2018年7月28日土曜日

2018.07.28 わが友に贈る

良書に触れた分だけ
豊かな心が育まれる。
少しでも読書に挑もう。
学び続ける人は
絶対に行き詰らない!

四条金吾殿御返事 P1149
『日蓮をたすけんと志す人人少少ありといへども或は心ざしうすし或は心ざしはあつけれども身がうごせずやうやうにをはするに御辺は其の一分なり心ざし人にすぐれてをはする上わづかの身命をささうるも又御故なり、天もさだめてしろしめし地もしらせ給いぬらん』

【通解】
日蓮を助けようと志す人々が少々いるとはいっても、あるいは志が薄い。あるいは志が厚くても、行動がそれに伴わない。さまざまな人がおられるなかに、あなた(四条金吾)は、日蓮を本当に助けようとする一人である。
志が人よりすぐれておられるうえ、日蓮がわずかの身命を支えることができているのも、また、あなたのおかげである。このことは、天も必ず知っておられるし、地もご存じあろう。

〈寸鉄〉 2018年7月28日
会長の哲学と行動を継ぐ青年が平和築くと確信—博士。時代の闇を破る光
御書「未来の果を知らんと欲せば其の現在の因を見よ」。行動の勇者に栄冠
未来部の各種コンクールを応援。関わった分だけ鳳雛は成長。飛躍の夏に
明日為すべきことは今日これを為せ—学者。さあ挑戦!深き祈りから出発
週末は台風・大雨情報に注意。備えと声掛けは早めに。油断排し無事故を

☆虹を懸ける 池田先生とカナダ� 2018年7月21日
◇知恵を磨き全てを喜びに
池田先生がカナダ第2の都市モントリオールを訪れたのは、1993年9月27日。約20日間に及ぶ北米訪問の折だった。
24日に米ハーバード大学で講演した池田先生は、27日午後、同大ケネディスクール(政治大学院)から学術貢献をたたえる特別表彰を受賞。表彰式で謝辞を述べ、その日の夕刻、モントリオールに到着したのである。
翌28日、開館1周年となるモントリオール文化会館で、カナダSGIのモントリオール総会が開催された。
会館の前では、音楽隊・鼓笛隊が歓迎演奏をにぎやかに。ピエロ・ポンゾさん(副支部長)は、音楽隊の一員として先生を迎えた。
「当時は高校生で、大学進学を目指していました。ですが成績が伸びず、進路に悩んでいたのです。総会前の空は、灰色で雨模様。まるで自分の心を映しているようでした」
ブラジル出身の母は女手一つでポンゾさんと弟を育てた。英語が不得手だったが、祈りと努力を重ね、政府関係の職を得た。そんな母の姿に信心の力を感じてはいたが、不安は拭えない。家族や親戚の中で大学に進学できた人はいなかった。
「先生の車が到着した頃、雲間から光が差し出しました。その後、総会に出席。先生の"どんな困難にも絶対に負けない。その姿自体が勝利である"とのスピーチに、不安は吹き飛びました」
総会後、澄んだ秋空には虹が弧を描いていた。この日、池田先生は詠んでいる。

天空に
 おとぎの国の
  絵の如く
 大なる虹の
  勲章光りぬ

ポンゾさんは名門トロント大学に進学を果たし、卒業後は政府機関に就職した。
社会で信頼を広げていたポンゾさんを試練が襲ったのは2008年。原因不明の血液病を発症したのである。
放射線照射などは行うが、確たる治療法はない。医師の宣告に一度は絶望したが、信心で受け止めようと御本尊に向かった。
93年に池田先生を迎えた際、隣で演奏した友が、いつもそばにいてくれた。"病に人生を左右されてなるものか"と、闘病の決意を固めたポンゾさん。毎回の検査結果に一喜一憂せず、自分にできる挑戦を続けた。
2016年、ポンゾさんは医師から詳細な再検査を勧められた。
異常が確認できず、さらなる再検査の末、医師はポンゾさんに完治を告げたのである。
「いつか乗り越えられると確信していましたが、感謝がこみ上げました」と語るポンゾさん。「感謝を行動で示したい」と、カナダ広布の使命に生きる。

