◇今週のことば
今日のこの一歩が
未来を創る。
老いも若きも前進だ。
「正義」と「共戦」の旗を
後継の友と高らかに!
2020年5月4日
四条金吾殿御書 P1112
『日蓮此の業障をけしはてて未来は霊山浄土にまいるべしとおもへば種種の大難雨のごとくふり雲のごとくにわき候へども法華経の御故なれば苦をも苦ともおもはず』
【通解】
日蓮は法華弘通によりこれらの業障を消し果てて未来は霊山浄土に往くことができるのであるから、種種の大難が雨のように降り、雲のようにわいても、それは法華経のためであるので、苦をも苦と思わない。
名字の言 本紙配達員のもとに届いた"真心" 2020年5月4日
「ポストに手紙を入れたから、何かのついでに見てください」。ある日の朝、本紙の配達に携わる友のスマホにメッセージが届いた。地区の婦人部の先輩からだった▼ポストを開けると「いつも配達、ご苦労さまです。よかったら使ってね」とのメモと共に、ミシンで縫われた手製のマスクが。入手しにくいマスクを頂いたことはありがたい。しかし、何よりうれしかったのは先輩の「真心」。胸の奥がポッと温かくなり、力が湧いた▼緊急事態宣言の発令により、生活に制約が続く。感染症は多くの人命を奪い、社会に甚大な影響を及ぼしているが、かつてないのは、人との交流が制限されたこと。学校は休校、イベントは中止となり、友達と会うことさえ難しい。多くの人がストレスや孤独感を抱える▼学会でも会合や訪問は自粛だが、電話やメール等による激励は世界各地で続く。青年部を中心にオンラインによる会議や研さんも。「励まし」は工夫すれば、どんな形でもできる▼社会起業家の駒崎弘樹氏は「国家でも個人でもない中間団体」としての創価学会に注目し、「歴史上まれにみる有事である今こそ、その力をいかんなく発揮してほしい」と期待する。人と人の絆が重要性を増している。真心の言葉で、友の心に希望を届けていこう。(駿)
寸鉄 2020年5月4日
新たな青年の歌が完成。さあ誓いの歌声を共に!平和の地図を若人の力で
明日まで創大・女子短大のオンライン見学会。宝の君よ世界市民の揺籃に
帰省できなくとも会話はできる。ビデオ通話などで旧友らと心通う一時を
新緑輝く「みどりの日」。万物躍動の季節。我らも深き祈りで生命力満々と
10万円給付に便乗の不審メール相次ぐ。個人情報聞き出す目的。嘘見抜け
☆忘れ得ぬ旅 太陽の心で 第2回 ロンドン
世界が新型コロナウイルスの猛威と闘っている。イギリスも感染拡大は深刻だ。池田先生は、これまで同国を7度訪れ、20世紀最大の歴史家トインビー博士と対談を行うとともに、現地の人々と深い交友を結んできた。未曽有の事態に直面している現在もメッセージなどを寄せ、同志を激励し続けている。月刊誌「パンプキン」誌上の先生の連載エッセー「忘れ得ぬ旅 太陽の心で」を紹介する本企画。今回は「ロンドン——歴史を輝かせる不屈の息吹」を掲載する(潮出版社刊の同名のエッセー集から抜粋)。侵略者の脅威、経済の停滞……。国難ともいえる危機と苦難を敢然と乗り越えてきたイギリスに脈打つ「不屈の精神」に光を当てたこのエッセーを、今、家族を守り、友を励まし、社会を支えるために奮闘する方々に贈りたい。
大空へ
嵐にめげず
みどり樹の
伸びゆく姿
われは待ち見む
ロンドンは北緯五十一度。北海道よりも、さらに高い緯度に位置します。
冬は日の暮れるのも早く、冬至の頃には午後四時前に日没を迎えるといいます。春本番の訪れも五月になります。
長く厳しい冬を越えた分、陽光はまばゆく、緑は冴え、生きとし生けるものが躍動します。世界でも、最も輝きわたる季節の一つではないでしょうか。
「三月の風と/四月の雨が/五月の花を/連れてくる」——これは、イギリスの伝承童謡「マザー・グース」の有名な一節です。
この「五月の花」すなわち「メイフラワー」として皆に親しまれているのが、サンザシです。
イギリスを代表する花であり、花言葉は「希望」です。
逆境を朗らかに耐え、試練の風雨さえ、はつらつと魂の糧にし、時を待ち、時を創り、やがて「希望」の花を咲き薫らせていく。イギリスには、そうした不屈にして快活な友がたくさんいます。
◇挑戦への応戦
