著しいダメージを受ける中、国際労働機関(ILO)の推計によると、2億5500万人の規模に相当する雇用が失われたといいます。
特に若い世代を取り巻く状況の悪化が懸念されており、若者の就業率は、25歳以上の人々の就業率と比べて大きく低下し、G20の国々では11%も低下しています。
また、就職をした若者の間でも、コロナ危機に伴う職場環境の急激な変化で、不安が強まる傾向がみられます。
初めての仕事を、リモートワークなどの形で職場以外の場所でスタートし、周囲に頼れる人がいないままで、仕事をする時期が続いた若者が増えています。
加えて、コロナ危機の影響で家庭の経済状況が厳しくなったために、学生ローンや奨学金の返済がさらに重くのしかかったり、自分が志望する仕事に就く上で必要となるスキルを磨く機会を得られなかったりする若者も少なくありません。
こうした状況が続く中、学生の間でも将来のキャリアに対する暗い見通しが広がっており、40%が不安を、14%が危惧を感じているという調査結果も出ているのです。
経済の再建は急務ではありますが、若い世代が抱く不安や危惧が取り除かれ、一人一人の心に「希望」が灯ることがなければ、経済はおろか、社会の健全な発展を期すことはかなわないのではないでしょうか。
その問題を考える上で参照したいのは、マサチューセッツ工科大学のアビジット・バナジー博士とエステル・デュフロ博士による考察です。
ハーバード大学のマイケル・クレマー教授と共に、2019年にノーベル経済学賞を受賞した両博士は、『絶望を希望に変える経済学』(村井章子訳、日本経済新聞出版本部)と題する著作で、国内総生産(GDP)という指標が持つ意味に触れて、次のような問題提起をしていました。
「何より重要なのは、GDPはあくまで手段であって目的ではないという事実を忘れないことである」と。
また、所得だけを問題にするような「歪んだレンズ」で世界をみてしまうと、誤った政策判断をすることになりかねないと注意を喚起しながら、こう訴えていました。
「人としての尊厳を取り戻すことを大切に考える立場からすれば、経済における最優先課題を根本的に考え直す必要があることはあきらかだ。また、尊厳を重んじるならば、助けを必要とする人々を社会はどう助けるべきか、ということも深く考える必要がある」
この著作はパンデミック発生の前年(2019年)に発刊されたものですが、人間の尊厳を支える経済の創出は、待ったなしの課題になっていると思えてなりません。