◇須弥山の如く
モントリオール総会で、池田先生は地名の由来に言及した。
1535年、フランスの探検家ジャック・カルティエが、この地を「王の山(モン・ロワイヤル)」と呼んだことを通し、"山の王である須弥山のように、何があっても揺るがない、幸福の王者・女王であってください"と語ったのである。
スピーチに先立ち、混声合唱団が歌声を披露。先生は誰よりも力強く拍手を送り、「素晴らしい合唱ありがとう! 感動しました」と感謝を述べた。
合唱の歌唱指導を務めたのは、音楽家、教育者として活動するダニエル・アーソノーさん(圏婦人部長)。
平和のために何かできないかと考えていた1981年、SGIが人類の幸福と平和を目指していることを知り、入会。「自分自身の人間革命が平和に欠かせないと聞いて驚きました。素直にその通りだと納得しました」
93年の師匠との出会いが、アーソノーさんの"信心の転機"に。「"幸福の女王に"との先生の期待を聞き、心から幸せと言える自分になりたい、信心の力を示したいと思ったんです。合唱を最大に喜んでくださる先生を見て、それができると感じました」
手掛ける歌詞等も、より明るく、深いものに。その後もSGIの文化行事で責任者を務め、平和の心を広げてきた。自他共の幸福を築く実感を胸に、多文化共生にも力を注ぐ。

◇幸福の人生を
総会の翌日(9月29日)、海外初開催となる「現代世界の人権」展が、モントリオール大学で開幕した。
同大学のルネ・シマー学長夫妻や国連の初代人権部長として世界人権宣言の制定に尽力したジョン・ハンフリー博士らに、先生は一つ一つのパネルを解説し、SGIの平和と人道の精神を語った。
モントリオールで英文学を教えるエバドニー・アンダーソンさん(カナダSGI副婦人部長)は、ハンフリー博士と交流があり、その人柄にも信頼を寄せていた。
以前、博士にホットケーキを振る舞ったことがある。博士は「世界一、おいしいね」と喜んでくれた。尊敬する博士と先生の親交に胸が熱くなった。
アンダーソンさんはカリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴの出身。夫と別れた直後に信心を始めた。
「カリブには明るい音楽がたくさんありますが、初めて唱題を聞いた時、踊りたくてたまらなくなったことを覚えています(笑い)」
モントリオール総会では、婦人部本部長として準備に奔走した。
総会にはトロントやオタワなど、東部全体から友が集うことになっていた。だが日を追うごとに参加予定者が増え、会場は満席に。
やむなく中継会場を別の階に設けたが、アンダーソンさんは、中継会場の友が先生と直接会えないことに申し訳なさを感じていた。
しかし、会館に入った池田先生は、真っ先に中継会場へ。「皆さん、どうか幸福に! 共に素晴らしき人生を生きましょう!」と呼び掛けたのである。
陰の友を忘れない師の心を胸に、アンダーソンさんは師弟の道を語り伝えている。

◇境涯を開け
モントリオール総会の参加者が一様に語るのが、池田先生のユーモアを込めた信心指導の数々である。
"家族からの文句も高い境涯に立てばベートーベンの名曲に聞こえる(笑い)。全てを良い方向に捉える知恵を磨く。悩みを幸福に変え、喜びに変える。それが信心である"
"カナダはカナダらしく、余裕を持って進んでいただきたい。人間に飽きたら、たくさんいるリスを友達にするとか(爆笑)、何でも楽しみながら生きていただきたい"
ジェフ・ディープローズさん(圏長)は振り返る。「カナダでは相手が異文化でないことの方が珍しく、互いの文化を尊重します。先生のスピーチはそうした地域性にも配慮されていました。指導が心に残るように、ユーモアを交えてくださったのだと思います」
総会の翌朝、同志と街中を散策していた先生のそばで、リスが木を駆け上っていった。
「おとぎ話のように美しい風景だね」
隣にいたディープローズさんが、「昨日、先生が総会で話された通りですね」と答えると、先生はにっこりとほほ笑み、リスや木々にカメラを向けた。
滞在中、カナダに住む創価教育の同窓生が先生に詩を持参したことがあった。その場で詩を添削し、友を励ます先生の姿にディープローズさんは驚いた。
「先生は詩を受け取るだけで終わらせず、一緒になって内容を考えられたのです」
「会う人会う人に、温かく言葉を掛けておられました。そのやり取りに目を奪われていると、いつの間にか次の方の所に向かって歩き出されている。まるで"励ましの劇"を見るようでした」
当時、駆け出しの教員として、多忙な日々を送っていたディープローズさん。時を惜しまず、一人を大切にする姿勢を心に刻んだ。
現在は、私立高校の英文学科長として奮闘の日々を送る。
——本年は池田先生のモントリオール初訪問から25周年。同地の青年部はカナダをリードする弘教を実らせ、社会に希望の風を運ぶ。
自他共の幸福に尽くす喜びが、若き世代に受け継がれている。