広布に生き抜く同志は
皆が地涌の菩薩なり!
わが使命を自覚する時
何ものにも負けない
大生命力が脈動する!
上野殿御返事 P1574
『人のものををしふると申すは車のおもけれども油をぬりてまわりふねを水にうかべてゆきやすきやうにをしへ候なり、仏になりやすき事は別のやう候はず、旱魃にかわけるものに水をあたへ寒冰にこごへたるものに火をあたふるがごとし』
◇人生の座標
人生の根本の目的を忘れて堕落し、いつしか権力の魔性に魅入られる。やがて自分で自分がわからなくなる。「人間」を忘れ、狂ってしまう。そうした人生の敗北者の、なんと哀れであることか。
☆100文字の幸福抄
世界でたった一つしかない、
自分の命を使って、
どのような人生を生きるか。
この一点を外して、「何のため」という
大目的を見失ったまま、
いかなる富や名声を手にしてもむなしい。
使命とは「命を使う」と書く。
☆未来の翼〜世界が君を待っている〜 第10回 ネパールの頂�
ネパールの大詩人デウコタは詠みました。
「我々は、この世界を理解しなくてはならない。臆病であってはならない。世界を直視し、勇気を奮い起こすのだ。
この世に生きている間に、大空へと翼を広げるのだ」
この詩を私が一緒に味わった、かけがえのない友人が、ネパールのマテマ元駐日大使です。
大使ご自身も、この詩の如く生き抜いてこられました。
私が大使と初めてお会いしたのは94年。大使が、トリブバン大学の副総長を務めておられた時に、東京にお迎えしました。
大使はネパールではなく、インドで生まれ育ちました。当時の独裁政権にご家族が立ち向かい、数十年にわたる亡命生活を余儀なくされていたからです。
大使が若き日、最も影響を受けたたのは、「貧しい人々のために行動しなければ」と、勇敢に戦った、親せきのおじさんの存在でした。
おじさんは、政府の要職に就いていました。しかし、そうした地位を投げ捨てて、民衆の真の幸福のために立ち上がったのです。独裁政権によって、おじさんは処刑されましたが、その不屈の精神は、大使の命に深く刻まれました。
おじさんは常に自身を導く「人生の灯台」であると、大使は私に語ってくれました。
大使は勉学に励んで、イギリスに留学し、やがてトリブバン大学の教壇に立つことになります。
70年代、学生たちが民主化を求めて運動を開始した時、大使も共に断固と立ち上がりました。権力から圧迫を加えられ、辞職しても、負けじ魂を燃え上がらせ、一貫して民衆のために働きました。そして、90年、ネパールは民主化を果たすことができたのです。
徹して学び、行動する「勇気」。これこそ、一流の人物に共通する、人生で最も大切な美徳です。
21世紀の世界は、紛争やテロ、貧困や人権、環境問題をはじめ、重大な課題が山積しています。若き皆さんの活躍を待ち望んでいる人々が、たくさんいます。
私はこの「勇気」の二字を、人類の宝である、君たち、貴女たちに贈りたい。そして、その勇気の翼、未来の翼で、世界を駆け巡ってもらいたいのです。
私はトリブバン大学で、「人間主義の最高峰を仰ぎて──現代に生きる釈尊」と題する講演を行いました。その中で、"ヒマラヤの如き悠然たる境涯を確立することが、世界平和の原点"ということを訴えました。
心の大きな人は、他人に嫉妬しません。心の豊かな人は、つまらぬ縁に紛動されません。
皆さんには、何があっても悠然と乗り越えていく自身を築き上げるための、信心があります。題目があります。
日蓮大聖人は仰せです。
「須弥山(世界の中心の最高峰の山)の始めは一つの塵である。一を重ねれば二となり、二を重ねれば三となり、このように十、百、千、万、億……となっても、その生みの母はただ『一』なのである」(P1237、趣意、「妙密上人御消息」)
今の一歩の努力、一人の友情、一つの親孝行が、ヒマラヤの如き自身を創ります。
その活力は題目です。なかなか一歩を踏み出せないなと思う時でも、決意の題目を唱えて、一歩また一歩と挑んでいけば、必ず一日一日と持続していけるのです。
ヒマラヤ山脈は現在もなお、1年間に数センチずつ高くなっているといいます。人間も同じく、最高峰の人は、常に成長し続けます。
戸田先生も、一生涯、勉強し続けた偉人でした。亡くなる直前まで、私に「今日は何の本を読んだか」と尋ねられ、「私は『十八史略』(中国の歴史の物語)を読んだよ」と言われながら、将軍学を教授してくだざいました。
ネパール滞在中のある夜、妻が「あら! 流れ星!」と空を見上げました。
私は感慨を込めて答えました。
「戸田先生が喜んでくださっているね」と。
いつでも、どこでも、私の胸には、悠然たるエべレストの如き、世界最高の師匠がいます。ゆえに、弟子である私も、永遠に挑戦をやめません。日々勉強であり、日々努力です。
そして、私の心には、未来部という成長し続ける人材山脈がそびえ立っています。これほど心躍る絶景はありません。
最高峰を仰いで人生を登はんする人に、停滞はありません。後退も、敗北も、絶対にありません。最後は必ず、勝利の眺望を楽しむことができる。
ここに「師弟」の道があります。
愛する君たちよ、世界の友とスクラムを組んで、いよいよ高く、いよいよ朗らかに、いよいよ堂々と、人間の王者へ、育ちゆけ!
これが、私の祈りであり、願いなのです。