◇悲劇に沈む人々に笑顔を取り戻す
バナジー博士とデュフロ博士が、人間の尊厳にとって何が大切かという"正視眼"に基づいて、経済のあり方を問うた時に言及していたテーマの一つが、働く場を持つことの意味の重みでした。
同書の中で、かつてバナジー博士が国連のハイレベルパネルの一員として、SDGsの制定に向けた議論に参加していた頃のエピソードが紹介されています。
その折、ある国際NGOのメンバーと面会して活動に共感した博士は、デュフロ博士を伴って、貧困状態を経験した人々に雇用機会を提供するためのミーティングに参加しました。
そこに集まっていたのは、かつて事故で大けがをして働けなくなった元看護師をはじめ、深刻なうつ病を経験した人や、注意欠如・多動症(ADHD)に伴う行動で息子の親権を奪われた男性だったといいます。
こうした人々が働く場を得られるように支援するNGOの取り組みから、両博士は「社会政策のあり方について多くを教えられた」として、こう強調しました。
「働くのは、すべての問題が解決し働ける状態になってからだと考えがちだが、必ずしもそうではない」「むしろ働くこと自体が回復プロセスの一部だと考えるべきだ」と。
そして、ADHDの男性のその後の様子について、「仕事を見つけると同時に息子の親権を取り戻し、働く父に息子が向ける尊敬のまなざしに元気づけられている」と、状況の変化が家族全体に幸福の輪を広げていったことを紹介していたのです。
SDGsの目標の一つに、障がい者を含むすべての人々にとっての「働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)」を達成するとありますが、仕事を得て幸福を取り戻した家族の姿に"SDGsが灯すべき希望の光明"を見る思いがします。
バナジー博士が国連のハイレベルパネルの一員になった時と同じ年(2012年)に、私は提言でSDGsの目指すべき方向性に触れて、こう述べたことがありました。
「目標の達成はもとより、悲劇に苦しむ一人一人が笑顔を取り戻すことを最優先の課題とすることを忘れてはなりません」と。
コロナ危機からの経済の立て直しにおいても、この観点を決して忘れてはならないと、改めて強調したいのです。
バナジー博士とデュフロ博士は、社会の谷間に置かれた人々に対する眼差しを変える必要があるとして、こう訴えていました。
「彼らは問題を抱えてはいるが、けっして彼ら自身が問題なのではない」「彼らを『貧窮者』だとか『失業者』といった括りで見るのをやめ、一人の人間として見るべきである。発展途上国を旅して何度となく気づかされるのは、希望は人間を前へ進ませる燃料だということだ」と。
私もまったく同感であり、一人一人が自分の力を発揮できる仕事や居場所を得ることで、尊厳の輝きを地域と社会に大きく灯す道が開かれるはずであると、信じてやみません。
ILOの主催で「人間中心の復興」に関する多国間フォーラムが、年内に開催されることになっています。
この機会を通じて、各国がコロナ危機の教訓を分かち合いながら、特に若い世代を巡る状況の改善に焦点を当てる形で、「働きがいのある人間らしい雇用」の確保に全力を注ぐことを呼びかけたいのです。

◎ジェンダー平等の推進が急務

◇女性を取り巻く厳しい状況の改善
また、若い世代のための取り組みと併せて、今後の経済の欠くことのできない基盤として強調したいのが、「ジェンダー平等」と「女性のエンパワーメント」の推進です。
新型コロナに対応するために、医療機関ではそれまで経験したことのなかった負担や苦労が重なっていますが、医療の最前線で働く人々の7割は女性が占めています。
一方で、家族や身近な人の世話や看病をするため、積み重ねてきたキャリアの中断や、休職をせざるを得なかった女性も少なくありません。加えて、景気後退で失われた雇用は女性の場合が多く、最も打撃を受けたのは、幼い子どもを育てながら仕事をしてきた女性たちだったと指摘されています。
以前からジェンダーの格差は深刻でしたが、コロナ危機で状況が悪化する中、抜本的な対策を求める動きが広がりました。
その代表的な動きが、昨年、UNウィメン(国連女性機関)などが主催し、2回にわたって行われた「平等を目指す全ての世代フォーラム」です。
3月のメキシコでの会合には、85カ国からオンラインも含めて1万人が参加し、ジェンダー平等に向けた行動と運動を活性化するための議論が行われました。
そして、6月から7月にかけてフランスで行われた会合で発表されたのが、ジェンダー平等の達成に向けた勢いを加速させるための5年間にわたるグローバル計画です。
この計画の中で、「ジェンダーに基づく暴力」や「ジェンダー平等のための技術と革新」などの五つの分野とともに重視されていたのが、「経済的正義と権利」でした。
男女の賃金格差をはじめとする課題を提示しつつ、ジェンダーに配慮した経済対策で、貧困に苦しむ女性を減らすことなどが打ち出されましたが、特に注目したのは「ケアワーク(ケアの仕事)」を巡る課題を改善するための提案です。
家族の世話や介護などのケアの仕事を、主に女性が無償で担ってきた実態が多くの国でみられる中、新型コロナがその負担をさらに重くしたことが懸念されています。
そこで、負担を社会で分担できるようにするために、国民所得の3%から10%を投資して、ケアの仕事を有給で支えてきた人々の待遇改善を後押しする一方で、ケアに関連する雇用機会を新たに生み出すための環境を整えることが、推奨されたのです。