〈池田先生を5月のロンドンに招いたのは、トインビー博士である。語らいは1972年と73年の5月、ロンドンの博士の自宅で行われた。先生は博士とベロニカ夫人の足跡に言及するとともに、対談を陰で支えた友の勝利劇を紹介。女性たちの「太陽の心」には、悲哀を希望に転じゆく力があると訴えた〉
共々に
いざや此の世の
華の旅
大著『歴史の研究』をはじめ、独創的な文明史観の地平を開拓し、平和と人道の信念の言論を貫いたトインビー博士は、幾多の圧迫に晒されました。最愛のご子息を不慮の死で失われてもいます。
しかし、さまざまな困難からの「挑戦」に対する「応戦」にこそ、人間の前進があるという歴史観に立つ博士は、自ら"苦悩からも、必ず何かをつかみとってみせる"という信条で生き抜いてこられました。
その博士を、夫人も同じ心で厳然と支え抜きました。だからこそ、博士は「かくも親しき伴侶を持てる者にとって、追放も追放とはならない。妻の愛情があるところ、いたるところが祖国である」と言い切ることができたのでしょう。
新たな道を開きゆく人生には、それだけ大きな苦難も待ち構えています。その一つ一つを、共に励まし、共々に越えゆくなかで、家族の愛情と信頼は、最も深く強く尊く、生きる喜びの花また華を咲かせてくれるのではないでしょうか。
トインビー博士との対談を、毎日、真剣に支えてくれた友人たちがいます。対話が終わると、その日のうちにテープを再生し、タイプライターで打って、まとめてくれたのです。この陰の労作業なくして、博士との語らいが対談集に仕上がることはありませんでした。
演劇の仕事に携わっていた一人の女性は、全力でタイプを打ち上げると、それから仕事場である劇場に駆けつけていきました。この一日一日を青春の宝の歴史として、喜び勇んで若い力を発揮してくれたのです。
彼女は、その後、当時はまだ男性中心で仕切られていた演劇界でステージマネジャーの一人となりました。
イギリスが誇るシェークスピア劇の一節には、「これからはどんな苦しみも耐え抜こう、苦しみのほうで『もうまいった』と悲鳴をあげて息絶えるまで」とあります。
彼女は、シングルマザーとして、必死に仕事と子育てに励み、地域貢献にも積極果敢に取り組みました。それは、経済問題など言い知れぬ不安との戦いでもありました。
しかし、「困難を人のせいにしない」「愚痴を言わない」「自信を持つ」と心に決め、すべてを自らの「人間革命」の劇としてきたのです。最高峰の音楽演劇学校の運営役員、大学の演劇学部の理事も歴任し、多くの青年たちを育成していきました。
陰の大功労者であった一人の女性の勝利劇が、私も妻も、何より嬉しく、感謝と敬愛の大喝采を送っています。
すでに十八世紀に、イギリスの女性人権運動の先覚者メアリ・ウルストンクラフトは、女性は太陽であると訴えました。女性たちの「太陽の心」は、人生劇場にあっても、現実社会という劇場にあっても、暗を明に変え、苦しみを楽しみに変え、悲哀を希望に、そして分断を和楽に転じゆく力に満ちています。
◇今日より明日へ
〈池田先生は最後に、世界の歴史を動かし、時代の流れを見つめてきたロンドンの歩みなどに触れつつ、慈悲と勇気の心で悔いなき人生をと呼び掛けた〉
歴史上、征服や大火など数知れぬ苦難を乗り越えながら、独立心を燃え上がらせ、人間の権利と尊厳を強く求めてきたのが、ロンドンの人々です。
第二次世界大戦下、ナチスの猛爆撃にも断じて怯みませんでした。あのテムズ川が、いつも静かに豊かに水を湛えて、悠然と流れるように、ロンドンの街と人々は、いかなる艱難にも絶対に負けずに、前へ前へ進み抜いていくのです。
私が多くのイギリスの友と出会いを結んだタプロー・コート総合文化センターは、もともとロンドンでの最初のオリンピック(一九〇八年)の成功に尽くしたデスボロー卿の館でした。数多の文化人が訪れたことでも知られています。
その一人の劇作家オスカー・ワイルドは綴っていました。「人生というものは慈悲の心なしには理解できない、深い慈悲の心なしには生きていけない」
昨日よりは今日、今日よりは明日と、一歩一歩、自分らしく、人のため、後輩たちのために行動する。その努力の足跡が、悔いなき人生を輝かせます。
だからこそ「今」を戦い、「今日」を全力で生きたいものです。慈悲の心、勇気の心を燃え立たせて!
負けるなと
天の声あり
君の旅
(『忘れ得ぬ旅 太陽の心で』第1巻所収)