◇ケア分野の拡充がもたらす波及効果
この点は、UNウィメンが昨年9月に始めたフェミニスト計画〈注2〉でも重視されており、ケアの仕事を"持続可能で公正な経済"の中心に据えることが提唱されていました。
世界では、15歳未満の子どもたちが19億人、60歳以上の人々が10億人、障がいのある人々が12億人いると推計される中で、日常生活を送る上で何らかのケアを必要としている人が大勢います。
こうしたケアに関わる分野への公共投資は、女性が抱えてきた負担の軽減だけでなく、子どもや高齢者、障がいのある人々の生活環境の改善につながるなど、大きな波及効果をもたらすことが期待されているのです。
そして何より、ケアの仕事が、サポートを受ける人の幸福と尊厳にとってかけがえのないものであることを忘れてはなりません。
経済成長という"満ち潮"をつくり出すことができても、傷ついたボートがそのまま持ち上がるわけではないといわれます。
一方で、「ジェンダー平等」と「女性のエンパワーメント」に直結するケア分野の拡充に力を入れていけば、多くの人々の生活と幸福と尊厳を支える社会を着実に形作ることができると、私は信じてやまないのです。
私どもSGIも、"万人の幸福と尊厳"を思想の中核に置く仏法の精神に基づいて、「ジェンダー平等」と「女性のエンパワーメント」を推進する活動を続けてきました。
2020年にUNウィメンが「平等を目指す全ての世代」のキャンペーンを立ち上げた時は、SGIを含むFBO(信仰を基盤とした団体)の諸団体が、国連機関と協力してニューヨークで行っている年次シンポジウムで、ジェンダー平等を前進させるためにFBOが果たすべき役割について議論しました。
昨年1月にも同じシンポジウムを開催しましたが、そこで共通認識となったのも、パンデミックからの再建を図る上で、経済対策を含めてジェンダー不平等の解消が欠かせないとの点だったのです。
また現在、アフリカのトーゴ共和国で、森林再生支援のプロジェクトを進める中で、担い手となっている貧困地域の女性たちをエンパワーメントする活動も進めています。
国際熱帯木材機関(ITTO)との共同で昨年1月に開始した取り組みで、森林の急速な減少が進む地域で植林や保護を行うとともに、女性たちが手に職をつけて経済的に自立することを後押ししてきました。
今後は、プロジェクトを経験した女性たちが別の地域を訪れ、互いの地域で抱える課題について体験を共有しながら、学び合う取り組みも行う予定となっています。

◇新たに制定された学会の「社会憲章」
私たち人間には、いかなる逆境の最中にあっても、プラスの価値を共に生み出し、時代変革の波を起こす力が具わっています。
コロナ危機を乗り越え、人間の尊厳を支える経済と社会を築く源泉となるものこそ、「ジェンダー平等」と「女性のエンパワーメント」ではないでしょうか。
振り返れば、この二つの時代潮流の淵源となった第4回「世界女性会議」〈注3〉と同じ年に、私どもは「SGI憲章」を制定し(1995年11月)、「いかなる人間も差別することなく基本的人権を守る」などの理念に則り、地球的問題群の解決に取り組む活動を続けてきました。
そして昨年11月に、新たに制定したのが「創価学会社会憲章」です。
そこでは、「仏法の寛容の精神に基づき、他の宗教的伝統や哲学を尊重して、人類が直面する根本的な課題の解決について対話し、協力していく」との基本姿勢を示すとともに、「ジェンダー平等の実現と女性のエンパワーメントの推進に貢献する」など、10項目にわたる目的と行動規範を掲げました。
今後も、192カ国・地域に広がった仏法の民衆団体として、一人一人が「良き市民」として友情と信頼の輪を広げながら、"万人の幸福と尊厳"に根ざした世界を築くための挑戦を重ねていきたいと思います。